著者
木村 悟朗 富岡 康浩 矢口 昇 谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.127-131, 2011-12-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

東京都豊島区内の異なる2つのアパートの1室において,トコジラミCimex lectulariusの物理的防除と化学的防除を行った.前者の防除法としてスチームクリーナーを使用し,後者として殺虫剤を使用した.スチームクリーナーを使用した1室では,試験期間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫227個体,成虫52個体,合計279個体であった.また,処理6日後の日平均捕獲数は減少したが,その後は急激に増加し,処理14日後には処理前と同程度の捕獲数に達した.一方,殺虫剤を使用した1室では,試験間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫7個体,成虫5個体,合計12個体と少なかった.また,試験期間中の日平均捕獲数は減少し続けた.処理後の増加パターンの違いは,トコジラミに対する残効性の違いが主な原因であると推察される.
著者
木村 悟朗 春成 常仁 谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.73-76, 2010-12-30
参考文献数
14

実験昆虫飼育室内に発生したケナガコナダニTyrophagus putrescentiaeを防除するために高温による駆除を行った.ケナガコナダニは47.4±1.6℃で1時間または40.3±1.7℃で24時間の室温に暴露することにより,全ての個体が死亡した.これらの結果は,高温処理によって現場に発生するケナガコナダニを防除可能であることを示唆している.特に,恒温恒湿室は温度管理が容易であり,そこに発生する本種のもっとも簡便な防除方法であると考えられる.駆除作業前に室内で観察されたケナガコナダニの分布は,本種が誘虫灯に誘引される可能性も示している.
著者
木村 悟朗 草間 俊宏 榎田 順一
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.1151-1153, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

本研究は,紫外線領域を含む有色LED照明および白色LED照明へのユスリカ類の飛来量を明らかにするために,野外試験を行った。紫外線領域を含む有色LED照明(UV+blue, UV+green,およびUV+green+blue)3種と白色LED照明(UV+white)1種,合計4種の光源を使用し,各照明へのユスリカ成虫の飛来量を比較した。ユスリカ成虫はUV+green+blueにもっとも多く飛来し,次いでUV+green, UV+white, UV+blueの順であった。本研究で使用したLED照明に飛来しているユスリカ類は主に可視光領域,特に緑>黄緑>青の順に反応していると考えられた。さらに,紫外線領域を含まない防虫有色LED照明のユスリカ類に対する効果についても追加試験を行った。市販されている防虫有色LED照明である黄色LED照明(yellow)と緑色LED照明(green),および白色LED照明(white)の合計3種の光源を使用し,各照明へのユスリカ成虫の飛来量を比較した。各調査日のwhiteを1とした場合の防虫LED照明の相対飛来量を算出した。whiteに対するyellowの相対飛来量は0.2±0.3(n=3)であった。一方,whiteに対するgreenの相対飛来量は0.8±0.4(n=3)であった。これらの結果から,ユスリカ類の防虫には黄(yellow)が有効であると考えられる。
著者
谷川 力 沢辺 京子 山内 雅充 石原 新市 富岡 康浩 木村 悟朗 田中 和之 鈴木 悟 駒形 修 津田 良夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.31-33, 2015
被引用文献数
5

国内で感染したと推定されるデング熱患者が千葉市で2014年9月8日に確認された.翌日,患者宅周辺を対象としてヒトスジシマカの成虫防除を実施した.防除対策の対象範囲は,航空写真を利用して住宅地周囲の植栽や蚊成虫の潜伏場所を検討し,患者の家を中心とする半径100メートルの円内および近隣の公園とした.殺虫剤の散布前に6カ所で8分間の人を囮にしたスイーピング法によってヒトスジシマカ成虫の密度を調べたところ平均2.8頭であった.密に茂った藪や生け垣など大きな成虫潜伏場所に対する殺虫剤散布には動力噴霧機を使用し,7%エトフェンプロックス水性乳剤を50倍希釈し,500 ml/m<sup>2</sup>で散布した.狭い空間や物陰,小さい植栽への散布にはハンドスプレイヤーを利用し,フェノトリンを50倍希釈し,50 ml/m<sup>2</sup>で散布した.さらに,公園周辺の排水溝にはフェノトリン含有の液化炭酸ガス製剤を1 g/m<sup>2</sup>で散布した.その結果,散布直後にはヒトスジシマカの密度は平均1.2頭に減少していた.
著者
坂西 梓里 谷川 力 木村 悟朗 佐々木 健 川上 泰
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.171-176, 2018-12-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1 6

A survey of the helminth infection in brown rats (Rattus norvegicus) captured in 2017 at Chuo Ward, Tokyo, was carried out. Of the 20 rats examined, 13 (65%) were infected with helminths. The prevalence of helminths was as follows: Capillaria hepatica (35%), cysticerci of Taenia taeniaeformis (20%), Nippostrongylus brasiliensis (20%), Orientostrongylus ezoensis (20%), Heterakis spumosa (20%), Dioctophyma renale (15%), Vampirolepis nana (5%). The helminths were identified based on morphological features, and molecular analyses of the nuclear 18S ribosomal DNA, ITS region, and mitochondrial 12S ribosomal DNA sequences. From the standpoint of public health, it should be noted that 4 helminth species, namely C. hepatica, T. taeniaeformis, D. renale, V. nana were capable of infecting humans. In addition, C. hepatica and V. nana can be accidentally transmitted to humans by direct ingestion of embryonated eggs from rat feces. This is the third confirmed report of D. renale from R. norvegicus in Japan. A total of 11 worms were recovered from the abdominal cavities of 3 brown rats. In this rare case, we describe the morphological features of the adult worms and eggs and determined the 18S ribosomal DNA sequence of D. renale.
著者
諏訪 晴香 木村 悟朗 篠原 正典 Haruka SUWA Goro KIMURA Masanori SHINOHARA 帝京科学大学理工学研究科環境マテリアル専攻 イカリ消毒株式会社技術研究所 帝京科学大学生命環境学部自然環境学科
雑誌
帝京科学大学紀要 = Bulletin of Teikyo University of Science
巻号頁・発行日
vol.9, pp.147-149, 2013-03-31

Larvaes of varied carpet beetle (Anthrenus verbasci ) are well known as insects injurious to clothes and crops, and theirfood preference have been researched well and known to inclinable toward animal fiber. Here, we widely invested theirpreference to six clothes including wool, silk, cotton, hemp, rayon and polyester from their gathering behavior. As the results,they gathered on wool most and their preferences to plant fiber were intermediate between those to animal and artificial fiber.