著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.224, pp.70-95,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信とメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争化下でその王国は崩壊。旧子会社に買収され,140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.225, pp.47-66,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中である。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信をメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争下でその王国は崩壊した。旧子会社に買収され140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み,21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
和田 重司 ワダ シゲシ Wada Shigeshi
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.216, pp.90-100,

本書は,スミス経済学に関して久々に現れた包括的な分析であるだけではなく,経済学史の通説に関しても, わが国のスミス研究に関しても,まことに大きな問題提起をした意欲作である。問題がきわめて広範囲のものであるから,その全体を書評するのは容易な作業ではないし,著者が提起された問題すべてを一編の論考で一気に総ざらいすることはむしろ不可能であろう。しかし以下,前半において星野氏の主張の要点と思われるポイントのいくつかを摘記し,後半においてそれをめぐっての疑問を述べたいと思う。こうした書評を試みること自体が1 つの冒険ではあるが,久しぶりに現れた刺激的な労作にあおられて,評者は本書からより多くのことを学びとり,また今後ともさまざまな教示を仰ぐ期待を込めて,あえて不充分ながらも本書の要点と思われることのまとめとそれに対する疑問とを提示してみることにした。(以下の論述では「付加価値」という用語を著者の用法に従って,主として生産的労働が付加した価値のうち賃金を超える部分と対応させることにする。その場合,おおかた利潤だけを問題にし,地代の問題を度外視させていただく。本書の地代に関する問題点については,渡辺恵一氏の書評,「星野彰男『アダム・スミスの経済思想付加価値論と「見えざる手」』」,『京都学園大学経済学部論集』,第12 巻第13 号,2003 年3 月が,すでに詳しく検討している。)
著者
石井 穣
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.254, pp.120-135, 2013-01

これまでリカードウは資本蓄積を促進する立場から,生産的労働の増加を促進し,不生産的労働の雇用を含む,不生産的支出をできるだけ抑制すべきとの立場であったと考えられてきた。だがリカードウは「原理」第3版第31章の機械論において,召使いなどの不生産的労働者の雇用をひとつの足がかりとして,資本蓄積にともなう労働需要の増加を導出し,さらに機械導入は労働者階級を含む全般的富裕をもたらすことを論じている。このように,リカードウ資本蓄積論における不生産的労働の位置づけは,必ずしも明確ではないことから,本稿では,リカードウにおける労働需要の規定要因の考察を通じて,不生産的労働の位置づけを検討する。リカードウにおいては総生産物による労働需要規定が重要性を持とことを示すとともに,その分配論,利潤率低下傾向のさらなる考察のために,不生産的労働が及ぼす影響の解明が求められることに言及する。
著者
田中 史生
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.229, pp.11-23,

「高野雑筆集」下巻所収「唐人書簡」の分析を通して,9世紀中葉に両浙地域を拠点とした唐人交易者の対日交易の実態を検討した。その結果,当該期に対日交易を活発化させた彼らに対し,日本は856年前後までには唐物使を派遣してその貨物に対する官司先買を強化したこと,このため唐人らは,日本に居留する近親者との面会の場面を利用し,貨物を密かに渡して官司先買を逃れようとしていたことなどが推定された。また,彼らのもたらす交易貨物には,彼らが本拠とした江南地域産のものだけでなく,その北方・南方から集められた品々が含まれていたことも確認した。
著者
中村 桃子
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.252, pp.1-17, 2012-07

本稿は、1970年代のアメリカ映画字幕で使用された女ことばを例に挙げて、現代でも翻訳は日本語の変化をけん引している側面があることを明らかにする。1章では、マンガの分析から、それまでていねいさや従順さの表現とみなされてきた女ことばが、1970年代から悪意・高飛車な態度・怒りなどを表現する際に用いられている現状を報告する。2章では、このような変化の要因の一つとして、フェミニズムの影響により1970年代のアメリカ映画のヒロインが現れ、彼女たちのせりふが女ことばに翻訳された事情が考えられることを示す。戦い、闘う、強い西洋女性の身体が発する女ことばが広く消費されたことにより、女ことばの再生産だけでなく、変化までもが翻訳に先導されているとしたら、日本語とジェンダーの最も重要な関係である女ことばの構築、再生産、変革において、翻訳が思いがけなく大きな働きをしていると言える。結論では、女ことばの構築、白人性による女らしさの正当化、および、言語イデオロギーが翻訳過程に与える影響に関して本稿の分析が示している理論的示唆を論じる。
著者
吟谷 泰裕
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.247, pp.18-27, 2011-04

有効需要の不足が原因で失業が生じている体系において、名目賃金を合理的かつ有意な水準に決定することを試みる。このとき、資本と労働が非代替である生産関数を設定し、賃金に関する任意の方程式を追加することなく名目賃金を決定する。そして名目賃金を歴史的に所与にすると有効需要は内生的に決まるが、その下方硬直性が失業の原因になるという点で、体系がニューケインジアン理論の体系に転化することを示す。
著者
大住 莊四郎
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.232, pp.27-45, 2007-07

厳しい財政制約のもと,増大し多様化する市民ニーズへの対応,都市間競争から求められる特徴ある都市機能の強化に向けて,都市・自治体への戦略マネジメントの適用が求められている。しかしながら,その方法論は必ずしも確立されてはいない。本論では,大住(2005)における自治体への戦略マネジメントモデルがより有効に機能するために,民間企業における顧客価値に基づく戦略パターンを公共組織への適用可能なかたちに修正することを試みた。公共組織では,四つの市民価値を設定しこれらに基づく戦略パターンを適用することで,戦略の選択やその具体化が容易になる可能性が確認された。
著者
大住 莊四郎
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.232, pp.27-45, 2007-07

厳しい財政制約のもと,増大し多様化する市民ニーズへの対応,都市間競争から求められる特徴ある都市機能の強化に向けて,都市・自治体への戦略マネジメントの適用が求められている。しかしながら,その方法論は必ずしも確立されてはいない。本論では,大住(2005)における自治体への戦略マネジメントモデルがより有効に機能するために,民間企業における顧客価値に基づく戦略パターンを公共組織への適用可能なかたちに修正することを試みた。公共組織では,四つの市民価値を設定しこれらに基づく戦略パターンを適用することで,戦略の選択やその具体化が容易になる可能性が確認された。
著者
黒川 洋行
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.249, pp.36-55, 2011-10

ヴァルター・オイケンは,オルド自由主義によるドイツの代表的経済学者である。彼の業績は,歴史的アプローチと数理的アプローチの二元論を超克して,独自の経済秩序理論を構築したことである。その中心的な理念的概念は,「競争秩序」と呼ばれ,そこでは,機能的かつ人間にふさわしい自由な経済秩序が追求されている。そして競争秩序の構築と維持のための経済政策の諸原理が体系的に提示されるとともに,その政策主体としての国家の積極的役割が是認されている。本稿では,オルドリベラルなオイケンの経済学の全体構造を明らかにすることを試みる。