著者
折間 桂子 青木 智子 津久井 亜紀夫
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.178-184, 2008-09-30
被引用文献数
1 1

コンビニエンスストア (CVS) の弁当・おにぎり類の利用実態についてインターネットによるアンケート調査を実施し, 次のような結果が得られた。<BR>  CVS弁当・おにぎり類1人あたりの購入回数は「週に1~2回程度」が多く, 女性の方が男性より多く, 特に30~39歳が頻繁に利用していた。<BR>  弁当・おにぎり類の選択重視点について栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析の結果では, 栄養成分関心度が高い人は, 「添加物」や「栄養バランス」「季節物」を, 中位の人は「量」や「味」を, 低い人は「価格」をあげる傾向にあった。<BR>  弁当・おにぎり類を買うとき, 消費者の約70%が食品表示ラベルを確認しており, 約85%は信頼していた。<BR>  食品表示ラベル記載の「ナトリウム」と「食塩相当量」の相違については, 約80%が「知らなかった」と答えていた。また, 食塩摂取量について「基準があることは知っていたが, 基準が10g未満であることは知らなかった」が最も多く, 「基準があることも, 基準が10g未満であることも知らなかった」人を合わせると, 全体の70%は10g未満という数値を把握していなかった。<BR>  記載されている食品表示以外で必要だと思う項目は「製造日時」が最も多く, 特に40~49歳で高かった。栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析では, 栄養成分関心度が高い人は栄養成分項目の追加を, 低い人は食材の生産地や原産国表示に関する項目をあげていた。<BR>  この研究は千代田区の補助金の一部で行った。
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006-12-30
被引用文献数
1

<I>Staphylococcus</I>属菌及び<I>Streptococcus</I>属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多い<I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>の一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。<BR>(1) <I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>を接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料では<I>S.aureus</I>では菌数の変化が見られなかったが, <I>S.pyogenes</I>は5時間後までに死滅した。<BR>(2) むぎ茶飲料では<I>S.aureus</I>は増加し, <I>S.pyogenes</I>はわずかな減少を示した。<BR>(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。<BR>(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。<BR>(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。<BR>(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中における<I>S.aureus</I>が10<sup>6</sup>cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも10<sup>4</sup>cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。
著者
張替 泰子 松本 仲子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.80-88, 2000
被引用文献数
1 1 1

20-30歳代女性の既婚者と未婚者の調理技能および栄養摂取に関する意識調査結果は, 次のように要約された.<BR>(1) 調理技能習得の機会とその効果については, 「家庭」での習得が最も効果的であったとする回答が48%と高く, 以下「料理本」, 「雑誌」, 「テレビ」と続き, それぞれ約10%を占めた. 一方, 「学校教育」は3%以下と低かった.<BR>調理技能習得に「新聞」, 「雑誌」, 「テレビ」などが有効であったとした回答を具体的に見ると, 雑誌では若年女性向け一般雑誌が23-39%と高率を占めていた. テレビでは, 短時間のうちに要点のみを要領よくまとめた番組があげられ30%と高い率であった.<BR>(2) 日常の調理において「切る」, 「剥く」に使用する調理器具を質問した結果は, 「切る」については包丁使用の割合が85%以上と高く, スライサーの使用は少なかった.「剥く」については皮剥き器を使用する人が63%を占め, スライサー-に比べ皮剥き器の使用が高く, 21-25歳において特にその傾向がみられた.<BR>(3) 日常よく食べられている料理約100品目については「本を見なくても作れる」割合は未婚者では35%であるが, 結婚1年は65%で, 未婚者と既婚者との間で大差がみられた. 未婚者が「本を見なくても作れる」とした料理には洋風料理が占める割合が高かった.<BR>(4)「1日に何をどれだけ食べればよいか」を知っているかについて質問した結果は, 「少しは知っている」が45%と多く, 知っていると意識している人の割合が70%を占めた. その知識の習得に最も効果があったとして一番目にあげたのは, 高校13%, テレビ12%, 家庭および雑誌10%, 中学校9%などで学校, 家庭, マスコミに分散した. また, 学習する効果的な時期については, 一番目が結婚前33%, 中学校, 高校19%, 小学校10.8%であり, また, 二番目にあげたものを含めると出産前が多く, 学校教育と家庭を構えて食事づくりの主体者となる時とに二分された.<BR>(5)「1日に何をどれだけ食べたらよいか」を高校の家庭科においていくつの食品群で学習したかの質問の結果は, 「覚えていない」が最も多く55%, 「6群」が32%, 「4群」「3群」がそれぞれ5%であった.<BR>(6)「1日に何をどれだけ食べたらよいか」どの程度理解しているかを知るために, 各食品群の量を変えて実際の料理で図示し, 適当と思われる分量を選択させた. 選択の基準は生活活動強度・中等度の成人女性と説明し, 回答してもらった.正答率が最も高いのは「卵」の91%で, 以下「ご飯・パン」72%, 「果物」59%, 「牛乳」52%, 「いも」44%, 「淡色野菜」37%, 「緑黄色野菜」28%, 「豆・豆製品」25%, 「肉・魚」11%, の順であった.「いも」「野菜類」「豆・豆製品」の必要量を知っている人は, 25-45%に止まった.「豆・豆製品」「緑黄色野菜」「いも」など一般に健康に良いと考えられているものは, 必要とされている量よりも多い量を選択する傾向がみられた.
著者
金 廷恩 松本 仲子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.363-368, 2009
被引用文献数
2

『5訂食品成分表2006』に掲載されている食品について, 韓国と日本における料理への使用頻度を評価した。評価は「よく使う」「まあまあ使う」「あまり使わない」「ほとんど使わない」の4段階に区分した。調査の結果は以下のとおりである。<br>1. 韓日ともに「よく使う」野菜は, はくさい, だいこん, きゅうり, ほうれんそうなどであった。日本で「ほとんど使わず」, 韓国で「よく使う」のは, えごまの葉, キキョウの根などであり, 韓国で使わず, 日本で「よく使う」のは, アスパラガス, カリフラワーなどであった。<br>2. 韓日ともに「よく使う」茸は, えのきたけ, しいたけ, しめじ, ひらたけ, 海藻は, わかめ, 豆及び加工品は, あずき, だいず, 豆腐であった。日本で使わず, 韓国で「よく使う」のは, あおのり, いわのり, りょくとうなどであり, 韓国で使わず, 日本で「よく使う」のは, ひじきであった。<br>3. 韓日ともに「よく使う」魚介は, たい, ひらめ, まぐろ, いか, あわびなどであった。日本で使わず, 韓国で「よく使う」のは, おきあみ, いしもち, かわはぎなど, 韓国で使わず, 日本で「よく使う」のは, かつお, いせえびなどであった。<br>4. 韓日ともに「よく使う」肉, 卵, 乳類は, 牛肉, 豚肉, 鶏肉, 豚の肝臓, 牛乳などであった。日本で使わず, 韓国で「よく使う」のは, 心臓, 胃, 腸などの副生物などで, 韓国で使わず, 日本で「よく使う」ものはなかった。<br>5. 韓日ともに「よく使う」香辛料, 調味料などは, ごま油, 唐辛子, にんにくなどであった。日本で使わず, 韓国で「よく使う」ものは, えごま油と粉唐辛子などで, 韓国で使わず, 日本で「よく使う」のは, ウスターソース, トマトピューレ, 中華だしなどであった。なお, 韓国ではかつおだしは使わない。
著者
根岸 紀
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.25-31, 2007

This paper describes the physiological functions of ku-ding-cha, a traditional bitter tea beverage that has been consumed in South China for a long time. Ku-ding-cha made from species in the genus <I>Ilex</I>, Aquifoliaceae and the genus <I>Ligustrum</I>, Oleaceae have been used in China as a diuretic and remedy for sore throat, weight loss and hypertension. Recent studies have demonstrated that triterpenes and triterpenoid glycosides in ku-ding-cha from the genus <I>Ilex</I> exhibit anti-arteriosclerosis, anti-obesity, anti-allergy and anti-cancer effects, and that phenylpropanoid glycosyl esters of phenylethanoid glycosides in ku-ding-cha from the genus <I>Ligustrum</I> exhibit anti-oxidative, anti-inflammatory, hepato-protective and anti-proliferative activities. Similar effects to those described above of the phenylethanoid glycosides and tea catechins are expected from ku-ding-cha of the genus <I>Ilex</I>, which contains a large amount of chlorogenic acids. We also demonstrated that ku-ding-cha has the ability to capture allyl mercaptan and allyl methyl sulfide <I>in vivo</I>. In conclusion, further investigations are necessary to more effectively use ku-ding-cha for maintaining our health.