著者
二村 太郎 荒又 美陽 成瀬 厚 杉山 和明
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.225-249, 2012
被引用文献数
1

生理学・生物地理学の研究者であるジャレド・ダイアモンドが1997年に上梓したノンフィクション『銃・病原菌・鉄』は,一般書として英語圏で幅広い読者を獲得し,2000年に刊行された日本語版も売れ行きを大きく伸ばしていった.地理的条件の違いがヨーロッパ(ユーラシア)の社会経済的発展を優位にしたと主張する本書については,そのわかりやすさとダイナミックな内容ゆえに多くの書評が発表された.しかしながら,本書は英語圏では地理学者をはじめ学術界から数々の強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛されており,また地理学者による発信は皆無に近い.本稿は主に書評の検討を通して英語圏と日本における本書の受容過程を精査し,その差異と背景について明らかにする.また,これらの検討を通じて本稿では,諸外国からの地理学的研究成果の積極的な導入が必要であるとともに,より批判的な視点が求められることを論じていく.

言及状況

外部データベース (DOI)

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自分が読んだ版では未来がメインテーマではなかったし、データから可能性しか示せてないのは本の前提かと思ってた。この論文のポイントは地理学の作法が軽視されてるへの批判なの?
[出版] 「わかりやすい」が抱える問題は、テレビ的でもある『本書は英語圏では地理学者をはじめ学術界から数々の強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛されており,また地理学者による発信は皆無に近い』
[あとで読む][歴史][書籍]
[本][歴史][地理][生態系] ブームの原因“不安を喚起する地政学的状況のなかで,現時点での地政学が大局的には変化がないことを環境決定論の立場から保証してくれる”、生態学の種数平衡説を応用し歴史を単純化=決定論的視点を付与し
読了。批判に対する著者の不誠実な態度や、随所に見られる雑な知識や論理展開について各国で指摘されてた事がわかる。本書の問いである「なぜ西欧諸国とそれ以外で差がついたのか」は現時点では不明という事かな。
https://cruel.org/diamond/GGSaddition.html カットされた追加部分を独自に訳してくれたサイト。一読してわかる。この記述はめちゃくちゃだ……。
まだ通読してないが、人間によって栽培され家畜化されるようになった植物や動物の選択は地理的偶然から発するも極めて合理的なものでまさに選ばれるべくして選ばれたというあたりの話が非常に説得的な印象。
[あとで読む][歴史][読書]
あの本、日本語版の本人序文が短絡的なせいで、どうしても中味を読む気になれなかったが
人種主義的記述や環境決定論(による植民地支配や欧州中心主義の影響の無視)等への批判は日本でも学者からあったがメディアには流通せずと/あの「ニューギニア人・ヤリ」の存在自体が「嘘松」の可能性が有るのか…
[参考文献] …本書は英語圏では…強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛…地理学者による発信は皆無に近い.本稿は…英語圏と日本における…受容過程を精査し,その差異と背景について明らかにする.
"人道主義…が,環境決定論と手を携えることで,当の弱者を永遠に下位に位置づけてしまっている""文庫本に日本を説明した章が挿入されていない""植民地主義に対する反省や問題意識の欠如" →いろいろ問題含み

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なんとなく読み進め https://t.co/R8OgbY1nwU
すごく面白かった。実は私も『銃・病原菌・鉄』を読んだときに「古臭くて所々間違っているが、20年前の本だからこんなもんかな?」と思っていたが…… CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/mlpGOiAwIL #CiNii
自分は「銃・病原菌・鉄」途中で脱落した勢... / 日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討からhttps://t.co/K05HR9Woc5
CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/Tf9gorp4bI #CiNii
https://t.co/0dQXki93Jt 〝本書は英語圏では地理学者をはじめ学術界から数々の強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛されており,また地理学者による発信は皆無に近い〟
ふーん / 他8件のコメント https://t.co/hVNu5XUmIt “CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―” (49 users) https://t.co/2caAeLvx5m
ふーん / 他8件のコメント https://t.co/hVNu5XUmIt “CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―” (49 users) https://t.co/2caAeLvx5m
@ocf7Sum1vTtL4nB 前もジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』を読んでいるアライさんを見かけたのだ この本への学術的な批判もあるのだ 2005年のもので追加された章への批判 https://t.co/WEO6nYk7Ok 2012年の解説記事は厳しくて「ニューギニア人ヤリの質問」の存在を疑問視しているのだ https://t.co/aO6da96T4y
@h_mino 私もこの本大好きなんですが、一方で欧米で相当批判にさらされたことが日本にはあまりに伝わらなさすぎ問題もあるようです。なので、おせっかいですがこの論文をおすすめ。 https://t.co/OLeERArERT
ジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』を読んでいるアライさんを見かけたのだ この本への学術的な批判もあるのだ 2005年のもので追加された章への批判 https://t.co/WEO6nYk7Ok 2012年の解説記事は厳しくて「ニューギニア人ヤリの質問」の存在を疑問視しているのだ https://t.co/aO6da96T4y
@pestis_goat ごめんなさい、URL消えてました。これです https://t.co/wD9P0zlJTK
教えてもらって読んだ論文。面白かった。確かに日本は海外のベストセラーとか無批判に信じる傾向あるしなあ。 「日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/OLeERArERT #CiNii
日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から https://t.co/3UR2wGDiI1
[はてブ]CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/h97DouEq3P
CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/H0rjNAoAza
3件のコメント https://t.co/sihxtK2lQl “CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―” https://t.co/Q9h7Lkyyng
3件のコメント https://t.co/sihxtK2lQl “CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―” https://t.co/Q9h7Lkyyng
CiNii 論文 - 日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/EE7WJHOIiY
CiNii 論文 -  日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から― https://t.co/5omzNiAdUH

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