著者
若井 明彦 佐藤 真吾 三辻 和弥 森 友宏 風間 基樹 古関 潤一
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.79-90, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
9
被引用文献数
5 7

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震,およびそれに伴う余震によって,東北地方は甚大な被害を受けた。本稿では,宮城県仙台市周辺の丘陵地におけるいくつかの造成宅地の被害状況について,JGS東北支部・関東支部合同第一次調査団が実施した調査結果をまとめる。まず,これまで仙台市内に造成されてきた宅地群の分布や造成年代を俯瞰し,既往の地震での被害有無との相関性や現象把握の留意点を整理する。続いて,今回の地震で深刻な被害を受けた4つの造成宅地の被災事例を順に報告する。一連の事例紹介に先立ち,1978年宮城県沖地震による同様な宅地被害の後に復旧および地すべり対策工のなされた仙台市太白区緑ヶ丘3丁目地区を取り上げ,同対策工特に地すべり抑止杭の存在と今回の被害箇所との関係について検討するとともに,今後の造成宅地の耐震性向上のための技術上の教訓を取りまとめる。
著者
源栄 正人 ツァンバ ツォグゲレル 吉田 和史 三辻 和弥
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.5_117-5_132, 2012 (Released:2012-11-07)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

本論文では、2011年東北地方太平洋沖地震で大きな被害を受けたSRC造9階建て建物を対象に、地震時とその前後における振幅依存振動特性の分析を行うとともに、実観測記録に基づく動的履歴特性を分析した。ウェーブレット解析に基づく倍調波成分の励起の確認により浮き上がり振動を起こしていたことを示唆し、被害状況とも調和することを示した。また、竣工以来40年に及ぶ微動レベルから強震動のレベルの長期モニタリングデータに基づく振幅依存振動特性について整理分析を行った。
著者
永井 康雄 池上 重康 月舘 敏栄 角 哲 崎山 俊雄 狩野 勝重 川向 正人 三辻 和弥 砂本 文彦 玉田 浩之 小俣 友輝
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

国・都道府県・市区町村による指定・登録文化財及び未指定・未登録の歴史的建造物39456件の基礎データを作成した。更に位置情報及び画像情報システムを構築し、東北6県における当該建物の情報を入力した。2008年7月24日の岩手県沿岸北部を震源とする地震の災害調査によって、本データベースの有用性を確認することができた。2011年3月11日に発生した東日本大震災による歴史的建造物の被害調査では、本データベースが基本台帳として活用されている。調査は、日本建築学会建築歴史・意匠委員会、文化庁、地方公共団体、建築関連諸団体が連携して進めている。
著者
源栄 正人 大野 晋 柴山 明寛 三辻 和弥 佐藤 健
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、次世代地域防災システムとして構造ヘルスモニタリング機能を有する地域版早期地震警報システムの開発とその利活用の検討を行った。迫り来る宮城県沖地震に対する100万都市仙台の地震被害低減を図るために、三陸沿岸の2観測点、伝播経路にあたる2つの観測点、および仙台の公共建築物に設置された地震計による観測波形情報をIP網により東北大学のサーバにリアルタイム伝送するシステムを構築した。また、前線波形情報を用いた高精度地震動予測を可能にする防災システムについて検討した。利活用の一つとして開発システムを利用した学校での防災教育を行った。開発したシステムは2011年東北地方太平洋沖地震を経験した。得られた地震観測記録は、地震前後の建物の振動特性の変化など構造ヘルスモニタリング研究に貢献した。