著者
上田 紘司 永井 孝志
出版者
日本環境毒性学会
雑誌
環境毒性学会誌 (ISSN:13440667)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.8-14, 2023-04-28 (Released:2023-04-28)
参考文献数
29

We compared the sensitivity based on the 50 percent effective concentrations (EC50s) of five species of plant to six herbicides, using an efficient high-throughput microplate-based toxicity assay. For five herbicides, the most sensitive species differed: Welsh onion Allium fistulosum was most sensitive to cyclosulfamuron (the inhibitor of acetolactate synthase), pretilachlor (the inhibitor of very long-chain fatty acid (VLCFA) synthesis) and pyrazoxyfen (the inhibitor of 4-hydroxyphenylpyruvate dioxygenase): watercress Nasturtium officinale was most sensitive to pyraclonil (the inhibitor of protoporphyrinogen oxidase); and basil Ocimum basilicum was most sensitive to esprocarb (the inhibitor of VLCFA synthesis). Simetryn, the inhibitor of photosynthesis, was evenly less toxic, with no differences in species sensitivity. These results suggested that a single species cannot represent the sensitivity of the primary producer assemblage to a given herbicide. To assess the ecological effects of herbicides, multispecies plant toxicity data sets are essential.
著者
上田 紘司 藤本 泰文
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.153-164, 2022-12-25 (Released:2022-12-25)
参考文献数
30

宮城県北部の伊豆沼・内沼の周辺に位置する2つの池において,絶滅危惧種に指定されているオオセスジイトトンボParacercion plagiosum(トンボ目:イトトンボ科)の季節消長,繁殖期および生息環境を調査した.オオセスジイトトンボは,両池において6月上旬から8月中旬まで確認され,個体数のピークは6月下旬であった.繁殖行動(タンデム連結・交尾器の結合・産卵)は6月下旬から8月上旬にかけて両池で確認された.2つの池の水生植物の構成種は異なり,両池とも水際にはヨシPhragmites australisやミクリ属の1種Sparganium sp.など数種の抽水植物,水面には浮葉植物のヒシ類Trapa spp.が確認された.しかし,浮遊植物のイヌタヌキモUtricularia australisは一方の池でのみ確認された.本種の産卵は,ヒシ類が優占する池ではすべてヒシ類で行われたが,ヒシ類とイヌタヌキモが混生する池では,産卵行動の70%がイヌタヌキモで行われた.このことから,イヌタヌキモへの産卵はヒシ類と比較して本種の適応度を高める何らかの要素を持つ可能性を示唆した.伊豆沼・内沼では,富栄養化により沼の広い範囲をハスNelumbo nuciferaやヒシ類が優占する水環境となっており,イヌタヌキモが生育するような環境は貴重となっている.この個体群を保全していくには調査池の環境管理や伊豆沼・内沼で実施されている湖岸植生帯の復元活動が重要となるだろう.
著者
上田 紘司 芦澤 淳 藤本 泰文 嶋田 哲郎
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-37, 2016 (Released:2017-04-07)
参考文献数
21
被引用文献数
1

宮城県北部の伊豆沼・内沼およびその周辺地域において2014年にトンボ目の成虫を対象とした定性調査を行なった.本調査では,10科37種のトンボ目成虫の生息が確認され,このうち3種は新たに確認された.過去の調査では合計10科44種のトンボ目成虫が確認されている.過去の調査で確認され,今回の調査で確認されなかった10種のうち7種は,宮城県レッドリスト又は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている種であった.これらの結果から伊豆沼・内沼およびその周辺地域には,30種以上のトンボ目が生息可能な環境が現在も残ってはいるものの,環境変化に弱い絶滅危惧種からトンボ目が姿を消しつつある状況にあると言える.
著者
上田 紘司 永井 孝志
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2010, (Released:2021-05-24)
参考文献数
60

水草の多様性や現存量が世界的に減少しているが、水草には多様な魚類や甲殻類等が生息し、水草はそれらの餌資源、産卵場、生息場として機能している。水草の生態学的有用性の機能の視点から水草の保全対策が重要と考えられる。しかし、具体的にどこでどのような動物種がどのような水草種をどのように利用しているのかというエビデンスについて、これまでに発表されている膨大な文献の中から体系的に整理した報告はない。本研究では魚類と甲殻類等に対する水草の有用性を明らかにするために、システマティックマップの手法を用いて膨大な文献を体系的に整理した。データベースは、 Web of Science Core Collectionと J-STAGEを使用した。検索は 2017年 10月に行い、検索式は水草、魚類、甲殻類、餌資源、産卵場、生息場を示すキーワードを組み合わせた。採択基準は 1)魚類や甲殻類等が水草又は大型藻類を利用した結果が得られている文献であること、 2)人工植物を扱っていないこと、 3)文献の種類は原著に限定し、レビューを含まないこと、 4)抄録があること、 5)英語又は日本語で記載されていることである。本調査の該当文献は 512件(英文献 470件、和文献 42件)とした。これらの文献を整理した結果は以下の通りである: 1)調査地では北米、中南米、欧州、豪州が多くアジア、アフリカが少ない; 2)調査水域は湖と河川が多く、海域は少ない; 3)調査対象水草はホザキノフサモ等の沈水植物が多く、抽水植物、浮遊植物、浮葉植物がそれに続く; 4)調査対象の動物は魚類が半数を占め、中でもブルーギルやヨーロピアンパーチの未成魚を扱った文献が多い; 5)水草の利用目的は生息場を扱った文献が 80%以上を占め、餌資源や産卵場を扱った文献は少ない。アジア・アフリカ地域での研究や産卵場としての利用を扱う研究が不足していることが示され、今後のさらなる研究が望まれる。また、新たな試みとして生態学分野の 10種類の研究手法を 3段階のエビデンスレベルに分類した。その結果、水草が魚類や甲殻類等に対して生態学的に有用であることを高いエビデンスで示す文献を抽出することができた。しかし、今後のエビデンスレベルの評価には、研究手法だけでなくより詳細な検討が必要と考えられた。また、このようにエビデンスを整理した結果が科学的根拠に基づいた保全活動や政策に活用されていくことが重要である。
著者
上田 紘司 山田 浩也 石田 悠朗 広瀬 茂男
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp."2A2-K03(1)"-"2A2-K03(3)", 2013-05-22

For robot arms, wrist mechanisms are important elements for handling ability. We have proposed a heavy-duty wrist mechanism with a large motion range named, "2-DOF Spherical Parallel (2DSP) mechanism." The 2DSP mechanism is driven by a 2-DOF spherical parallel mechanism and supported by a universal joint located at its center. In this paper, we propose a method to maximize workspace in avoidance of singularities or too small output torque. The test model was developed, and the feasibility of the proposed method was verified.