著者
上間 匡 池田 靖弘 宮沢 孝幸 林 子恩 鄭 明珠 郭 宗甫 甲斐 知恵子 見上 彪 高橋 英司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.197-199, 1999-02-25
被引用文献数
2

1998年台湾北部(台北および淡水地区)において, ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に対する疫学調査を行った. 調査したネコ32匹の内, 7匹(21.9%)が抗FIV抗体陽性であった. このうち3匹からFIVの分離に成功した. エンベロープ遺伝子のV3-V5領域の塩基配列を決定し, 系統発生の解析を行ったところ, これらの分離株はすべてサブタイプCであることが判明した. 今回の結果と我々の以前の報告(稲田ら, 1997年, Arch. Virol. 142: 1459-1467)から, 台湾北部ではサブタイプCのFIVが流行していると考えられた.
著者
上間 匡
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.121-126, 2016-09-30 (Released:2017-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4
著者
上間 匡 永田 文宏 朝倉 宏 野田 衛
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.102-107, 2018

カキは成長過程で海水中の微生物を取り込むことから,ヒトノロウイルス(NoV)等の糞便由来病原ウイルスによる汚染リスクが存在する。Pepper mild mottle virus(PMMoV)はヒト糞便や環境水に豊富に存在する植物ウイルスで,近年環境水中のヒト糞便汚染指標の候補ウイルスとして認識されている。本研究では2016年7月から2017年3月に国内13のカキ生産地の市販カキ138バッチを採取し,RT-PCRによりPMMoVとNoVの検出を比較した。PMMoVは116バッチ(84.1%),NoVは67(48.6%)バッチからそれぞれ検出され,両者が同時に検出されたのは52バッチ(37.7%)であった。PMMoVは2016年7月から2017年3月までのカキ採取期間を通してすべての月で検出されたが,NoVは11月から3月の冬季にのみ検出された。PMMoVは12の生産海域のカキから検出された。以上の結果は,我が国においてPMMoVがカキに幅広く分布していることを示唆する。PMMoVをカキやカキ生産海域におけるヒト糞便由来ウイルスの汚染指標として利用するためには,PMMoVと糞便由来病原ウイルスの定量検査の導入が必須であると考えられた。
著者
佐々木 貴正 岩田 剛敏 上間 匡 朝倉 宏
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.126-131, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
24
被引用文献数
3

カンピロバクターは,食品媒介性感染症における最も重要な原因菌の1つである.カンピロバクター感染症の際に抗菌薬が使用されることは稀であるが,症状が重度である場合や長期間持続する場合には使用されることがある.カンピロバクター感染症の原因の1つは,カンピロバクターに汚染された牛肝臓の喫食である.牛肝臓は,と畜場において胆汁により表面と内部が汚染される可能性がある.以上のことから,われわれは,と畜場において,胆汁のカンピロバクター汚染状況およびその分離株の性状を調査した.カンピロバクターは35.7%(55/154)から分離され,C. jejuniとC. fetusが上位2菌種であった.C. jejuniでは,テトラサイクリン(63.0%)とシプロフロキサシン(44.4%)に高率な耐性が認められた.Multi-locus sequence typingにより,C. jejuniは12型に分類され,ST806が最も多く,37.0%を占めていた.すべてのC. fetusは全身性疾患の原因となることがあるC. fetus subsp. fetusと同定された.C. fetusでは,シプロフロキサシン(66.6%),ストレプトマイシン(58.3%)およびテトラサイクリン(33.3%)に高率な耐性が認められた.すべてのC. fetusは,ST3 (16株)およびST6 (8株)に分類された.16株のST3のうち,15株(93.8%)はストレプトマイシンとシプロフロキサシンの両方に耐性であった.本調査結果は,牛胆汁の高率なカンピロバクター汚染とその分離株の高率な薬剤耐性を示していている.と畜場における牛肝臓の胆汁汚染防止は,カンピロバクター感染のリスク低減策の1つである.
著者
野田 衛 上間 匡
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.9-15, 2019 (Released:2019-04-10)
参考文献数
15

Contamination of oysters with human noroviruses is an important issue in food safety because oysters are often consumed raw. Hydrostatic pressure treatments have been revealed to be effective for inactivation of noroviruses in oysters in other countries. We therefore confirmed the effectiveness of hydrostatic pressure treatments in inactivating noroviruses in oysters using a genetic method developed in our previous studies. To increase the application of hydrostatic pressure treatments in the fishing industry, it is necessary to understand the technique, advertise it to the public, and reach an agreement regarding the commercial or legal handling of foods processed in this manner.
著者
平間 郷子 後藤 陽子 上間 匡 遠藤 泰之 三浦 竜一 甲斐 知恵子
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1575-1578, 2004-12-25
被引用文献数
2 22

野生ハクビシンから分離されたCDV(Haku93株・Haku00株)のH遺伝子は,607アミノ酸をコードするORFを有していた.アミノ酸配列はともに,ワクチン株よりもイヌの近年分離株と高い相同性を示し,12のシステイン残基,疎水性領域およびN型糖鎖付加部位が保存されていた.系統樹解析ではHaku93株およびHaku00株は,日本の近年分離株と同じグループに属することが明らかとなった.