著者
小畠 郁生 下山 正一 小野寺 恭一 松川 正樹 小野寺 邦彦 豊田 康祐
出版者
財団法人深田地質研究所
雑誌
財団法人深田地質研究所年報
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-57, 2002-06-28

1968年に気仙沼市大島東岸の若木浜の海崖からジュラ紀大型アンモナイトを発掘した。標本の形態的特徴を記述し,暫定的にその属種をPerisphinctes sp. aff. ozikaensis Fukadaとした。産出地点を志井田に従い舞根層上部と考え,本種の産出を基にUpper Oxfordianとするか,近年の諸知見に基づき小々汐層上部と考えUpper Tilhonianとするかなどは,課題として残る。今後さらに示準アンモナイトの探索に努める必要がある。いずれにせよ,大島対岸の舞根層複式地産ならびに牡鹿半島萩ノ浜層産の類縁属種との比較は,対比上の見地からも検討されるべきであろう。
著者
下山 正一
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.351-360, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

海成層の最大分布に基づき, 北部九州各地の縄文海進ピーク時期の海域と海岸線が明らかになった. 縄文時代以降の海岸線は前進傾向にあるので, 海成層の分布限界, 弥生時代の遺跡分布, 江戸時代初期の国絵図の3つの情報が十分得られれば, 佐賀・筑後両平野の例に示すように, 縄文前期の海岸線, 弥生時代末の海岸線, 江戸時代初期の海岸線をそれぞれ描くことができる.北部九州のうち, 玄界灘・響灘沿岸地域の海成層上限高度は一様ではなく, +0.4から+4.5mまでの値が見積られる. 有明海沿岸の佐賀平野と筑後平野の縄文海進ピーク時期の海成層の上限高度差は-1.9mと+4.8mで, 隣接地域としては最も大きい. これらの上限高度の差は過去5~6,000年間に生じた垂直変動量とみなせる.北部九州各地の下末吉海進ピーク時期の海成層が現海面下にのみ存在することから, 北部九州は全体に緩やかな沈降地域と考えられる.
著者
千田 昇 白木 守 松村 一良 松田 時彦 下山 正一
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.129-133, 2005-06-30 (Released:2012-11-13)
参考文献数
4

Trench investigation at Shindo relics excavated to clarify geological activity records of Senbonsugi fault which is one of the faults constituting westernmost part of Minoh fault system. Senbonsugi fault had actived at AD679, and wide cracks generated in the ground. These cracks had described in“Nihonshoki (Chronicles of Japan)”as width was about 7 meters.
著者
下山 正一 木下 裕子 宮原 百々 田中 ゆか里 市原 季彦 竹村 恵二
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.311-331, 1999-05-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
57
被引用文献数
7 9

従来の第四紀地殻運動論では, 九州のほぼ全域を隆起地域と解釈してきた.最近, 九州北部各地に沈降域があることが明らかになったので, 堆積相・貝化石群集・生痕化石などの古水深指標と広域テフラに基づいて九州各地の最終間氷期最高海面期(ステージ5e)の旧汀線高度を比較し, 過去約12.5万年間の九州の地殻運動を見直す作業を行った.その結果, 過去12.5万年間の動きは別府~島原地溝帯を境に, 九州北部は全て沈降地域である.また, 九州南西部にも沈降地域があることが判明した.特に佐伯から川内にかけて九州を北東-南西に横切る1本の顕著な沈降軸(佐伯~川内沈降軸)が存在する.九州南東部は顕著な隆起地域であることを再確認した.沈降地域や隆起地域の隣接分布は, 現在の九州の海岸地形と極めて調和的である.中期から後期更新世にかけて地殻運動が逆転したと考えられる地域が存在する.これは九州の複雑な地殻運動史を示している.