著者
不破 麻紀子 筒井 淳也
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-63, 2010-04-30 (Released:2011-05-10)
参考文献数
21
被引用文献数
8 10 5

夫婦間の家事分担は,収入や時間的制約の差を考慮に入れても,実際の家事の多くを妻が担っているという不公平な状態になっている。それにもかかわらず妻側の不公平感は高くなく,こういった状態は経済的・時間的要因では説明ができない。これに対してジェンダー理論では妻の伝統的性別役割分業意識が強い場合は不公平感が弱いという説明を行ってきた。本論文ではこれに加え,特定の家事分担状態が不公平であるかどうかの判断基準には,社会的環境の影響も強く働いていると予測する。つまり自分が属している社会の分担水準が公平の判断基準となり,それが自分の家事分担の不公平感に影響していることが考えられる。家事分担と不公平感に関する国際比較データから,妻の家事分担比率が高い国,性別役割分業意識が強い国では,実際に妻の家事負担が大きく,また,妻が長時間働いていたり,高学歴であっても,不公平感をもちにくいということが明らかになった。
著者
不破 麻紀子 柳下 実
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.226-239, 2016 (Released:2017-01-15)
参考文献数
17

本稿は「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」を用い, 女性の学歴と結婚に対する肯定・否定的意識との関連に加え, 結婚を「してもしなくてもよい」ものととらえるような「関心」の低さとの関連を検討した. 女性の自立仮説からは高学歴女性は結婚に対して否定的であると予想される. つり合い婚仮説を敷衍すると, 学歴が女性の結婚意識に与える影響として(1)肯定的にするという効果の方向性が考えられる一方, (2)否定的にはしないものの, 結婚に対する「関心」を低めるという方向性も予想される. 結婚に対して否定的, 肯定的, 関心が低い, の3カテゴリーをもつ結婚意識を従属変数とした回帰分析(多項ロジットモデル)の結果から, 高学歴女性は「結婚したくない・考えていない」よりは「してもしなくてもよい」を選びやすい一方で, 「してもしなくてもよい」と「ぜひ・できれば結婚したい」の間では差がないことが示された. 本稿の知見は, 女性にとって高学歴であることが結婚に対する関心の低さにつながる可能性を示唆する. 今後の研究においては, 結婚に対する肯定的・否定的意識に加えて, 関心の高低を含めて検討することが必要となろう.
著者
不破 麻紀子 筒井 淳也
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.52-63, 2010
被引用文献数
10

夫婦間の家事分担は,収入や時間的制約の差を考慮に入れても,実際の家事の多くを妻が担っているという不公平な状態になっている。それにもかかわらず妻側の不公平感は高くなく,こういった状態は経済的・時間的要因では説明ができない。これに対してジェンダー理論では妻の伝統的性別役割分業意識が強い場合は不公平感が弱いという説明を行ってきた。本論文ではこれに加え,特定の家事分担状態が不公平であるかどうかの判断基準には,社会的環境の影響も強く働いていると予測する。つまり自分が属している社会の分担水準が公平の判断基準となり,それが自分の家事分担の不公平感に影響していることが考えられる。家事分担と不公平感に関する国際比較データから,妻の家事分担比率が高い国,性別役割分業意識が強い国では,実際に妻の家事負担が大きく,また,妻が長時間働いていたり,高学歴であっても,不公平感をもちにくいということが明らかになった。
著者
柳下 実 不破 麻紀子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.7-18, 2019

<p>近年,日本社会でも有配偶離婚率が高まっている.離別が家事労働に与える影響を検討した欧米の先行研究では,離別は男性の家事を増やし,女性の家事を減らすことが示されている.しかし,日本では欧米諸国に比べ離別者の実親同居率が高いため,離別の効果の検証には親同居の影響を考慮する必要がある.本稿は働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査を用いて,離別が男女の家事にどのような影響を与えるのか,また離別者の家事は親と同居することによってどのように変化しているのかを固定効果モデルで検討した.結果から,離別によって男性は家事を増やし,女性は家事を減らすことが示された.また,親同居による家事の削減効果は既婚者より離別者の方が大きいことも示された.離別者は稼得役割と家事労働を一人で担わなければならず役割過重が生じやすいが,親と同居できるか否かで家事労働の負担には格差が生じていることが示唆された.</p>
著者
柳下 実 不破 麻紀子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.142-154, 2017-10-31 (Released:2018-11-08)
参考文献数
46

日本では女性の就業が拡大する一方,非正規雇用の増加による雇用の不安定化や就業と家庭生活の両立の困難など,結婚を取り巻く厳しい環境は根強く残り,未婚・晩婚化の背景ともなっている.そこで本稿は「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」を用いて未婚女性の就業継続意向および雇用の不安定性と希望する結婚までの期間との関連を検討する.結果から,就業継続を予定している女性は希望する結婚までの期間が長いことが明らかになった.就業継続を目指す未婚女性が結婚後に就業と家庭生活の両立が困難になると予想し,結婚を先延ばししようとしている可能性が示唆された.また,非正規雇用の女性は希望する結婚までの期間が長いのに対し,大企業や専門職など比較的安定した就業環境で働く女性は短いことが示された.本稿の結果は女性の就業状況が希望する結婚までの期間の長短に影響を与えていることを示唆する.