著者
中屋 豊
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.331-336, 2016-12-31 (Released:2017-01-24)
参考文献数
16

高齢者は,老化に伴い筋肉が減少しサルコペニアといわれる状態になりやすく,また種々の機能低下をきたしフレイルに陥りやすい。特に歯科領域では嚥下機能低下,味覚・嗅覚の低下,歯を含めた口腔機能低下などのために食事摂取量が減り,そのうえに他の疾患の合併なども加わり,栄養不良を示す患者が多い。また,逆に栄養不良は嚥下障害を含めた口腔機能の低下をきたすという悪循環に陥る(フレイルサイクル)。高齢者のフレイルでは認知症や転倒などの頻度が高くなり,寝たきりの原因になる可能性が高い。フレイルによる悪循環を断ち切るためにも歯科の役割は大きい。
著者
堤 理恵 西口 千佳 長江 哲夫 前川 ひろみ 中井 敦子 谷本 幸子 三村 誠二 長江 浩朗 栢下 淳子 中屋 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.929-935, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】Nutrition Support Team (NST) が稼働している施設において、整形外科手術後7日間の高齢患者に対する栄養摂取状況と必要エネルギー達成率について検討を行った。【方法】対象患者は、全身麻酔下にて整形外科手術を実施した70歳以上の高齢者とし、レトロスペクティブに検討を行った。【結果】対象患者は、本研究の趣旨に賛同した6施設、合計102症例 (男/女 : 36/66) とした。年齢78.2±5.4歳 (mean±SD)。総摂取エネルギー量は、術後1日目1012±602kcal、3日目1280±491kcal、5日目1404±431kcal、 7日目1407±420kcalであり、このうち1-2日目は輸液併用患者が42%であった。また、必要エネルギー達成率は、術後5日目は40%であった。施設間において総エネルギー量はばらつきが大きく最大で2倍以上の差が認められた。【結語】どの施設でも術後の栄養摂取状況は術後5日間で徐々に増加したが、目標量に達成している患者は全体の40%と少ないことが示唆された。
著者
中屋 豊
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1251-1255, 2016-11-15 (Released:2017-11-15)
参考文献数
13
著者
塚口 裕康 野間 喜彦 桑島 正道 土井 俊夫 中屋 豊 水野 昭
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

背景 近年のヒトゲノム解析の飛躍的な進歩により、家族性ネフローゼの疾患遺伝子が相次いでクローニングされた。その中でもネフリンとポドシンは共に糸球体ポドサイト細胞間隙に形成されるスリット膜に存在し、濾過膜の構造・機能の保持に働いている。ネフリンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着因子で、スリット膜の主要構成分子である。一方ポドシンはカベオリン様のヘアピンループ膜貫通構造を持つ、新規糸球体蛋白であるがその機能は不明である。目的 ポドシンは欠損するとネフローゼや糸球体硬化症発症を引き起こすことが、マウスやヒトで示されており、蛋白尿性腎疾患の発症機序を解明する重要な分子である。ポドシンはストマチンファミリーの属するタンパクであるが、病態解明の第一段階としてまずその細胞や組織レベルでの分子動態を明らかにする。方法 正常ラットとネフローゼモデルであるPAN腎症ラットの糸球体ポドサイト超微細構造下におけるタンパク局在を免疫電顕金染色法にて検討した。同時に、マウスL細胞やイヌ尿細管由来の上皮細胞MDCK細胞にポドシンを発現させ細胞接着装置形成に伴うタンパク動態を検討した。結果 PAN腎症ラットで形成される細胞接着装置にポドシンの集積を確認し、ポドシンが足突起形態の維持に重要であることがわかった(新潟大学・腎研構造病理学・山本格、矢尾板永信博士との共同研究)。培養細胞においても、ポドシンの細胞接着面への集積を認め、生体内のタンパク動態と一致した。考察 ポドシンの局在を解析するのに必要な、動物モデルの確立と培養細胞系の樹立を行った。これらの実験系は新しいポドシン結合タンパクの特性解析に役立ち、新規ネフローゼ遺伝子同定に向けた今後の研究発展に貢献する。
著者
中屋 豊 阪上 浩 原田 永勝
出版者
徳島医学会
雑誌
四国医学雑誌 (ISSN:00373699)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.23-28, 2012-04-25

Refeeding syndrome is a potentially fatal medical condition that may affect malnourished patients in response to an inappropriately rapid overfeeding. This commonly occurs following the institution of nutritional support, especially parenteral or enteral nutrition. The most characteristic pathophysiology of refeeding syndrome relates to the rapid consumption of phosphate after glucose intake and subsequent hypophosphatemia. Refeeding syndrome can manifest as either metabolic changes (hypokalaemia, hypophosphataemia, vitamin B1deficiency, and altered glucose metabolism)or physiological changes(cardiac arrhythmias, unconsciousness, seizures, cardiac or respiratory depression) and potentially death. Preventing refeeding syndrome is the primary goal when initiating nutrition support in severely malnourished patients. Clinicians should be aware of refeeding syndrome when they treat malnourished patients, and most importantly take appropriate steps(careful monitoring)to prevent refeeding syndrome.
著者
井本 逸勢 中屋 豊 二川 健 田嶋 敦
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Wistar系ラットから樹立された高運動習性動物モデルであるSPORTS(Spontaneously Running Tokushima-Shikoku)ラットを対象に、高運動習性の表現型形成の分子基盤を解明することを目的に、次世代シーケンサーを用いた全エクソン配列解析、連鎖解析、ならびにデータベースを用いた選択アルゴリズムから新規に構築するラットゲノム解析パイプラインを駆使することで、未同定の原因遺伝子のスクリーニングを行い、候補遺伝子群を得るとともに、モデルラットの表現型関連遺伝子のスクリーニングツールとシステムを確立した。