著者
矢口 博之 竹下 直幸 中本 和宏 水野 昭 八杉 淳一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_38-1_41, 2016-02-01 (Released:2016-04-19)
参考文献数
4

近年、ユニバーサルデザイン(以下UD)は多くの分野に広がり始めている。各種メディアや情報システムをはじめとするコミュニケーション分野においてもUDフォント、カラーユニバーサルデザインなどUDの考え方が普及してきている。本作品では、見やすさが実証されたUDフォント「みんなの文字」を基に、カレンダー専用フォントを作成し、高齢者や視覚障がい者にも見やすい暦をデザインした。数字自体の視認性を高め、暦としての機能性やユーザビリティを担保した上で、認知科学を応用して色だけに頼らない休日、祝日の表現などにより、カラーユニバーサルデザインへの対応も考慮した。開発に際し、試作品と他社製品を対象とした読み取りタスクによる視認性評価実験を行ったところ、本カレンダーの試作品が最も視認性が高いとの結果が得られた。
著者
水野 昭
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.180-188, 2016 (Released:2016-07-15)
参考文献数
1

IWATA UD font released in 2006 was the custom-made font of Panasonic Corporation. A product family of UD font that spread into the printing industry and electronic manufacturers includes several font styles, such as Gothic, round Gothic, and Mincho fonts. The UD font was said to be specially in demand. The UD font got accepted because of not only the efforts of the font dealer but also the matching of the UD font concept to the period background. This report explains the UD font and its distinctivity from other fonts by showing the improvement in the conventional product. Finally, some problems based on a variety of uses and difficulties in producing UD fonts are explained.
著者
玉木 直文 松尾 亮 水野 昭彦 正木 文浩 中川 徹 鈴木 雅博 福井 誠 谷口 隆司 三宅 達郎 伊藤 博夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.316-321, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
19

糖尿病や腎機能と歯周病との関連についての研究は数多く行われてきたが,これらの疾患のバイオマーカーと歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーとの関連についての研究は少ない.本研究では,歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーと糖尿病・腎機能マーカーとの関連性について検討を行うことを目的とした. 市民健診参加者と糖尿病治療の患者を対象とした.対象者の歯肉溝液を採取し,アンチトリプシンとラクトフェリン濃度を測定した.また,糖尿病コントロール指標として糖化ヘモグロビン(HbA1c),腎機能マーカーとしてクレアチニンと推算糸給体濾過量(eGFR)を測定し,これらを従属変数とした重回帰分析を用いて,それぞれの関連性を検討した. その結果,炎症関連歯肉溝バイオマーカーと血清のすべての検査項目において,年齢・性別調整後の平均値は市民健診受診者と糖尿病患者の間で統計学的な有意差があった(p<0.001).また,糖尿病などに強く関連する交絡因子である年齢や性別などの調整後でも,歯肉溝中の炎症関連バイオマーカーは糖尿病・腎機能マーカーとも関連することが認められた.本研究の結果から,客観的に評価された歯肉溝バイオマーカーと糖尿病や腎機能マーカーとの間には有意な関連があることが示され,医科−歯科連携における健診ツールとして,歯肉溝液中のバイオマーカーの測定の有用性が示唆された.
著者
水野 昭
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1070-1075, 2019-10-15

「見やすい文字」がコンセプトのUDフォントは,イワタとパナソニックが2004年から2006年にかけて共同開発し世界で初めて市販化したものだ.発売して間もなく様々な製品に用いられ,いまやUDフォントを見ない日はないほど広まっている.これほどまでに世の中に受け入れられたのは,「見やすい文字」が世の中のニーズに合致したからにほかならない.その背景には電化製品の小型化と多機能化による表示文字の小サイズ化,そして社会の高齢化があった.発売して10年以上経った今でもUDフォントの様々なバリエーションが登場するなど進化を続けており,今後ますます我々にとって身近な存在になっていくことが予想される.
著者
原 昌道 水野 昭博
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.17-22, 1981-01-25
被引用文献数
1

Most of the lactate formed by malo-lactic fermentation (MLF) during storage of the red wines produced at our Institute was the L(+)-isomer. From these MLF wines, a malo-lactic bacterium which produced mainly D-lactate from glucose by lactic acid fermentation was isolated and classified as Leuconostoc mesenteroides. The production of L-or D-lactate from L-malate was examined in the isolated MLF bacterium (MLB-S-6 strain) and the culture strains Leuc. mesenteroides IAM 1233,Lactobacillus casei IAM 1118,Lactobacillus plantarum IAM 1216,Lactobacillus arabinosus IAM 1041,and Streptococcus lactis RIB 806. All of the tested strains preadapted to malic acid converted L-malate to L-lactate within the range of pH 3.2-7.0. the optimal pH was 4-5 and the reaction was not inhibited by semicarbazide. On the other hand, D-lactate and acetate were produced from L-malate at higher pH, though generally much less D-lactate was formed than L-lactate. Leuc. mesenteroides also converted pyruvate to D-lactate and acetate whthin the range of pH 5-7. The optimal pH was 6.0 and the reaction was completely inhibited by semicarbazide (2,000ppm). A cell-free extract of Leuc. mesenteroides strain (MLB-S-6,IAM 1233) converted L-malate to L-lactate in the presence of NAD, Mn^〓 and semicarbazide. The specific activities were higher than those of the other tested strains. These results suggest than L-lactate in the wine was formed mainly from L-malate by malo-lactic enzyme, which directly converted L-malate to L-lactate. D-or L-lactate migth also in part be formed via pyruvate by the consecutive action of malic enzyme and D- or L-lactate dehydrogenase, especially in wine of high pH or when undesirable lactic aicd bacteria grow in the wine.
著者
塚口 裕康 野間 喜彦 桑島 正道 土井 俊夫 中屋 豊 水野 昭
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

背景 近年のヒトゲノム解析の飛躍的な進歩により、家族性ネフローゼの疾患遺伝子が相次いでクローニングされた。その中でもネフリンとポドシンは共に糸球体ポドサイト細胞間隙に形成されるスリット膜に存在し、濾過膜の構造・機能の保持に働いている。ネフリンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着因子で、スリット膜の主要構成分子である。一方ポドシンはカベオリン様のヘアピンループ膜貫通構造を持つ、新規糸球体蛋白であるがその機能は不明である。目的 ポドシンは欠損するとネフローゼや糸球体硬化症発症を引き起こすことが、マウスやヒトで示されており、蛋白尿性腎疾患の発症機序を解明する重要な分子である。ポドシンはストマチンファミリーの属するタンパクであるが、病態解明の第一段階としてまずその細胞や組織レベルでの分子動態を明らかにする。方法 正常ラットとネフローゼモデルであるPAN腎症ラットの糸球体ポドサイト超微細構造下におけるタンパク局在を免疫電顕金染色法にて検討した。同時に、マウスL細胞やイヌ尿細管由来の上皮細胞MDCK細胞にポドシンを発現させ細胞接着装置形成に伴うタンパク動態を検討した。結果 PAN腎症ラットで形成される細胞接着装置にポドシンの集積を確認し、ポドシンが足突起形態の維持に重要であることがわかった(新潟大学・腎研構造病理学・山本格、矢尾板永信博士との共同研究)。培養細胞においても、ポドシンの細胞接着面への集積を認め、生体内のタンパク動態と一致した。考察 ポドシンの局在を解析するのに必要な、動物モデルの確立と培養細胞系の樹立を行った。これらの実験系は新しいポドシン結合タンパクの特性解析に役立ち、新規ネフローゼ遺伝子同定に向けた今後の研究発展に貢献する。
著者
水野 昭憲
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
ワイルドライフ・フォーラム (ISSN:13418785)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.11-17, 1995-08
被引用文献数
2

白山山中では, 1960年代に出作り, 焼き畑, 炭焼きが行われなくなって以来ニホンザルによる農作物被害の発生はみられなかったが, 1980年代以降再び猿害の発生が始まり年々拡大しつつある.その原因として, (1)戦前には普通に行われていたニホンザルの捕獲が禁止され, ニホンザルの個体数が増加し, 集落周辺まで生息するようになったこと, (2)過疎によって山村の人口構成が変化し, 森林への人の入り込みが減少し, ニホンザルが人を恐れなくなったこと, (3)観光業への期待と動物愛護思想の普及によってニホンザル駆除に反対する風潮が支配的となり, ニホンザルの人慣れが進んだこと, (4)1960年代以降それまでニホンザルを里から駆逐していた野犬の駆除と飼い犬の放飼の禁止が徹底し, ニホンオオカミ絶滅以降, ニホンザルが恐れる捕食種がいなくなったこと, が指摘できる.なかでも犬による影響は重要であったことを強調したい.