著者
中東 雅樹 津田 純子 NAKAHIGASHI Masaki TSUDA Sumiko
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
no.16, pp.305-324, 2016-03

初年次教育でのライティング指導が、高年次におけるゼミ論文や卒業論文作成に役立っていないという問題意識から、学生がアカデミック・ライティングを通じて主体的な学びができるようになるための方策として、筆者らは2 種類の内容で構成される「主体的な学びを促すアカデミック・ライティングの段階的指導法」を開発した。一つは、初年次教育科目「スタディスキルズ」の授業開発である。レポート作成プロセス全体の体験を主要なねらいとして、協働学習形式で、受講生自身および受講生間のレポート評価に先行オーガナイザー的チェックシートを利用し、上級生によるレポート添削を通じて受講生がレポート作成を主体的に取り組める仕組みを導入した。もう一つは、学部上級生向けプログラムである。添削を通じて自身のアカデミック・ライティングスキルを見直す機会を提供し、今後の論文作成に寄与できるよう促した。この段階的指導法の導入の結果、それぞれの段階でアカデミック・ライティングに対する意識の変化をみることができ、主体的な学びを促している可能性が示唆される結果となった。This paper introduces the "Step-by-step Teaching Method of Academic Writing to Encourage Proactive Learning." It has been developed by authors and describes outcomes from the introduction of this method in the Department of Management, Faculty of Economics of Niigata University. This method has two stages. The first stage is for first-year students. In the first stage, the students experience processes of report writing, including a topic search, report writing, a presentation, and an improvement of their report. In the improvement of their report, they use report evaluation sheets as the "advance organizer." In addition, they make improvements to their reports in groups as well as with the correction by higher level students. The second stage is for students in second-year and onwards. In the second stage, the students learn academic writing through the correction of other students' reports. By correcting the reports, they can review their own academic writing skills and may be helpful for their thesis writing in the future. Consequently, this teaching method is able to assist the students in improving their awareness of academic writing and help them promote "proactive learning."
著者
中東 雅樹
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.144-162, 2019 (Released:2021-07-28)
参考文献数
17

本稿は,国土交通省「道路メンテナンス年報」に掲載されている2014年度から2016年度の3年間の点検結果のうち,市町村が管理する橋梁の総合的な健全度を用いて,普通交付税の有無でみた財政要因が橋梁の健全度の差に影響を与えているかを生存時間分析により実証的に明らかにしている。 分析結果からは,積雪の多寡については,積雪が多い地域における橋梁の健全度はそれ以外の地域のそれに比べて平均的に早く低下する。また,財政状況に関しては,交付団体における橋梁の健全度の予防保全段階への到達時間は不交付団体のそれに比べて平均的に長い一方で,交付団体における橋梁の健全度の早期措置段階への到達時間は不交付団体のそれに比べて平均的に短いことがわかった。これは,とくに財政状況の悪い地域や条件不利地域において橋梁の維持補修への資源投入が不十分であったことを示唆しているといえる。
著者
中村 悦広 中東 雅樹
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.302-319, 2013 (Released:2021-10-26)
参考文献数
17

本稿では,近年削減の方向で進められてきた社会資本整備が,三大都市圏において地域経済や地域住民の経済厚生にいかなる影響を及ぼしてきたかを分析する。具体的には,首都圏,名古屋圏,関西圏を対象に,市町村別・分野別の社会資本ストックデータを構築したうえで,Roback(1982)の理論モデルに基づいて,1995年度と2005年度の2時点の市町村クロスセクション・データによる社会資本の経済効果をふまえた都市圏の公共投資のあり方を検討した。本稿の分析から得られた主な結論として,道路や都市公園といった生活基盤型社会資本は,すべての圏域で生産力効果と厚生効果があることが示された。他方で,名古屋圏と関西圏で,経済効率的に配置されていない社会資本が存在し,とくに関西圏は,そうした社会資本が多く存在することが明らかになった。
著者
澤村 明 渡辺 登 松井 克浩 杉原 名穂子 北村 順生 加井 雪子 鷲見 英司 中東 雅樹 寺尾 仁 岩佐 明彦 伊藤 亮司 西出 優子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、新潟県の中山間地域を中心に、条件不利地域での居住の継続に必要な要素のうちソーシャル・キャピタルに焦点を当ててフィールドワークを行なった。対象は十日町地域、村上市三面地域であり、他に前回の基盤研究費Cから継続して観察を続けている村上市高根地区、上越市桑取地区についても蓄積を行なった。十日町地域では2000年来3年ごとに開催されいている「越後妻有大地の芸術祭」のソーシャル・キャピタルへの影響を質問紙調査によって捉えた。その結果は2014年6月に刊行予定の『アートは地域を変えたか』で公表する(慶應義塾大学出版会)。
著者
澤村 明 寺尾 仁 寺尾 仁 杉原 名穂子 鷲見 英司 松井 克浩 渡邉 登 伊藤 亮司 岩佐 明彦 福留 邦洋 中東 雅樹 西出 優子 北村 順生 澤村 明
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

新潟県の北部に位置する高根集落(村上市、2008年の合併までは朝日村)と、逆に西部に位置する桑取川流域(上越市)である。具体的な集落の分析を通じて、結束型、橋渡し型、連結型というソーシャル・キャピタルの基本概念や、コミュニティとアソシエーションという組織のありかたの基本概念を深化させる手がかりを提供した。