著者
山﨑 永理 砂川 正隆 沼口 佳世 時田 江里香 池谷 洋一 北村 敦子 世良田 紀幸 石川 慎太郎 中西 孝子 久光 正
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.107-113, 2012 (Released:2012-10-24)
参考文献数
30

目的:ポリフェノールの一種であるロズマリン酸は,抗アレルギー作用,抗酸化作用,抗炎症作用などを有することが報告されている.本研究では,アレルギー性鼻炎 (AR) に対するロズマリン酸の有効性について検討した. 方法:TDI 誘発による AR モデルラットを作製し,ロズマリン酸を投与した.鼻過敏症状の観察ならびに,アレルギー症状の誘発に関与する鼻汁中の Substance P (SP), calcitonin gene-related peptide (CGRP), nerve growth factor (NGF) の濃度を測定した. 結果:ロズマリン酸の投与により鼻過敏症状は有意に抑制された.また鼻汁中 NGF の分泌には影響はなかったが,神経ペプチドである SP, CGRP の分泌は有意に抑制された. 結論:ロズマリン酸が AR に対して有効であり,そこには SP, CGRP の分泌抑制が関与していることが示唆された.
著者
本田 豊 砂川 正隆 米山 早苗 池本 英志 中西 孝子 岩波 弘明 須賀 大樹 石川 慎太郎 石野 尚吾 久光 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.78-85, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
30
被引用文献数
4 7

抑肝散は,神経症,不眠症,小児の夜泣き,小児疳症など虚弱体質で神経高ぶるものの症状などに適用されている。近年,頭痛や神経障害性疼痛などの疼痛性疾患に対する有効性も報告されているが,これらの作用機序は十分に解明されてはいない。本研究では,アジュバント関節炎(AA)モデルラットを作製し,慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性を検証した。AA モデルラットでは,疼痛閾値の低下と精神的ストレスマーカーの1つである唾液中クロモグラニンA(CgA)濃度の上昇がみられたが,抑肝散の投与により,慢性痛の発現に関与する脊髄ミクログリアの活性化が抑制され,疼痛閾値の低下が有意に抑制された。また,唾液中 CgA 濃度の上昇も有意に抑制された。これらの結果より,抑肝散の慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性が示唆された。
著者
石川 慎太郎 久保 哲也 村田 健三郎 池谷 洋一 中西 孝子 砂川 正隆 久光 正
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.527-534, 2011 (Released:2011-11-15)
参考文献数
38

[Objective] Perspiration is almost only heat radiation mechanism under high temperature environments. And sudoriferous water is supplied from blood. Blood flow is determined by blood fluidity, blood volume and the cardiovascular system. It was reported that strong stress decreased blood fluidity.In this experiment, we investigated the relation between blood fluidity and water supply in rats loaded with forced exercise in high temperature environment.[Methods] SPF male Wistar rats weighing 250g were used. All animals were put in high temperature environment (Wet Bulb Globe Temperature; WBGT: 28°C) through whole experimental period. The rats were divided into four groups randomly; Suitable temperature environment-Exercise-Non water intake (SEN), High temperature environment-Exercise-Non water intake (HEN), High temperature environment-Exercise-Water intake (HEW) and Baseline (BL). In a group of water supply, distilled water was served before and later exercise by sonde forcibly. The blood was collected before or later of exercise and blood and erythrocyte suspension fluidity were measured.[Results] In the HEN, hydroperoxides, blood sodium, lactic acid and adrenaline increased while blood and erythrocyte suspension fluidity were decreased significantly compared with the BL. In addition, the hematocrit did not increase even if water equivalent to 4% of body weight lost it.[Conclusion] We speculate that exercise in high temperature environment decreases blood fluidity. However, the water supply in exercise that might not be sufficiently improve blood fluidity.
著者
佐藤 千佳 辻 まゆみ 木村 謙吾 小口 勝司 中西 孝子 舟橋 久幸 齋藤 雄太 植田 俊彦 小出 良平
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.450-457, 2015 (Released:2016-01-23)
参考文献数
30

生直後から12日齢まで80%酸素にて飼育した未熟児網膜症モデルラットと以前,報告された高酸素負荷による酸化ストレス誘発性脳障害モデルと比較し,未熟児網膜症モデルの酸化ストレス誘発性脳障害モデルとしての有効性について検討した.出生直後より12日齢まで80%高酸素負荷ラット(P12)およびその後大気中に移動し24時間飼育したラット(P13)は,脳(海馬)を摘出した.海馬の凍結切片を作製し,DNA酸化損傷マーカーである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)を免疫染色し,局在を確認した.また,ホモジェネートを作製し,酸化ストレスマーカーであるreactive oxygen species(ROS),脂質過酸化物(malondialdehyde: MDA),酸化型グルタチオン(GSSG)量を,RT-PCR法によりO2-を酸素と過酸化水素へ不均化する酸化還元酵素Cu/Znsuperoxidedismutase(SOD)mRNAを測定し,記憶や学習に関わる海馬への酸化ストレスを確認した.さらに,ROSを積極的に産生する酵素type 4 nicotinamide adenine dinucleotide phosphate(NADPH)oxidase(Nox4)mRNAを測定し,Nox4の役割について考察した.8-OHdGはコントロール群に比べて,高酸素負荷終了直後(P12)増加していた.特に,CA1,CA3,歯状回(DG)では8-OHdG陽性細胞数の増加は顕著だった.P12海馬内ROS,Cu/Zn SOD mRNA,GSSG,MDA量は高酸素負荷群でコントロール群に比べ有意に増加しており,P13でも同様の結果を示した.P12での海馬内酸化ストレスの結果はこれまでの報告と一致していた.海馬Nox4 mRNAはコントロールに比べP13の酸素負荷群で2.7倍となり,相対的低酸素状態(脳虚血)から低酸素状態への適応(再灌流)による神経変性を増悪する可能性が示唆された.ラット脳,網膜などの神経組織が成熟する生後12日(P12)まで高酸素投与を継続する未熟児網膜症モデルは本研究により初めて酸化ストレス誘発性脳障害モデルとしても応用可能であることが示された.