著者
久光 正
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-6, 2008-02-10 (Released:2010-11-25)
被引用文献数
2
著者
福島 正也 砂川 正隆 片平 治人 渡辺 大士 草柳 肇 小林 喜之 樋口 毅史 久光 直子 久光 正
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.312-319, 2015 (Released:2015-11-21)
参考文献数
30
被引用文献数
2

円皮鍼は鍼治療に用いられる鍼の一種で,1mm前後の極めて短い鍼を絆創膏で皮膚に留置することによって,種々の生体の反応を引き出す.本研究では,ラット社会的孤立ストレスモデルを用い,ストレスに対する円皮鍼の効果を調べ,作用機序の検討としてオレキシン神経系の関与を検討した.8週齢Wistar系雄性ラットを使用し,コントロール群(Con群),ストレスモデルにシャム鍼を貼付した群(Sham群),ストレスモデルに円皮鍼を貼付した群(PTN群)の3群に分けた.社会的孤立ストレスモデルは8日間単独で飼育することで作製した.Con群は1ケージに3~4匹で飼育した.ストレス負荷7日目,PTN群とSham群には百会穴相当部への円皮鍼(パイオネックス®,セイリン社製)またはシャム鍼を貼付した.ストレス評価として,噛みつき行動時間の測定(7日目と8日目)と,EIA法にて血漿コルチコステロンの測定を行った.また,オレキシン神経系の関与を検討するために,EIA法にて血漿オレキシンA濃度を測定し,外側視床下部におけるオレキシンニューロンの変化を組織学的に検討した.ストレス負荷8日目,10分間の噛みつき行動時間は,Sham群(460.2±24.2秒)に対し,PTN群(263.3±53.7秒)で有意に抑制された(p<0.01).血漿コルチコステロン濃度は,Con群(44.0±8.2ng/ml)に対しSham群(128.6±26.4ng/ml)では有意に増加したが,PTN群(73.5±8.9ng/ml)ではその増加が有意に抑制された(P<0.05).血漿オレキシンA濃度は,Con群(0.17±0.01ng/ml)に対しSham群(0.36±0.04ng/ml)では有意に増加したが,PTN群(0.23±0.03ng/ml)ではその増加が有意に抑制された(P<0.05).外側視床下部におけるオレキシンAの発現もCon群(26.88±3.03 Optical Density:OD)に対しSham群(80.89±6.03 OD)では有意に上昇したが,PTN群(49.87±1.84 OD)ではその上昇が有意に抑制された.百会穴への円皮鍼治療は,ラット社会的孤立ストレスモデルにおけるストレス反応を抑制し,視床下部オレキシンニューロンの活性を抑制した.ストレスによる交感神経系や内分泌系の興奮に視床下部オレキシン神経系が関与することが報告されている.円皮鍼治療はオレキシン神経系を抑制することにより,ストレス反応を抑制したと考えられる.
著者
渡辺 大士 砂川 正隆 片平 治人 金田 祥明 藤原 亜季 山﨑 永理 髙島 将 石野 尚吾 久光 正
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.146-155, 2017 (Released:2017-10-03)
参考文献数
34

加味逍遥散は,柴胡,芍薬,蒼朮,当帰,茯苓,山梔子,牡丹皮,甘草,生姜,薄荷の10種の生薬から構成される漢方薬であり,比較的体力の低下した,精神不安やイライラなどの精神神経症状を有する人の全身倦怠感,のぼせ,寒気,種々の身体痛,食欲不振,好褥的傾向などの症状に用いられている.近年,オレキシンがストレス反応の制御に関与することが明らかになってきた.オレキシンは神経ペプチドの一種で,オレキシン産生神経は主に視床下部外側野および脳弓周囲に存在するが,その軸索は小脳を除く中枢神経系全域に分布し,摂食行動や覚醒反応ほかさまざまな生理活性の制御に関与している.本研究では,ラット社会的孤立ストレスモデルを用い,加味逍遥散の抗ストレス作用,ならび作用機序の検討としてオレキシン神経系の関与を検討した.初めに,加味逍遥散がオレキシンの分泌に影響するのかを調べた.Wistar系雄性ラットに,100mg/kg/day,400mg/kg/day,1,000mg/kg/dayの3種類の用量の加味逍遥散を7日間連続で経口投与し,血漿オレキシンA濃度を測定した.Control群と比較し,100mg/kgならび400mg/kgの投与で有意な低下が認められたが,1,000mg/kgでは有意な変化は認められなかった.次に,ラットをグループ飼育群(Control群),孤立ストレス群(Stress群),ストレス+加味逍遥散(400mg/kg)投与群(Stress+KSS群)に分け,7日間の飼育後,攻撃性試験ならび血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度の測定を行った.Stress群ではControl群と比較し,攻撃行動を示す時間が有意に延長し,血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度も有意に上昇したが,Stress+KSS群ではこれらの変化は有意に抑制された.更には, いずれの生薬が主として作用しているのかを検討した.本研究では柴胡に注目し,柴胡単独投与で検証した.ラットをControl群,Stress群,ストレス+柴胡投与群(Stress+saiko)の3群に分け,血漿コルチコステロンならびオレキシンA濃度の測定を行った.Stress+saiko群では,これらの濃度の上昇が有意に抑制された.ストレス負荷によって,攻撃性が高まり,血漿コルチコステロンならびオレキシン濃度が上昇したが,これらの変化は加味逍遥散の投与によって抑制された.オレキシンが本モデル動物のストレス反応の発現に関与していることから,加味逍遥散の効果は,オレキシン分泌の制御を介した作用であり,柴胡が重要な働きをしていると考えられる.加味逍遥散は抗ストレス作用を有し,作用機序として,オレキシン分泌の制御が関与することが示唆された.
著者
池本 英志 砂川 正隆 片平 治人 世良田 紀幸 小林 喜之 樋口 毅史 岡田 まゆみ 清野 毅俊 久光 直子 久光 正
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.213-221, 2015 (Released:2015-11-07)
参考文献数
28

経皮的神経電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)は,皮膚に導電性電極をあて,電気刺激を生体に与えることで様々な治療効果が得られる,非侵襲的な治療法である.鍼やTENSなどを用いた刺激療法の鎮痛作用には,ゲートコントロール説,下行性疼痛抑制系の賦活,内因性オピオイドの関与などいくつかの作用機序が報告されている.本研究では,ラットアジュバント関節炎モデルを作製し,TENSの慢性炎症性疼痛に対する鎮痛効果を検証するとともに,内因性オピオイドの関与について検討した.1) TENSの鎮痛作用の検証.7週齢のWistar系雄性ラットを使用し,Control(Con)群,Control+TENS(TENS)群,アジュバント関節炎(AA)群,AA+TENS (AAT)群の4群に分けた.関節炎は右足底に完全フロイントアジュバント0.1mlを皮下投与して誘発した.Con群には同部位に生食を投与した.TENS(4Hz,30分)は週3回,14日間にわたって実施し,その間,足容積,機械刺激ならび熱刺激に対する逃避閾値を測定した.関節炎の誘発によりAA群の足は腫脹し,足容積が有意に増大した.TENSによってこの腫脹は抑制されなかったが,機械的刺激及び熱刺激に対する逃避閾値は,AA群ではCon群と比較し有意に低下し,AAT群ではその低下が有意に抑制された.2) 内因性オピオイドの関与の検討.同種ラットをCon群,AA群,AAT群,AAT+naloxone (AAT+N)群の4群に分けた.AAT+N群には,μオピオイド受容体拮抗薬ナロキソン(3mg/kg)をTENS開始30分前に皮下投与した.先の実験と同様に逃避閾値を測定し,脊髄μオピオイド受容体の変化を組織学的に検討した.その結果,ナロキソンの前投与はTENSの鎮痛作用を有意に減弱させた.またAA群の脊髄後角ではμオピオイド受容体の発現が有意に増加したが,TENSによってその増加が有意に抑制された.4Hzの低周波TENSは慢性炎症性疼痛に対し鎮痛作用を示したが,その作用はμオピオイド受容体拮抗薬の前投与によって減弱した.また脊髄では,AA群の脊髄後角の浅層にμオピオイド受容体の発現が増加したが,AAT群ではこの増加が有意に抑制された.以上より, TENSはμオピオイド受容体を介して,慢性炎症性疼痛に対し鎮痛作用を示したと考えられる.低周波TENSは慢性炎症性疼痛に対し有用であり,鎮痛効果の発現には内因性オピオイドが関与していることが示唆された.
著者
山﨑 永理 砂川 正隆 沼口 佳世 時田 江里香 池谷 洋一 北村 敦子 世良田 紀幸 石川 慎太郎 中西 孝子 久光 正
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.107-113, 2012 (Released:2012-10-24)
参考文献数
30

目的:ポリフェノールの一種であるロズマリン酸は,抗アレルギー作用,抗酸化作用,抗炎症作用などを有することが報告されている.本研究では,アレルギー性鼻炎 (AR) に対するロズマリン酸の有効性について検討した. 方法:TDI 誘発による AR モデルラットを作製し,ロズマリン酸を投与した.鼻過敏症状の観察ならびに,アレルギー症状の誘発に関与する鼻汁中の Substance P (SP), calcitonin gene-related peptide (CGRP), nerve growth factor (NGF) の濃度を測定した. 結果:ロズマリン酸の投与により鼻過敏症状は有意に抑制された.また鼻汁中 NGF の分泌には影響はなかったが,神経ペプチドである SP, CGRP の分泌は有意に抑制された. 結論:ロズマリン酸が AR に対して有効であり,そこには SP, CGRP の分泌抑制が関与していることが示唆された.
著者
三橋 学 金丸 みつ子 田中 謙二 吉川 輝 稲垣 克記 久光 正 砂川 正隆 泉﨑 雅彦
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.483-491, 2019 (Released:2019-12-18)
参考文献数
14

延髄大縫線核のセロトニン(5-hydroxytryptamine, 5-HT)神経は,下行性疼痛抑制系として鎮痛作用を発揮する.一方で,痛みを増強させるという報告もあり,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の鎮痛薬としての使用が広まるなか,5-HTの疼痛制御に関する検討が必要である.近年,光遺伝学的手法によって大縫線核の5-HT神経を選択的に刺激することが可能になった.本研究では,5-HT系下行性疼痛抑制系の障害が示唆されている間欠的寒冷ストレス(intermittent cold stress, ICS)モデルのマウスを用い,光遺伝学的手法による大縫線核の5-HT神経の選択的刺激が鎮痛作用を発揮するか検討した.青色光照射で大縫線核の5-HT神経を刺激するため,光感受性チャネルを5-HT神経細胞に発現させた遺伝子改変マウス(Tph2-tTA::tetO-ChR2(C128S))に対し,大縫線核直上に光ファイバーを刺入,留置した.このマウスにICSを与えてICS群とし,青色光照射による大縫線核5-HT神経への刺激が疼痛閾値へ与える効果を行動学的手法で評価した.機械刺激性疼痛試験としてvon Frey test,熱刺激性疼痛試験としてHot plate testを用いた.対照群にはSham ICS処置を行った.ICS群とSham ICS処置によるマウス群を比較検討したところ,ICS処置はvon Frey testによる疼痛閾値を低下させた.しかし,遺伝子改変マウスに青色光照射で刺激をしても,von Frey testによる疼痛閾値の変化は認めなかった.一方, Hot plate testで疼痛閾値を評価すると,Sham ICS処置による疼痛閾値の変化とICS処置による疼痛閾値の変化に有意な差はなかった.しかし,曝露処置(ICS処置か,Sham ICS処置か)と時期(処置前か,処置後か)に関わらず,青色光照射で疼痛閾値が上昇した.つまり,ICS処置は,von Frey testによる疼痛閾値を低下させたが,Hot plate testによる疼痛閾値を変化させなかった.一方,青色光照射による大縫線核5-HT神経への刺激は,Hot plate testによる疼痛閾値を上昇させたが,von Frey testによる疼痛閾値を変化させなかった.以上より,大縫線核の5-HT神経への刺激は,熱刺激性疼痛に対する鎮痛作用を発揮した.一方,ICS処置で機械刺激性疼痛に対する疼痛閾値は低下したが,その機序に大縫線核の5-HT神経の積極的な関与は示唆されなかった.
著者
本田 豊 砂川 正隆 米山 早苗 池本 英志 中西 孝子 岩波 弘明 須賀 大樹 石川 慎太郎 石野 尚吾 久光 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.78-85, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
30
被引用文献数
4 7

抑肝散は,神経症,不眠症,小児の夜泣き,小児疳症など虚弱体質で神経高ぶるものの症状などに適用されている。近年,頭痛や神経障害性疼痛などの疼痛性疾患に対する有効性も報告されているが,これらの作用機序は十分に解明されてはいない。本研究では,アジュバント関節炎(AA)モデルラットを作製し,慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性を検証した。AA モデルラットでは,疼痛閾値の低下と精神的ストレスマーカーの1つである唾液中クロモグラニンA(CgA)濃度の上昇がみられたが,抑肝散の投与により,慢性痛の発現に関与する脊髄ミクログリアの活性化が抑制され,疼痛閾値の低下が有意に抑制された。また,唾液中 CgA 濃度の上昇も有意に抑制された。これらの結果より,抑肝散の慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性が示唆された。
著者
山本 竜隆 瀬戸 明 日下 史章 仲里 誠毅 久光 正
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.28-36, 1997-03-01 (Released:2009-09-29)
参考文献数
48

磁気・電磁気による生体非熱効果研究の一環として, 生体電磁加温能力をほとんど持たない交流磁気発生装置 (50Hz, 0.08T) を12個用い, ヒトを対象に全身性交流磁気刺激を施行し, 末梢血中セロトニン (5-HT) およびその代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-HIAA) を測定した.実際にヒト体幹部に加わる磁気強度は, およそ0.5~7mT (5~70gauss) の範囲であった.1日30分間の曝射を3日間連続で行い, 採血はいずれも磁気刺激前, 磁気刺激30分後, および3日間の磁気刺激後の合計3回行った.また同時に腋下体温も測定した.全血5-HT (n-13) は30分間の磁気刺激後, 有意に低下し (p<0.05), さらに3日間の磁気刺激後では高度に低下した (p<0.001).一方血漿5-HIAA (n=6) は30分間の磁気刺激後では有意差はなかったが, 3日間の磁気刺激後では有意に上昇した (p<0.01).なお腋下体温の変化はみられなかった.この結果は超低周波の全身性交流磁気刺激が, 熱効果を介さずに血管作動物質の一つである5-HT系に影響を与えていることを示している.交流磁気による血中の5-HT低下作用は, おそらく大部分が胃腸管のエンテロクロマフィン細胞 (EC細胞) の5-HT合成の阻害か, または放出の抑制によるものと考えられる.交流磁気の非熱効果は現行のハイパーサーミアに有益に作用する可能性がある.
著者
石川 慎太郎 久保 哲也 砂川 正隆 俵積田 ゆかり 佐藤 孝雄 石野 尚吾 久光 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.337-346, 2011 (Released:2011-09-15)
参考文献数
49
被引用文献数
11 9

瘀血の状態では,血液が鬱滞することから腫脹や疼痛などの障害が現れる。瘀血は循環障害と捉えられ,血管抵抗性と血液流動性の側面から研究されてきた。血液流動性の変動要因には血球および血漿成分があり,その変動に活性酸素が深く関わっていると考えられている。今回,ラットに漢方薬(当帰芍薬散,柴胡加竜骨牡蛎湯,桃核承気湯,桂枝茯苓丸,十全大補湯)を投与して活性酸素動態と血液流動性への影響を観察した。その結果,これらの漢方薬投与群では,抗酸化力が上昇し,血液流動性が亢進した。また,当帰芍薬散・桃核承気湯・桂枝茯苓丸は血小板凝集を減少させた。さらに赤血球浮遊液の流動性は,抗酸化力との間に負の相関を認め,漢方薬の抗酸化作用が赤血球の変形能あるいは粘着性に影響したと推察された。血栓症や塞栓症などの誘因である血液流動性の低下を予防する可能性が示唆された。
著者
久光 正
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.378-391, 2011 (Released:2012-02-06)
参考文献数
16

血液流動性 (BF) と東洋医学において重要な証であるオ血との関連およびストレス負荷、 鍼刺激、 漢方薬投与、 交感神経作動薬投与の影響および作用メカニズムについて検討した。 その概要について述べる。 BFは血液流動性測定装置 (MC-FAN) あるいは血小板凝集能測定装置(PA20)を用いて測定した。 また、 一部の実験では血中ATPレベル、 酸化ストレス度、 抗酸化力についても測定した。 昭和大学病院漢方外来を受診したオ血証患者は非オ血証患者より有意にBFが低く、 1ヶ月の駆オ血薬投与によりBFが有意に改善した。 ラットに各種のストレスを負荷するとBFは有意に低下した。 また、 血小板凝集能の亢進、 血中ATPレベルの増加、 酸化ストレス度の増大、 抗酸化力の低下が生じた。 電気鍼刺激を毎秒1回、 60分間ラットの足三里、 合谷、 三陰交に加えるとBFは有意に亢進したが、 腎兪、 内関への刺激では有意差は認めなかった。 また、 足三里への電気鍼刺激はストレス負荷によるBFおよびその他の変化を有意に減少させた。 ナロキソン投与は足三里への電気鍼刺激によるBF亢進に有意な影響を示さなかった。 また、 α受容体作動薬およびβ受容体遮断薬投与ではBFが有意に低下し、 α受容体遮断薬およびβ受容体作動薬投与ではBFが亢進した。 オ血には血液流動性の変化が関わり、 また、 BFの変化に交感神経系の活動および血中ATPレベルの変化が影響している可能性が示唆される。 電気鍼刺激によるBF亢進作用にはオピオイド系の関与は少ないと考えられる。 また、 電気鍼刺激がストレス負荷によるBF低下やその他の血液変化に対し拮抗作用を示すことから、 電気鍼刺激にはストレスによる影響を抑制する作用がある可能性が示唆される。
著者
石川 慎太郎 久保 哲也 村田 健三郎 池谷 洋一 中西 孝子 砂川 正隆 久光 正
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.527-534, 2011 (Released:2011-11-15)
参考文献数
38

[Objective] Perspiration is almost only heat radiation mechanism under high temperature environments. And sudoriferous water is supplied from blood. Blood flow is determined by blood fluidity, blood volume and the cardiovascular system. It was reported that strong stress decreased blood fluidity.In this experiment, we investigated the relation between blood fluidity and water supply in rats loaded with forced exercise in high temperature environment.[Methods] SPF male Wistar rats weighing 250g were used. All animals were put in high temperature environment (Wet Bulb Globe Temperature; WBGT: 28°C) through whole experimental period. The rats were divided into four groups randomly; Suitable temperature environment-Exercise-Non water intake (SEN), High temperature environment-Exercise-Non water intake (HEN), High temperature environment-Exercise-Water intake (HEW) and Baseline (BL). In a group of water supply, distilled water was served before and later exercise by sonde forcibly. The blood was collected before or later of exercise and blood and erythrocyte suspension fluidity were measured.[Results] In the HEN, hydroperoxides, blood sodium, lactic acid and adrenaline increased while blood and erythrocyte suspension fluidity were decreased significantly compared with the BL. In addition, the hematocrit did not increase even if water equivalent to 4% of body weight lost it.[Conclusion] We speculate that exercise in high temperature environment decreases blood fluidity. However, the water supply in exercise that might not be sufficiently improve blood fluidity.