著者
塩崎 麻里子 中里 和弘
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.211-220, 2010

The purpose of this study was to examine the differences between regret over actions taken versus regret over inaction vis-a-vis bereaved family. The focal points of the study were as follows: 1) to explore the nature of unreversed regret in the bereaved; 2) to examine the association between the number and intensity of regrets and mental health and grief; and 3) to examine the effect of action and inaction on mental health and grief. Using a mail-in questionnaire, we surveyed and analyzed the results of 89 bereaved respondents. The results showed that participants had more lifetime regrets over inaction than over action taken. The number and intensity of regrets also correlated with mental health and grief. Bereaved participants who expressed regret over inaction had poorer mental health and stronger feelings of grief than those with no regrets over inaction. We discuss the implications of unreversed regret and examine regret prevention for the bereaved.
著者
河村 諒 中里 和弘
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.175-183, 2020 (Released:2020-07-15)
参考文献数
21

【目的】介護職員の視点から,高齢者施設の宗教的な関わりの要素および宗教的な関わりが利用者,施設職員,利用者家族に及ぼす影響を整理し,宗教的な関わりの臨床的意義と課題を探索的に検討することを目的とした.【方法】特別養護老人ホームの介護職員12名を対象に質問紙調査および半構造化面接を行った.【結果】利用者では「非日常性」等の8つの要素が「日常場面におけるポジティブな精神的変化」等の5つの影響を,介護職員では「宗教の意識化」等の2つの要素が「自身の宗教観の変化」等の2つの影響を,利用者家族では「利用者を見送る行為の具現化」の要素が「利用者家族の精神的ケアの場」の影響をもたらすと考えられた.【結論】宗教的な関わりが利用者だけでなく施設職員や利用者家族にも有益である可能性が示唆された.
著者
中里 和弘 塩崎 麻里子 平井 啓 森田 達也 多田羅 竜平 市原 香織 佐藤 眞一 清水 恵 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-271, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.