著者
塩崎 麻里子 中里 和弘
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.211-220, 2010

The purpose of this study was to examine the differences between regret over actions taken versus regret over inaction vis-a-vis bereaved family. The focal points of the study were as follows: 1) to explore the nature of unreversed regret in the bereaved; 2) to examine the association between the number and intensity of regrets and mental health and grief; and 3) to examine the effect of action and inaction on mental health and grief. Using a mail-in questionnaire, we surveyed and analyzed the results of 89 bereaved respondents. The results showed that participants had more lifetime regrets over inaction than over action taken. The number and intensity of regrets also correlated with mental health and grief. Bereaved participants who expressed regret over inaction had poorer mental health and stronger feelings of grief than those with no regrets over inaction. We discuss the implications of unreversed regret and examine regret prevention for the bereaved.
著者
岩満 優美 平井 啓 大庭 章 塩崎 麻里子 浅井 真理子 尾形 明子 笹原 朋代 岡崎 賀美 木澤 義之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.228-234, 2009 (Released:2009-07-07)
参考文献数
12
被引用文献数
3 5

本研究では, がん診療連携拠点病院を中心とした緩和ケアチームで一定の活動経験のある7名の医師および看護師を対象に, フォーカスグループインタビューを実施し, 緩和ケアチームが心理士に求める役割について検討した. インタビュー内容の質的分析の結果, 緩和ケア領域に携わる心理士が役割を果たすために必要な知識として, 第1に, 基本的ならびに専門的な心理学的知識とスキルが挙げられた. 第2に, がんに関する全般的ならびに精神医学的知識が挙げられた. その他に, 他職種の役割と医療システムに関する知識が求められており, 医療者への心理的支援を望む声も認められた. 以上より, 本研究で明らかにされた心理士に求める役割とは, がん医療に関する幅広い知識をもとに他職種と十分にコミュニケーションをとりながら, 心理学的な専門性を活かして, 患者・家族, および医療者に心理的支援を行うことであった. Palliat Care Res 2009; 4(2): 228-234
著者
岩満 優美 平井 啓 大庭 章 塩崎 麻里子 浅井 真理子 尾形 明子 笹原 朋代 岡崎 賀美 木澤 義之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.228-234, 2009
被引用文献数
2 5

本研究では, がん診療連携拠点病院を中心とした緩和ケアチームで一定の活動経験のある7名の医師および看護師を対象に, フォーカスグループインタビューを実施し, 緩和ケアチームが心理士に求める役割について検討した. インタビュー内容の質的分析の結果, 緩和ケア領域に携わる心理士が役割を果たすために必要な知識として, 第1に, 基本的ならびに専門的な心理学的知識とスキルが挙げられた. 第2に, がんに関する全般的ならびに精神医学的知識が挙げられた. その他に, 他職種の役割と医療システムに関する知識が求められており, 医療者への心理的支援を望む声も認められた. 以上より, 本研究で明らかにされた心理士に求める役割とは, がん医療に関する幅広い知識をもとに他職種と十分にコミュニケーションをとりながら, 心理学的な専門性を活かして, 患者・家族, および医療者に心理的支援を行うことであった. Palliat Care Res 2009; 4(2): 228-234
著者
中里 和弘 塩崎 麻里子 平井 啓 森田 達也 多田羅 竜平 市原 香織 佐藤 眞一 清水 恵 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-271, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.
著者
塩崎 麻里子
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

終末期の治療選択に際するがん患者と家族に対する心理的支援プログラムを開発するにあたっての基礎的な知見を得ることを目的に,一般成人を対象とした意向調査とがん患者の家族を対象にしたインタビュー調査を実施した.結果から,従来までの意思決定モデルを終末期の治療選択に応用する上で,以下の3点を考慮する必要があることが示唆された.第一に,患者と家族の未来展望が判断の枠組みに影響すること,第二に,延命治療に対する信念は直感的な意思決定を促すこと,第三に納得できる意思決定の判断基準は患者と家族で異なることである.今後,終末期の意思決定に関するモデルを実証的に検討し,より実態に沿うよう改良していく必要がある.
著者
塩崎 麻里子
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究では、乳がん患者が配偶者との日常生活において、配偶者が良かれと思って行っているであろうサポート態度が、患者にとってサポートとならない場合について着目している。先に行った乳がん患者に対する半構造化面接で得られた、患者にとって「ありがた迷惑」、「大きなお世話」といった配偶者からのネガティブサポート態度に関する15項目を用いて、手術前と手術後においてどのような変化が見られるかを縦断的に明らかにした。手術前と術後1ヶ月に質問紙調査を行ったところ、ネガティブサポート態度に関して欠損値がなかった乳がん患者63名(平均年齢:49.3±8.9歳)を分析対象とした。半構造化面接で得られた15項目は、比較的頻度の高いもの(早く元通りになるようにとあなたを励ます・あなたの病気や治療のことは、全て医師にまかせるものとして関与しない・自分のことよりも、常にあなたのことを優先する)、比較的頻度の低いもの(あなたと病気についての話をすることを避ける・あなたを病人として、はれものに触るように大事にする)が含まれていた。また、これら15項目は探索的因子分析と検証的因子分析を経て、3下位因子によって説明された。その3つの下位因子は、「過剰関与」、「問題回避」、「過小評価」と命名されている。術前と術後に変化が見られるかどうかを繰り返しのある分散分析で検討したところ、「過剰関与(F(1,62)=6.19,p<0.05)」と「問題回避(F(1,62)=10.35,p<0.01)」において有意な差がみられた。このことから、配偶者からのネガティブサポート態度は、術前・術後といった治療経過の中で出現頻度の認知に変化がみられるものであることが示唆された。今後、この変化が、実際に変化しているものなのか、患者のサポートニードが変化したものなのか、患者の個人的特性や状況などの変数を加えて詳細に検討していく必要がある。