著者
丸山 剛史
出版者
日本産業教育学会
雑誌
産業教育学研究 (ISSN:13405926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.9-16, 2004-07-31 (Released:2017-07-18)

本小論は、1958年3月15日の教育課程審議会答申で設置が表明された「技術科」の構想と同年10月1日に官報に告示された「中学校学習指導要領」における「技術・家庭科」との区別と関連を検討した。その結果、1958年版学習指導要領「技術・家庭科」は教科名を改めただけでなく、教科の目標規定から「産業」という面を後景に退け、「技術科」設置構想との断絶を基調としていたけれども、目標規定に「近代技術に関する理解」を挿入し重く位置づけ、「技術科」設置構想との連続面も認められた。
著者
内田 徹 丸山 剛史
出版者
東京福祉大学・大学院
雑誌
東京福祉大学・大学院紀要 = Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare (ISSN:18837565)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.123-130, 2015-03

本研究の目的は、旧学制下群馬県における小学校教員検定制度の形成過程を、詳細に明らかにすることである。資料として群馬県立文書館所蔵文書を主に用いた。分析に際して、1)出願・検定手続きの方法、2)試験の時期・実施回数および試験会場、3)検定の方法あるいは判定基準、4)手数料の有無および金額の4点に着目した。検討の結果、文書館所蔵文書から新たに4つの関係規則を見つけ出すことができ、群馬県では「教育令施行規程」および「公立小学教員学力試験法」、「小学校教員免許状授与規則」、「小学校教員学力験定試験細則」および「小学校授業生規則」、「小学校教員検定等ニ関スル細則」を経て、1894年の細則全部改正において1900年9月以前の最終形態に至ったことが明らかになった。その過程では、検定受験者の質低下が報告され、その後、検定施行回数が削減されたが、合格判定基準は隣接する栃木県より低く設定されていたこと、などが明らかになった。
著者
丸山 剛史 白石 崇人 内田 徹 船寄 俊雄 笠間 賢二 釜田 史 山本 朗登 大谷 奨 井上 惠美子 亀澤 朋恵
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、第二次大戦前日本の小学校・国民学校教員(以下、初等教員)検定制度の府県比較と中央の初等教員検定関係法令制定・改正過程に関する総合的研究である。府県比較に関しては、北海道、鳥取県、長野県、埼玉県、宮城県、山口県の道県を取り上げた。中央法令制定・改正過程の検討には『公文録』・『公文類聚』等の法令起草・成文関係史料等を用いる。本年度は学制発布から小学校教員検定等ニ関スル規則施行下の時期(1872-1900年)に限定し、検討を行った。検討の結果、次のことが明らかになった。1)府県比較に関して。北海道に関しては、資料調査により北海道道立文書館には初等教員検定関係の史料はほとんど残されていないことが判明したが、北海道教育会の機関誌に初等教員検定制度を活用した教員養成講習会に関する記事が掲載されているほか、合否判定基準等を記した検定内規も掲載されていることがわかった。検定関係規則は「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定細則」等の名称により北海道庁令で規定されていたことも判明した。長野県に関しては、資料調査により長野県立歴史館に『長野県報』、検定関係文書が所蔵されており、特に検定関係文書はこれまで非公開文書が多かったが、問い合わせにより非公開文書のほぼすべてが公開されることになった。また、検定関係規則は長野県令により「小学校教員検定等ニ関スル細則」、「小学校教員検定及免許状ニ関スル細則」、「小学校令及小学校令施行規則実施ニ関スル規程」等の名称により規定されていたことがわかった(他県に関しては文字数の制限により省略)。2)中央法令制定・改正過程の検討に関しては、国立公文書館には画期的な史料は見つけ出すことはできなかったが、府県教育会機関誌等に「小学校教員検定ニ関スル規則」制定過程に言及した記事があることがわかった。