著者
新原 俊樹 甲斐 尚人 小柏 香穂理 船越 幸夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2023_031, (Released:2023-11-30)
参考文献数
7

研究活動におけるChatGPTの有効な活用方法として,比較的短い文章の集合から研究データを作成する方法を提案した.事例研究として,4つの学会が発行する学術雑誌に掲載された239編の論文のタイトルを対象とし,各論文のタイトルから内容を推定するためのプロンプトをChatGPTに与え,得られた回答を整理した.ただし,研究データには高い再現性が求められることから,同一のプロンプトをChatGPTに10回繰り返し与え,回答を積算して集計することで誤判定の影響を低減させる工夫を施した.その結果,同じ手法で作成した2つの研究データを比較すると,データ全体の97%が同じ結果となり,高い再現性を確認することができた.一方,ChatGPTに与えるプロンプトの僅かな表現の違いに応じて,得られる回答も変わり得ることが明らかになった.ChatGPTから目的に相応しい研究データを作成するための最適なプロンプトの表現について,さらに検証する必要がある.
著者
高田 英一 大石 哲也 森 雅生 関 隆宏 小柏 香穂理 劉 沙紀
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.87-93, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
7

大学が近年の厳しい経営環境に対応するためには,ステークホルダーの支持を得る必要があり,そのためには,ステークホルダーによる認知の集積である「レピュテーション」を高め管理する取組である「レピュテーション・マネジメント」(reputation management)の取組を進める必要がある.また,その際には,大学のデータマネジメントを担当するIRの活用の取組が有効と考えられるが,いずれの取組の状況も明らかでない.このため,国立大学に対してこれらの取組の現状に関するアンケート調査を実施した.調査の結果から,レピュテーション・マネジメントの重要性が多くの大学で認識されるとともに,レピュテーション・マネジメントに関する取組が実施されていること,また,レピュテーション・マネジメントへのIRの活用の必要性が認識されている状況が明らかとなった.
著者
小柏 香穂理
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.18-37, 2023 (Released:2023-04-21)

拙稿「模範的な大学の中期計画文書の特徴分析とメタデータの付与」(『レコード・マネジメント』、2021)において、中期計画文書の策定には、具体的な記述(戦略)とそれらの根拠となる関連データの所在や管理方法が組織化されていることが、成功事例の大学に共通する特徴であることが明らかになった。しかし、どのような意思決定過程を経て中期計画文書が策定されているのかは、これらの資料だけでは不十分である。国立大学の法人化による組織改変や、私立大学においては大学と学校法人という複雑な組織体系から、意思決定過程の複雑さが指摘されており、日本のすべての大学において、意思決定過程の最適化は重要な課題である。そこで、本稿では重要文書の公開が義務付けされている国立大学を対象に大学の事例研究を行い、入手した資料の中で、意思決定過程の記述をどのくらい読み取ることができるかを分析した。今回、認証評価受審のための自己点検評価書の記述内容に基づいて分析した結果、大学の意思決定過程の流れの概観を把握することができた。さらに大学文書館に保管されている資料の調査分析に基づき、意思決定過程の記録の具体事例を示す。