著者
久保 健治 中川 慧 水上 大樹 Acharya Dipesh
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.23-27, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

暗号資産販売所は、ビッド・アスク価格を提示し、顧客から暗号資産の注文を受け付ける相対取引サービスであり、暗号資産市場に流動性を供給している。顧客からの注文によって販売所の暗号資産の在庫は変化し、一方で、在庫は常に価格変動リスクに晒される。このため、適切な在庫管理が必要になる。同じ相対取引サービスである FX ディーラーの在庫管理問題については、確率制御に基づいた最適流動化戦略が提案されている。ただし、暗号資産市場は FX 市場と比べ、流動性が低く、ボラティリティが大きい。更に、暗号資産販売所においては顧客から注文に大きな偏りがみられる。そのため、暗号資産販売所における在庫管理問題を解決するためには、暗号資産市場に特有の性質を考慮して、最適流動化戦略を構築する必要がある。そこで、本研究では暗号資産販売所に対する在庫管理問題を定義し、確率制御に基づき最適流動化戦略を提案する。また、モデルパラメータを bitFlyer の公開データを用いて推定し、数値計算により、最適流動化戦略を得た。得られた結果から、注文頻度の偏りが最適流動化戦略に影響を与えることを示した。また、単純な流動化戦略と比較することで、提案手法の有効性も確認した。本研究は暗号資産販売所における最適流動化戦略という新たな領域を開拓するものになるであろう。
著者
大久保 健治
雑誌
大妻比較文化 : 大妻女子大学比較文化学部紀要 = Otsuma journal of comparative culture
巻号頁・発行日
vol.5, pp.5-39, 2004

Evidence that Homers two epics "Odyssey" and "Iliad" each consisting from 24 songs have 12 themes, each song another theme and those 12 are all taken up for the second time in the same order, can be seen in my monographs in the "Otsuma Journal of Comparative" No. 1 and No. 2. Homeric themes with the way of description come to life again in Shakespeares plays and Goethes novel. For example five Homeric themes man can find out in "Hamlet" and eight of them in Goethes Hamlets novel "Wilhelm Meisters Lehrjahre" too. Themes in these authors are the same, but their way of description are different from each other, in the case of Homer principally through occasions but in Shakespeares plays through inner life, and in Goethes novel through both. While the themes in Goethes novel are 1) enemy 2) characters 3)hope 4)goddess 5)parent 6)children 7) health and 8) marriages, those in "Hamlet" are 1) parent 2)children 3)health 4)marriages and 5) death. Four of those are the same as those in Goethe except the last one. This is one of 12 themes from Homer too. Therefore it is reasonable to suppose that themes in Shakespeare and Goethe come from Homer. Shakespeares plays consist of five acts without exception. Based on my examination each act of Shakespeares play has one of Homeric themes and the order of each 5 themes in five acts is the same as in Homer. In concluding, I should emphasize, that Shakespeares 39 plays all can be divided into groups according to the themes. To take an example "Hamlet" comes under the same groups "Lear", "The Merchant of Venice", etc.
著者
井上 奈良彦 蓮見 二郎 山形 伸二 青木 滋之 金子 晃介 是澤 克哉 筧 一彦 上條 純恵 諏訪 昭宏 久保 健治 竹中 野歩 加藤 彰 ZOMPETTI Joseph CARLSON Shanna KIPP Peter
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ジェネリック・スキルやアカデミック・スキルとしての議論教育は、近年ますますその重要性を高めている。本研究は、これまでの研究の不備を埋めるべく、議論教育用eラーニング・コンテンツを作成するための基礎的研究を行った。具体的には、(1)議論教育関係の文献レビュー、(2)議論教育の効果測定テストを作成と検証、(3)議論モデルの開発検証、(4)議論教育支援サイトの作成と検証、(5)議論教育とディベートの教材作成、等を行った。
著者
大久保 健治
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻比較文化 : 大妻女子大学比較文化学部紀要 (ISSN:13454307)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.30-47, 2000

古典学文献学の問題として知られているものに、ホメロス問題と言われているものがあるが、これは広く文学一般に係わる問題であって、専門分野に限定される問題ではない。そこで問われている問題、ホメロス作と伝えられる二つの叙事詩、『イリアス』あるいは『オデュッセイア』は、何を語るのかということは、いかに語るのかという問題に置き換えられるがそれは形式に纏わる問題であって、問題はその形式をいかに捉えるのかという事に尽きるからである。つまり事は文学とは何かを問う事にほかならない。私はこの問題をとく鍵は、語り手にあると考え、その点に絞り結論めいたものに近づくことができた。本論はその報告を内容とするものである。従来、ホメロスの語り手は、ホメロスの名でもって伝えられてきた伝説を巧みに纏めて伝達するものというように、その機能は極く単純に捉えられてきた。その為、現代における素朴な口承叙事詩の語り手の場合と、比較対照するような研究がなされているが、ホメロスの語り手の機能はさほど単純ではないというのが、私の考えである。それは二重の機能を併せ持ち、両者が相互媒介する所にホメロスの語り手の機能は見いだされるように思われる。