著者
亀田 弘之 波多野 誼余夫 小嶋 恵子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.95, no.30, pp.9-20, 1995-05-17
被引用文献数
1

情報科学の究極の目的の一つに、人間に匹敵する情報処理能力を有するシステムの実現があるが、人間が、自然言語の理解や生成をはじめとして、多くの面において優れた能力を発揮することのできる理由は、自己の内外に生起する様々な出来事や現象を、自己の経験として知識獲得・運用するからである。このような観点から、筆者らは、心理実験により人間の心的な言語処理過程を解明し、その知見に基づき新語(以下、未知語)の意味を推定する方法に関する研究を、思考過程解明の一貫として行っている。本稿では、心理実験により得られた知見に基づき、漢字2文字から構成される未知単語の意味を、用例からの類推により推定するシステムについて述べる。
著者
亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.225-226, 1995-09-05

言語は、思考のための媒体(内言語)であるとともに、意思疎通のための媒体(外言語)でもあり、思考の素材としての知識を記述し、伝達内容(メッセージ)を記述・伝達するために用いられる。このことから、思考能力を向上させるためには、言語に関する能力を高めることが重要である。筆者は思考過程の解明を目指すとともに、自然言語処理技術の高度化を目的として、未知語獲得に関する研究を行っている。本稿ではこのうち、動物に関連する漢字2文字未知語の意味推定システムを、さらにより一般的なものとすることができるような拡張する方法についての検討結果につて述べる。
著者
小澤 朋之 原田 俊信 山口 和仁 佐々木 洋輔 高井 伸輔 小幡 琢磨 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.615, pp.171-176, 2006-02-17
被引用文献数
4

近年、ロボットによる癒し(すなわち、ロボットセラピー)が注目されている。このような観点から、筆者らも癒し効果を持つロボット「PDDIN(プディン)」の研究・開発を行なっている。本稿では、PDDINの癒し効果の向上およびコミュニケーション能力の高度化を目的として新たに考案した機能について報告する。具体的には、「ごきげん」「あいじょう」の二つのパラメータによって感情を表出する手法を提案・実装した。また、外部状況取得機能と対話者感情推測機能を実装し、PDDINが状況と対話者感情をともに考慮して発話や行動を行えるようにした。さらにPDDINの外観を変更して、PDDIN2005と命名した。評価実験の結果、ロボット(PDDIN2005)がより豊かな感情表現を持ち、それを人が認知しやすいように表出することが可能であることが示された。
著者
亀田 弘之 税田 竜一 久保村 千明 伊藤 憲治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.486, pp.61-65, 2007-01-19
被引用文献数
4

今日の認知リハビリテーションではテレビゲームも利用されているが、これらのゲームは、必ずしも認知リハビリテーション用ではなく、また、人間の脳機能モデルに基づくものでもない。本稿では、精神医学の知見(モデル)に基づく本格的な認知リハビリテーション用ゲーム作成プロジェクトとその方法論をについて述べる。具体的には、認知リハビリテーションの現状、本来あるべき認知リハビリテーション用ゲームの考察・検討等、さらには認知リハビリテーション用ゲームの作成例について報告する。
著者
陳 淑梅 大野 澄雄 しゃ 錦華 亀田 弘之
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、中国語発音学習において最も基本となる声調、母音、子音の「発音の質」を可視化することを通じて、学習者が楽しく学習できる中国語発音学習システムを構築することである。本研究の特徴は、音声の質の可視化により中国語発音のメカニズムを目で見て理解できること、学習者の発音と手本となる発音との差異が直観的に確認できること、その結果、発音を自ら修正・改善し、さらに、改善結果がフィードバックされ、学習の動機付け強化に繋がることである。いままで、発音の質の可視化手法と発音改善法を確立し、個々人の改善点を具体的にアドバイスするルールを作成した。また、中国語発音改善法を確立し、その手法をNHKテレビ「テレビで中国語」で実践し、その成果と有効性を確認した。令和元年度には、複母音、そり舌音と舌面音以外の子音の可視化の制作に着手した。また、作成した中国語発音改善法に基づく発音学習システムについて、東京工科大学令和元年度の中国語初級クラスで実際に採用し、提案手法の有効性とユーザビリティについて評価を行った。具体的に、授業と自宅での復習で本システムを繰り返し利用させ、学んでいる各段階でどのような改善が見られるか随時チェックをし、最終的には、学期末の発音テストで効果を確認した。各段階におけるアンケート調査によりアドバイスの適確性を調べ、また、学期末のアンケート調査で総合評価を行った。本システムを採用していないクラスに比べ、本システムを採用したクラスの成績は全般的によく、特に、五段階評価(S, A, B, C, D)でSとAの学生合計は全体の半数以上となった。
著者
横井 俊夫 しゃ 錦華 陳 淑梅 亀田 弘之 楊 立明 大野 澄雄
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は当初の計画に従い以下の研究成果を得た。1.中国語音節片仮名表記法(jピンイン)の最適化中国在住の中国語母国語話者を対象とする聴取実験により、中国語音節の日本語仮名表記法(jピンイン)を体系として最適化した。なお、以下の研究成果はこの成果に基づき実現されたものである。2.日中対応表記辞書のコンテンツの作成と評価一般旅行者用観光ガイドブックの索引情報や中国資料集を素材として、一般観光客に有用な地名(観光地名477個、都市名80個)および主要な人名(姓51個、名45個)を網羅的に収集し、データベースシステムACCESS2000に格納した。また、学術的観点・実用的観点からの妥当性を確認した。3.知的検索支援システムの実装と評価中国語未学習の日本人でも比較的容易に入力できるように、ピンイン入力、偏や旁さらには画数による文字候補限定による入力の他に、図形的類似に着目する「日中類似変換」方式を提案し、知的検索支援システムとして実装し、学術的観点・実用的観点から妥当性を確認した。4.日中表記対応辞書のシステムとしての評価上記の中日表記対応辞書と知的検索支援システムとをHTML、php、VB、MySQLにより作成し統合した。中国語(GB2313コード)入力に関しては既存の日本語用IME(4,402文字)と上記4の方法(2,361文字)を併用する方式を採用した。5.Webサーパーの構築とWeb化の実験上述の成果をWeb形式で公開するためにWebローカルなサーバーを構築し、マニュアルのオンライン化を含めWeb化実験を行ない、初の計画通りの動作を確認した。6.システムの総合的評価最終年度統合した辞書・検索システムをアンケート形式で総合的に評価し、表示画面の構成、操作性、機能性に関し概ね良好であることを確認した。
著者
服部 峻 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.63, pp.7-12, 2010-05-21
参考文献数
18
被引用文献数
2

日々増大して行くWebという情報源から様々な知識を抽出するWebマイニングの研究が盛んに行われているが,Webテキストを形態素解析や意味解析など自然言語処理する際システムが用いる辞書に品詞や読み,意味などが未登録である「未知語」の存在が問題になる.本稿では,Webテキストに存在する多種なメディア,多様な話題,及び,投稿日時の3軸に依って,どのように未知語が分布しているか頻度調査を行った結果,Webテキストを自然言語処理するシステムにおいて,どんな分野で特に未知語処理が有用(必要)かなどの知見が得られたので報告する.
著者
久保村 千明 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.418-428, 2003-03-01
被引用文献数
5

高度な情報検索システムは,文字表記の揺れ(異表記)に対応する能力を備えもつことが必要である.例えばキーワード「バイオリン」を検索した場合,情報検索システムはキーワードの異表記である「ヴァイオリン」をも検索できなければならない.しかしながら現在利用されている情報検索システムは,入力されたキーワードに対する異表記を十分に処理することは不可能である.また,1999年情報検索システムの評価プロジェクトの一環であるNTCIRワークショップにおいて,日本語検索における片仮名異表記の処理の必要性が指摘されている.このような状況にかんがみ,片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムを構築した.本論文では片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムに関して,片仮名異表記の分類・書換え規則,情報検索モデルとそれに基づく片仮名異表記処理能力を備えもつ情報検索システムの概要,システムの処理手順,最後にシステムの評価とその考察について述べる.
著者
久保村 千明 桜井 友子 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.96, no.271, pp.21-30, 1996-09-27
被引用文献数
17

高度な自然言語処理システムは、新語(以下、未知語)を自動的に獲得する能カを備え持つことが不可欠である。このような観点から、未知語獲得能力を有するパーザのプロトタイプシステムを作成した。本稿では、そのシステムにおける3種類の未知語に対する3種類の未知語獲得アルゴリズムを評価するために行った実験とその結果について述べる。新聞・書籍・雑誌・辞書から評価用言語資料を収集し、それを素材としてアルゴリズムを評価したところ、本アルゴリズムの基本的妥当性が確認された。
著者
小幡 琢磨 佐々木 洋輔 久保村 千明 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.615, pp.177-181, 2006-02-17

教師を必要とせずにエージェントを環境に適応させる枠組みとして強化学習がある.強化学習ではエージェントが環境に対して試行錯誤を繰り返すことにより,それぞれの状況に適した行動を学習することができる.試行はエージェントに実装されている行動の種類と状況の数によっては大量におこなうこととなる.現実的な環境を想定した場合にはこれらの数は増加してしまい,結果として学習が収束するまでには学習に反映されない大量の無駄な試行が存在することとなる.これらの無駄な試行には学習に有効に利用できる試行が存在すると考えられる.また状況間の類似を考慮することで,無駄な試行を減らすことが可能と考えられる.本研究ではこれらの無駄な試行に着目し,無駄な試行を経験として蓄積し,有効に利用することで学習速度を向上させることを目指した.具体的には,学習の過程における試行のなかで無駄な試行を学習に反映させる手法と,経験を蓄積することにより,類似した状況下で効率的に行動選択することのできる手法を提案する.
著者
陳 淑梅 亀田 弘之 しゃ 錦華 大野 澄雄
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,個人適応role-playing手法を組み込んだ実践的技術中国語学習システムを構築することを目的とし,以下の研究成果が得られた。〓Web集合知という概念を本研究に適用し,予備テスト問題の自動作成手法を提案し,それをもとに,個人適応専用教材の構築手法を提案した。〓Role-playing型会話スキットの作成において,学習者が仮想的な対話者とインタラクティブに対話ができる環境作成を検討し,未知語の処理手法を提案した。〓学習者の発話を分析し,その感情変化や発話意図を推定する手法と精度を検討し,学習者の疲労度や感情をより適切に表現できるようになった。
著者
向後 英二 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.691, pp.17-24, 2000-03-16

矛盾は知識の不備を発見するための有用な手掛かりの一つであるという考えに基づき矛盾の処理に関する基礎的考察, すなわち, 矛盾の分類と, 分類した中の論理的矛盾の分析, 論理的矛盾の解消方法について考察し, その結果について報告する.具体的には, まず矛盾を論理的矛盾, 感情的矛盾, その他の矛盾の3つに分類した.つぎに論理的矛盾について, まず論理的矛盾の発生原因について分析し, つぎに論理的矛盾の対処方法を考案・検討した.この際, 知識の根拠, 根拠の頑強度, 根拠空間という新たな概念を設定した.論理的矛盾解消の際に生じる知識体系の変化を考察し, その結果と新たに設定した上述の諸概念とを用いて論理的矛盾を解消する方法を提案した.
著者
黒田 英憲 小澤 朋之 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.387, pp.19-24, 2007-12-07
被引用文献数
1

近年,Webページや書籍などにおけるデザインに注目が集まっている.本稿ではデザインのイメージを決定付ける主要な要因の1つである「配色」と「レイアウト」に着目し,近年さまざまに研究が進められている印象語からWebページデザインを決定する新たなシステムの提案・構築をおこなう.印象語は人が受ける印象やイメージを言葉にしたもので,色彩に対する印象表現に最適であり,印象語から色彩を扱うことができれば,配色デザインの作業が軽減できる利点がある.そこで本システムでは,さまざまな研究においてその有効性が示されている日本カラーデザイン研究所が構築したカラーイメージスケールを基にした配色をもちいた.また,レイアウトでは現在Webページにおいて使用される代表的な5種類のレイアウトをもちいた.これらの配色とレイアウトを取り入れ,印象を明確に伝えるWebページ作成システムを提案した.以上の提案をプロトタイプシステムに実装し,これをもちいた評価実験の方法を述べる.
著者
山野邉 教雄 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.387, pp.55-59, 2007-12-07

近年のロボット技術の発展によって,人間と機械とがコミュニケーションを取ることが可能となりつつある.そこで人間と機械とが円滑なコミュニケーションを取るためには,人間の言葉の意味を理解することが大事であると考える.本研究では対話システムを試作し,その問題点を検討・考察することで対話の制度を向上させることを目的とする.
著者
難波 創 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.387, pp.61-65, 2007-12-07

ロボットが人間と共生するためには,ロボットが人間のような心を持つ必要がある.しかし心の構造は解明されておらず,人間と同等の心をプログラムにより再現することは不可能である.心は知情意からなるとされており,知を情報のデータベース,情をパラメータと捉えるならば,意(意識)の実現こそが心の実現といえる.本研究では「意識とは注意の連続である」と定義し,人工無脳を使い,人工無脳が自己の発言に対して発言する機能と,対話機能の高度化により,人間に人工無脳の人工意識を見せかけ,今後の人工知能研究に生かすことができるか検討する.