著者
山川 恵子 伊藤 憲治 湯本 真人 宇野 彰 狩野 章太郎 加我 君孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.658, pp.19-24, 2004-02-12
参考文献数
9

縦書き・横書きの表記形式の単語、シンボル、ラインを中心視野に提示し、視覚誘発脳磁場の比較を行った。全頭および左右側頭部の被験者全員分のRMS (Root Mean Square) を算出し、およそ5ms毎に縦・横×刺激の種類(2×3)の分散分析を行い、条件ごとの反応に有意差がみられるかを検討した。単語の処理においてのみ出現する反応として、(1)180-200ms、(2)250msあたり、(3)370msあたりをピークとする三つの成分(N180、RP、P300)が共通して確認された。どの成分においても単語刺激では縦書きの反応が横書きよりも一貫して強く、縦書き文字の処理は横書きに比べ何かしらの高度あるいは困難な過程が含まれることが示唆された。縦書き・横書き文字の脳内の認知処理における本質的な違いが示唆され、これまでの研究で議論されてきたような読みにおける縦書きの効率の悪さは、サッケードや眼球運動によってのみ起因するものではない可能性が示された。
著者
亀田 弘之 税田 竜一 久保村 千明 伊藤 憲治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.486, pp.61-65, 2007-01-19
被引用文献数
4

今日の認知リハビリテーションではテレビゲームも利用されているが、これらのゲームは、必ずしも認知リハビリテーション用ではなく、また、人間の脳機能モデルに基づくものでもない。本稿では、精神医学の知見(モデル)に基づく本格的な認知リハビリテーション用ゲーム作成プロジェクトとその方法論をについて述べる。具体的には、認知リハビリテーションの現状、本来あるべき認知リハビリテーション用ゲームの考察・検討等、さらには認知リハビリテーション用ゲームの作成例について報告する。
著者
須藤 路子 望月 明人 伊藤 憲治 桐野 衛二
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.1-9, 2014

本研究では,日本人大学生45名を被験者とし,第二言語習熟度に関連すると思われる社会認知能力と運動能力を検討した。具体的にはまず,英語習熟度をTOEICのリスニング,リーディングおよび合計スコアに加え,読解速度と語彙力により求めた。社会認知能力は,Baron-Cohenが開発した3種の社会性指標で求め,さらにワーキングメモリ容量を算出した。学習者の運動能力については,反復横跳び,垂直跳び,握力,長座体前屈,12分間走により,5種類の基本身体能力を測定した。検査課題で得られた英語習熟度と両能力の結果を相関解析した。社会認知能力に関し,男性では共感指数は語彙力と負の相関を示し,語彙力の高い学習者は対人関係に敏感でない傾向が示唆された。運動能力に関し,12分間走と垂直跳びが英語習熟度に関連していることから,第二言語習得に関し学習者は根気強さとエネルギーが必要であることを明らかにした。言語習熟度と他の能力との相互関係に,男女差が影響を与えている可能性も示唆した。
著者
角田 晃一 関本 荘太郎 伊藤 憲治
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

簡易赤外線トポグラムを用いて、日本語で育った人間と、非日本語環境で育った人間における虫の声の処理機能違い「角田理論」の証明がなされた。 (Acta Otolaryngol. 2016)さらに、現在Science誌やNature誌で盛んに指摘されている、中枢の神経活動測定における再現性の問題に対処すべく被検者の姿勢による脳活動計測への影響の検証を行い、1)姿勢変化の影響が脳生理学研究において再現性に大きな影響をもたらすこと、2)研究にあたっては姿勢の安定が基本であり標準化すべきである。以上の2点を明らかにし、 Neuropsychiatry 2017 7 (7), 739-744 に発表した。
著者
山川 恵子 伊藤 憲治 湯本 真人 宇野 彰 狩野 章太郎 加我 君孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.656, pp.19-24, 2004-02-12

縦書き・横書きの表記形式の単語、シンボル、ラインを中心視野に提示し、視覚誘発脳磁場の比較を行った。全頭および左右側頭部の被験者全員分のRMS(Root Mean Square)を算出し、およそ5ms毎に縦・横×刺激の種類(2×3)の分散分析を行い、条件ごとの反応に有意差がみられるかを検討した。単語の処理においてのみ出現する反応として、(1)180-200ms、(2)250msあたり、(3)370msあたりをピークとする三つの成分(N180、RP、P300)が共通して確認された。どの成分においても単語刺激では縦書きの反応が横書きよりも一貫して強く、縦書き文字の処理は横書きに比べ何かしらの高度あるいは困難な過程が含まれることが示唆された。縦書き・横書き文字の脳内の認知処理における本質的な違いが示唆され、これまでの研究で議論されてきたような読みにおける縦書きの効率の悪さは、サッケードや眼球運動によってのみ起因するものではない可能性が示された。
著者
伊藤 憲治 平松 謙一 福田 正人 湯本 真人 越田 一郎 丹羽 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.472-473, 1995-03-27

人間における言語理解、推論、学習などは、言語、認知、さらに思考過程の中心的な役割を果たしており、現在、情報科学、認知科学、神経科学、精神科学など多くの分野において、その脳内過程の解明、さらにその障害の診断や治療法の確立が望まれている。近年、これらの脳内の言語・認知過程に対し、従来の心理学的な手法やMRIなど主として脳の構造を明らかにするものに加え、脳波(EEG)や脳磁図(MEG)など脳の電気・磁気的生理活動をとらえるもの、PET、SPECT、機能的MRI(fMRI)など代謝活動をとらえるものなどによる脳の機能情報が得られ始めている。今後、さらに新たな脳の機能計測法の利用が期待される。これら高次脳機能およびその障害を把握するには、これら脳構造・生理・代謝情報の協同によって、言語・思考過程にかかわる脳内部の局在同定とその活動動態を三次元的に把握する必要がある。しかし、これらの情報は、たとえばEEGやMEGはミリ秒単位で脳・神経系の活動を可視化できるが皮質表面付近の活動情報が主なものである。逆にPET、SPECT、fMRIなどは、三次元の脳内部の活動情報が得られるが、分・秒単位で時間分解能が悪いなど、それぞれ機能情報に違いがある。また、それらの情報を計算機処理データをして扱う場合、画像モデルが異なるなどの問題があり、これまで、種々の脳関連情報を統一的に扱うことが困難であった。現在、言語と思考過程とその障害の解析、さらに新たな脳機能情報に対処できる臨床システムの開発を指向して、三次元脳機能局在を同定するための言語・認知検査課題と異種脳機能情報の解析プログラムを作成し、統合情報の動態を映像化するシステムの構築を始めている。ここでは、このシステムの構成を説明し、開発システムを用いた正常者および言語・思考の異常を示す精神神経疾患患者の観測とこれら脳機能情報に基づく言語・思考過程とその障害のモデル作成の試みを紹介する。