著者
井元 淳 甲斐 尚仁 真名子 さおり 片山 亜有 新貝 和也 千住 秀明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.385-390, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
38

本研究では,誤嚥性肺炎発症の因子を考察し,その予防や発症後のアプローチの検討を行うため,誤嚥性肺炎患者と非誤嚥性肺炎患者の唾液分泌量と日内リズムについて明らかにすることを目的とした.対象は誤嚥性肺炎で入院となった10名(誤嚥群)と,その他の疾患で入院となった10名(非誤嚥群)の計20名(年齢87.9±7.9歳)であった.方法として唾液分泌量,摂食・嚥下能力,食事の種類,身体活動性などを評価した.その結果,誤嚥群では摂食・嚥下能力とともに身体活動性が低いことで誤嚥性肺炎のリスクが高まっていた.また唾液分泌量の日内リズムでは夜間の唾液分泌量は両群とも低下していた.以上の結果から,誤嚥群では口腔環境の不良による肺炎発症のリスクを高めていることが示唆された.本研究によって,肺炎の発症を予防するためには,唾液分泌量の増量と睡眠前の口腔ケアなどによる口腔環境の改善を図ることの重要性が示された.
著者
福田 里香 出口 純子 井元 淳 豊永 敏宏 岩本 幸英
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.167-175, 2019-12-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
31

【目的】男性単身世帯者が簡便に実施できる「野菜摂取量増加」と「食事量を腹八分目にする」に重点をおいた介入プログラムを作成・実践し,野菜摂取量や体組成に変化があるか否か検証した。【方法】研究デザインは,単群の前後比較試験とした。2企業で働く単身世帯の健常男性16名(42.4±5.4歳)を対象とした。介入期間は12週間で,初回に前述2項目を実施するための行動目標を対象者が設定し,行動目標実行度を10段階評価で4回聴取した。それぞれの企業の会議室にて,各企業4,5人のグループで30分程度の調理実演を2回実施した。評価項目として食事調査は半定量食事摂取頻度調査を用いてエネルギーおよび食品群別摂取量(1,000 kcalあたりで表示)を算出した。また身体活動量,体組成,内臓脂肪面積および皮下脂肪面積の測定を行なった。各項目について介入前後で比較検討を行なった。【結果】行動目標実行度は,「今よりも野菜の摂取量を増やす」では上昇傾向に,「食事量を腹八分目にする」では下降傾向であった。介入前後でエネルギー摂取量に有意な差は認められなかったが,緑黄色野菜とその他の野菜の摂取量は有意に増加した。また,体脂肪率は減少傾向にあり,骨格筋率,上腕筋肉率,体幹筋肉率が有意に増加した。【結論】対象者が自ら決定した行動目標実行度の聴取や手軽で簡単な調理を実演することで行動変容が促され,野菜摂取量は増加し,体組成に変化がもたらされた。
著者
天米 穂 松本 大夢 荻原 勇太 井元 淳
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C-49_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】内部疾患患者におけるバルサルバ現象は、リスク管理の面から避けるべきであると、さまざまな研究で指摘されている。しかしながら、バルサルバ効果と瞬間最大筋力との関連性を示した研究は乏しい。よって本研究では、バルサルバ効果の有無がバイタルサインに及ぼす変化と瞬間最大筋力にどのような影響を与えるかを検証することを目的とした。【方法】被験者は年齢18~22歳の健常人31名(男性 16名、女性15名)とした。バルサルバ法時と呼気時の等尺性膝関節伸展筋力(以下、筋力)をそれぞれ2回ずつ測定し、バイタルサインとして血圧、脈拍および経皮的酸素飽和度(以下、SpO2)の測定を安静時、筋力測定直後、筋力測定後5分経過時の3回実施した。【結果】筋力、収縮期血圧では呼気時に比べバルサルバ法で高い値を示した。バイタルサインの変化において、筋力測定直後にバルサルバ法では収縮期血圧上昇、SpO2低下を認めた。呼気時では収縮期血圧上昇と脈拍増加を認めた。【結論】瞬間最大筋力増強の要因として、胸腔腹腔内圧上昇によって腹筋群の緊張や体幹の安定性が向上したことが考えられる。収縮期血圧は両方法とも筋力測定直後に高い値を示し、バルサルバ法では呼気時と比較して有意に上昇していた。これは圧受容器反射による影響が考えられる。脈拍は呼気時において筋力測定直後で高い値を示した。これは循環応答に加えてベインブリッジ反射による影響が考えられる。いずれの項目でも安静時‐筋力測定5分後において有意差は認められず、バイタルサインの変化は緩徐であったため、健常人ではリスクになりうる強度ではなく、バルサルバ法による瞬間最大筋力の増強は可能であることが示唆された。今後の課題として、中高年者や高齢者などに対しても検証を行い臨床応用に繋げる必要がある。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言を遵守し個人情報の取り扱いに配慮し、被験者の同意を得て実施した。
著者
梅野 和也 中村 浩一 井元 淳 白澤 浩太郎 石田 猛流 加来 謙治 土井 康太
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.313-317, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

〔目的〕3種類の運動イメージ評価法とmental practice(MP)でのパフォーマンスの変化との関係を検討することとした.〔対象と方法〕健常学生20名とした.MP前後における運動課題の成績比較からMPの有効性を検討し,Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version(JMIQ-R),メンタルクロノメトリー,メンタルローテーションの3種類の評価結果とMPの効果との関係を検討した.〔結果〕MP前後の運動課題に有意な改善が認められ,メンタルクロノメトリーとパフォーマンスの変化量との間に中程度の相関関係が認められた.〔結語〕メンタルクロノメトリーで測定した運動イメージ能力が,MPの効果と関わりがある可能性が示唆された.