著者
安部 正真 橘 省吾 小林 桂 伊藤 元雄 渡邊 誠一郎
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.28-37, 2020-03-25 (Released:2020-05-22)

探査機「はやぶさ2」は小惑星リュウグウ表面での試料採取のための二回の着陸運用を成功させ,現在,地球帰還に向けて,飛行中である.2020年末に地球に届けられるリュウグウ試料は,地球帰還から6ヶ月の期間,JAXAキュレーション施設内に設置された専用のクリーンチャンバーの中で,地球大気にさらされず,窒素ガス中で初期記載される.その後,一部試料に対し,外部機関でのJAXA主導の高次キュレーションならびに「はやぶさ2」科学チームによる初期分析がおこなわれる.地球帰還から18ヶ月後には,それらの分析結果はカタログ化され,国際公募による分析に試料が配布される.本稿では,初期記載,高次キュレーション,初期分析に関し,それぞれの目的や実施内容,計画について示し,国際公募開始以前にJAXAならびに「はやぶさ2」プロジェクトが主導しておこなうリュウグウ試料分析の全体像を紹介する.
著者
土居 安子 遠藤 純 小松 聡子 酒井 晶代 三宅 興子 浅岡 靖央 伊藤 元雄
出版者
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、明治期の代表的な出版社である博文館の編集者・作家であった故・南部新一(1894~1986)の書簡を調査・研究することである。その成果として、まず、南部書簡を整理、撮影、データ化し、書簡の概要データをホームページで公開することによって、近代文学、児童文学、出版史等の基礎資料の整備ができた。そして、書簡の中から巖谷小波、木村小舟、池田文痴菴、博文館館員等の書簡について研究することで、博文館の児童雑誌の編集、明治・大正・昭和期の児童文学・児童文化の一端を明らかにすることができた。これらの成果は日本児童文学学会、及び当財団紀要で報告し、従来の児童文学研究の枠を広げ、深めることができた。
著者
苧阪 良二 伊藤 法瑞 伊藤 元雄 ITO Hozui
出版者
愛知学院大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

1.カウフマン装置(K-1,K-2)と関連器具の製作:単眼視しかできない原型を改良し、大口径レンズによって両眼視のできる比較刺激装置(K-1,K-2)を完成た。併せて既設のガンツフェルト大視野への投映装置、4筒(上下左右)の標準刺激装置、接眼小視野呈示装置、野外実験用人工月提示器具などを製作した。主力となる大型カウフマン装置は口径120mm、焦点距離250mmのレンズを装着し、自動光円提示部を内臓しており、K-1は等視角ステップで10〜85分角の16光円、K-2は等面積ステップで15〜84分角の16光円が逐次呈示できる。また小形ハーフミラーに代えて大型透明ガラス衝立を作った。他に既製の苧阪型(O-2)1mm直径ステップ、22〜103分角を改修した。2.カウフマンらは在来型のボーリング(苧阪)型の測定法を批判しているが、その点を満月を対照に反復実測した。被験者は心理学科の大学生4〜10人で2年間にわたり10回の満月チャンスに測定比較したところ、K-1,K-2の両眼視のため当然カウフマンより異方度が高値でK-1=1.73,K-2=1.63,O-2=1.43であり、KとOの列位相関は0.7以上あった。在来型の測定法も使用可能であることが判った。使用体験しないとわからないが、K型は観測距離は20〜40cmと融通がきくが、いわゆる方向と位置の恒常性に乏しく比較の際の視線の制約が大きかった。3.小室間で人工月(紙)を用いた実験ではカラースライド投映の風景差が認められたが、与えられた風景の中での月の大きさに適応水準があるように思われ、あまりに大きい人工月では過小視が起こった。4.視野の上下に関し、坂道での抑視と俯視では下方の過大視が認められた。またVER(視覚誘発電位)の実験では上より下方に提示した人工月に対してC-II成分に特異生が認められ、月の錯視への関連生は不明であるが、上下方向差があるのは事実である。