著者
榎本 善成 野呂 眞人 伊藤 尚志 久次米 真吾 森山 明義 熊谷 賢太 酒井 毅 坂田 隆夫 杉 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_111-S2_116, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
12

症例は29歳,男性.17歳時に不整脈原性右室心筋症(ARVC)による心室頻拍(VT)から心肺停止となり,植込み型除細動器(ICD)を植え込み経過観察していた.2011年3月11日の東日本大震災以降,動悸の訴えあり3月14日ICD作働を認めたため,当院緊急入院となった.入院時心電図は,左脚ブロック型,右軸偏位のHR100台の心室頻拍(VT)であり,over-drive pacing,各種抗不整脈投与でも停止しないため鎮静下でVTコントロールを開始した.約1週間の鎮静でコントロール後,持続するVTは消失したため,第48病日に独歩退院となった.しかし,その後も心不全悪化のために短期間で再入院を繰り返し,6月4日に再入院となった.心臓超音波検査(UCG)では,右心系の著明な拡大のみならず左室駆出率10%程度の両心不全の状態であり,入院後再度VT storm状態となった.鎮静下でのコントロールも無効であったため,補助循環装置(PCPS)導入したが,VT stormが鎮静化することなく,死亡した.震災を契機にVT storm状態となり心機能悪化が助長されたARVCの1例を経験した.
著者
前田 義信 伊藤 尚 谷 賢太朗 佐藤 輝空 加藤 浩介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.63-68, 2011-05-13
参考文献数
27
被引用文献数
1

社会問題のひとつである"いじめ"は強者から弱者に対して行われる従来型の一方的な攻撃から,対等な他者との間で加害者と被害者が流動的に入れ替わる双方向の攻撃へとその性質を変容させつつある.当事者はいつ自分が被害者になるか予想することもできない不安を常に持ち,それゆえ対等な他者からの承認を常に必要とする"フラット"な関係が築かれるようになった.また流動性ゆえに,教育者をはじめとする支援者も対策に頭を悩ませている.そこではどのような事態が生じているのか?本稿では,エージェント,価値,エージェントが起こす行動,相互作用で構成される形式的な人工学級モデルを提案し,マルチエージェントシミュレーションによってその現象を調べる.相互作用を繰り返すことによって自分が見出す価値数がゼロになった経験を有するエージェント(いじめ被害者)と,他のエージェントから反感性の行動を連続的に受け続けたエージェント(いじめ被害者の候補=潜在的いじめ被害者)を定義し,その状況を調べた.その結果,交友関係における対立回避i,相補性やべき乗分布に従ういじめの特性が観察され,支援者によるいじめ発見の困難さとの関連性を考察した.

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著者
伊藤 尚子
出版者
近畿大学
雑誌
文学・芸術・文化 : 近畿大学文芸学部論集 (ISSN:13445146)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.42-37, 2005-07-20
著者
伊藤 尚 藤本 浩 長井 浩 藤本 浩 長井 浩
出版者
徳山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

まず,小型で安価な風況調査用データロガーの開発を行った。その際,SD カード記録方式の更なる安定化および風況調査以外のアナログセンサー入力を考慮しての回路設計変更およびソフトウェアの改良を加えた。また,普及を推し進めるためのリーフレットも配布しながら,市場調査を行った。その結果,国内外で大手の風力開発企業や地元建設企業からの引き合いもあり,様々な環境下での風況調査試験が行われ,得られたデータの信頼性について検討を加えた。実際の教育応用について,再生可能エネルギー利用促進のための教育プロジェクト実例として,千葉県内の風力発電の盛んな地帯にある中学校において,環境教育の積極的な推進を展開するためにデータロギングを継続した。その結果,地域環境問題と地球環境問題を正しく理解させれば,風力発電施設の増設を希望する結論が得られた。データロガーを用いての環境エネルギー教育の有効性を示したものと考えられる。
著者
栗田 孝 伊藤 尚 熊倉 鴻之助 笠井 久隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.133-140, 1999-09-25

著者らはマストパラン類中のマストパランT(MT)をモデルペプチドに選択し, N末端3残基をGly-Leu-Alaに置換した誘導体(GLA-MT), 及びその3残基を取り除いた誘導体(MT-GG-11), 5位, 8位のAlaをGlyに置換した誘導体(GLA-MT-AG, GLA-MT-GA及びGLA-MT-GG)を液相法により合成し, その生物活性を測定した。GLA-MTはウシ副腎髄質クロム親和性細胞からのカテコールアミンの放出作用においてMTの活性を2倍に増強し, 合成したマストパン誘導体の中では最も高い活性を有した。また, GLA-MT-GGはそれ自体に活性がないものの, クロム親和性細胞に対する高濃度の前処理によりマストパランによるカテコールアミン放出を増強した。さらに, 円二色性の測定によるα-helix含量, カルモデュリン及び赤血球膜への結合性, 赤血球溶血作用を検討した。マストパランは細胞情報伝達に関与するGTP-binding proteinsを活性化することから, 細胞情報伝達系異常に由来すると考えられる疾患の原因を解明するツールとして, 有用な高活性マストパラン誘導体を合成できる可能性が示唆された。
著者
臼井 正哉 物井 則幸 中田 英夫 伊藤 尚 熊倉 鴻之助 笠井 久隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.185-188, 1999-09-25

マストパラン(MP)はクロム親和細胞に作用しカテコールアミン(CA)放出を引き起こすことが知られている。我々はすでに, MPのN末端領域がCA放出活性に大きく寄与していること, MPのN末端4残基フラグメント(INLK-NH_2;N-4)はそれ自身にはCA放出活性が認められないが, ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)に選択的に作用して抑制効果を示し, その作用部位はAChと異なることを示唆した。今回我々は, 13種N-4アナローグを新規に合成しAChによるCA放出抑制効果を比較し, 以下のような結果を得た。(1)1-2位あるいは4位アミノ酸のロイシンあるいはアルギニン置換により抑制効果が増強された。(2)最も抑制効果の強かったアナローグであるLLLK-NH_2はN-4の約6倍の抑制効果を示した。これら新規ペプチドはnAChRの関与する疾患への治療薬としての応用が期待される。