著者
加藤 浩介 榊原 健一 川井 敬二
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、音場が歌唱に与える影響に着目し、歌唱時における体性感覚・聴感印象および発声された歌声の音響的特徴に対して音場が及ぼす影響を検証した。その結果、次の3点が示された。1)残響条件によって、異なる聴感的印象の歌声が発声される。2)残響条件によって、歌唱者が異なる体性感覚・異なる聴感的印象を感じながら発声を行う。3)残響条件によって、異なる声帯振動が起こり、異なる音響的特徴の歌声が発声される。
著者
加藤 浩介 坂和 正敏 片桐 英樹 小川 篤
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.402-411, 2007-08-15

多目的確率計画問題に対して,従来,期待値最適化モデルや分散最小化モデルに基づいて意思決定者の満足解を導出するための方法が提案されてきている.しかし,これらのモデルに基づいて得られる解と,不確実な意思決定状況で意思決定者が目的関数に対する満足度を表す効用関数の期待値を最大化しようとするという期待効用最大化原則に基づいて得られる解の整合性は保証されていない.一方,確率変数の分布関数を積分した二次分布関数の大小関係により確率変数を順序付けする二次確率優越という概念があり,目的関数に対する意思決定者の効用関数がリスク回避的である場合には,二次確率優越は期待効用最大化原則と整合的であるという性質がある.そこで,本研究では,多目的確率計画問題に焦点をあて,二次確率優越の概念に基づくパレート最適性を定義し,期待効用最大化原則と整合的な満足解を導出するための対話型ファジィ満足化手法を提案する.
著者
高田 仁 加藤 浩介 松橋 俊彦 中川 功一 松行 輝昌
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

科学技術商業化の類型として、実践的教育プログラムの有効性に着目する『教育モデル』を確立するために、その教育効果と商業化促進効果、満たすべき要件等を明らかにすることを試みた。その結果、プログラムをきっかけにステークホルダーへの働きかけと共感の獲得が商業化プロセスの前進に有効である可能性を見出した。また、プログラム受講者の教育効果を分析した結果、異なるバックグラウンドの受講者が受講を通じて活発な知識交換を行うことを明らかにした。以上から、科学技術商業化の『教育モデル』の概念化を試みたところ、Galison(1997)の提唱する「トレーディング・ゾーン」を援用して説明できる可能性を見出した。
著者
加藤 浩介 坂和 正敏 片桐 英樹 稙田 公一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J85-A, no.9, pp.967-975, 2002-09-01

あいまい性や不確実性が含まれるシステム最適化に対するアプローチとしては,不確実性を確率論に基づいて取り入れた確率計画法やあいまい性をファジー理論に基づいて表現したファジー数理計画法が代表的であり,様々な形で発展してきている.本研究では,問題に含まれる係数が確率変数である多目的線形計画問題に焦点を当て,制約条件は常に満たされる必要はなく,ある確率以上で満たされればよいとする機会制約条件のもとで複数の目的関数がある値以下になるという確率を最大化するという確率最大化モデルを用いて定式化する.そして,多目的確率最大化モデルに対して意思決定者のファジー目標を導入するとともに,意思決定者との対話により意思決定者の満足解を導出する基準点法に基づく対話形アルゴリズムを適用するという,確率計画法とファジー計画法を融合した新しい意思決定手法を提案する.
著者
加藤浩介 安藤 四一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.121-126, 2002-05-18

建築音響と音楽音響の橋渡しの研究として、音源の時間的なファクターを定量的に評価し、音楽とホール音響の融合を試みる。聴者と演奏者に最適な音場条件が、音源の自己相関関数(ACF)の有効継続時間の最小値(te)minから求まるというAndoの理論[安藤四一著・酒井博之・佐藤伸一共訳,建築音響学?音楽演奏・音響空間と聴衆との融合,シュプリンガーフェアラーク東京,2000]に基づき、声楽の楽譜と演奏スタイルから歌声の(te)minを予測することを本研究の目的とした。特に本稿では、歌詞の違いと演奏テンポの違いがte(遅れ時間ごとの信号の繰り返し成分の減衰)にどの程度影響を及ぼすかに着目し、4人の被験者の歌声を無響室録音してACFの解析を行った実験結果を報告する。最も重要な発見は、1)歌詞の種類によってhumming > melisma singing > lyric singing >non-voiced singingの順に (te)minは短くなる;2)演奏のテンポが3倍になっても(te)minはほとんど変化しない;3)音の高さが変動しないモチーフは、音の高さが変動するモチーフと比べて(te)minが有意に長い(p < 0.05)という点である。Concert halls do not have ideal conditions for all music programs. It is well known that the most preferred conditions for both listener and performer are determined by the minimum value of the effective duration of the running autocorrelation function (ACF) of sound signals, (te)min [Y. Ando 1998 Architectural Acoustics-Blending Sound Sources, Sound Fields, and Listeners. AIP/Springer-Verlag, New York]. An attempt is made here to estimate (te)min of vocal music by rating various kinds of interpretation styles of singers. The present results showed that (te)min of the ACF of a voice source varies with lyrics and fluctuation of pitch but not music tempo. Significant findings are 1) Values of (te)min are relatively longer in order of: humming > melisma singing (singing with "la" syllables) > singing with lyrics > non-voiced (breath noise) singing; 2) Values of (te)min of fast vocal music may not be shorter than those of slow tempo music; 3) Values of (te)min of vocal music with pitch fluctuation is shorter than those of music with constant pitch (p < 0.05).
著者
前田 義信 伊藤 尚 谷 賢太朗 佐藤 輝空 加藤 浩介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.63-68, 2011-05-13
参考文献数
27
被引用文献数
1

社会問題のひとつである"いじめ"は強者から弱者に対して行われる従来型の一方的な攻撃から,対等な他者との間で加害者と被害者が流動的に入れ替わる双方向の攻撃へとその性質を変容させつつある.当事者はいつ自分が被害者になるか予想することもできない不安を常に持ち,それゆえ対等な他者からの承認を常に必要とする"フラット"な関係が築かれるようになった.また流動性ゆえに,教育者をはじめとする支援者も対策に頭を悩ませている.そこではどのような事態が生じているのか?本稿では,エージェント,価値,エージェントが起こす行動,相互作用で構成される形式的な人工学級モデルを提案し,マルチエージェントシミュレーションによってその現象を調べる.相互作用を繰り返すことによって自分が見出す価値数がゼロになった経験を有するエージェント(いじめ被害者)と,他のエージェントから反感性の行動を連続的に受け続けたエージェント(いじめ被害者の候補=潜在的いじめ被害者)を定義し,その状況を調べた.その結果,交友関係における対立回避i,相補性やべき乗分布に従ういじめの特性が観察され,支援者によるいじめ発見の困難さとの関連性を考察した.