著者
八杉 昌宏 馬谷 誠二 鎌田十三郎 田畑 悠介 伊藤 智一 小宮 常康 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1-13, 2001-11-15
被引用文献数
4

MIMD 型並列計算機における効率の良い並列処理のための,メソッドの実行時置換と構造化されたスレッドによる並列処理を特徴とするオブジェクト指向並列言語OPA を開発している.本論文では,その共有メモリ型並列計算機用のコード生成手法について述べる.コンパイル時には,オブジェクトへのメモリアクセスやコンテキストスイッチ時のメモリアクセスを削減するための解析を行う.また実装方式としては,プロセッサ間通信とスレッドスケジューリングにはlock-free バッファ管理方式,スレッド内スケジューリングには関数フレーム二重表現方式と値ベースサスペンドチェック方式,同期処理には重み付きカウント方式などを用いている.値ベースのチェックにより,1 呼び出しあたり1 分岐命令追加程度のオーバヘッドで高速なコンテキストスイッチを可能とした.We are developing an object-oriented parallel language OPA for effcient parallel processing on MIMD computers,which features dynamic method replacement and structured parallel processing using multiple threads.In this paper,the code generation techniques for shared-memory parallel computers are presented.The compiler performs analyses to reduce the memory access to objects and the memory access on context switches.The implementation techniques include a lock-free buffering method for inter-processor communication and thread scheduling,a double function-frame representation method and a value-based suspension check method for intra-thread scheduling,and an weighted counting method for synchronization.The value-based check enables fast context switches with small overhead for an additional branch instruction per call.
著者
中田 秀基 竹房 あつ子 広渕 崇宏 伊藤 智 関口 智嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.167, pp.55-60, 2010-07-28
参考文献数
8
被引用文献数
2

データセンターにおける消費電力低減手法の一つとして、低負荷時には仮想計算機群を少数の物理計算機に集中することで、他の物理計算機を低消費電力状態でスタンバイさせておく方法が考えられる。仮想計算機の負荷が上昇した際には、物理計算機をレジュームし、そこに仮想計算機を高速にマイグレーションすることで、仮想計算機のユーザのユーザ体験を損なわずに、消費電力を低減することができる。この方法を実現するには、負荷に応じて仮想計算機の配置を決定(仮想計算機パッキング)する手法が必要である。本稿では、仮想計算機パッキング問題に対して、いくつかの方法でアプローチし、そのパッキングの質と速度に対する評価を行った。具体的には、遺伝的アルゴリズム、0-1整数計画法を用い、グリーディなアルゴリズムであるFFD法と比較した。0-1整数計画法のソルバとしてはオープンソースのGLPKを用いた。評価の結果、以下を確認した。1)遺伝的アルゴリズムおよび0-1整数計画法は最適化に時間がかかり、リアルタイム性が要求される仮想計算機パッキング問題には必ずしもそぐわない。2)FFD法は、使用ノード数の最小化には効果があるが、マイグレーション数が制御できない。3)遺伝的アルゴリズムを、FFD法で導出した解の改良に用いることができる。
著者
川嶋 紘一郎 西村 尚哉 林 高弘 伊藤 智啓 古村 一朗 三留 秀人 杉田 雄二
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,構造物内部あるいは接合界面に存在する、線形超音波あるいは放射線等で検出不可能な、微細な不完全結合部(マイクロクラック、キッシングボンドなど)を非破壊的に検出するため,大振幅超音波を入射し不完全接合部の繰返し打撃・摩擦により励起される,2次高調波(入射波周波数の2倍の周波数を持つ波)振幅を計測し,入射波振幅に対する比を2次元画像表示する装置の開発を目的とした.主な研究成果は以下の通りである.1)従来の固体の非線形超音波計測法と異なり,超音波素子を試験片に貼りつけることなく,市販の大振幅超音波発生装置,超音波センサーを用いて、0.4%以上の2次高調波振幅比(感度は0.1%)を測定する方法を開発した.これにより材料・構造の任意の位置での高調波計測が可能になる。2)水浸集束センサーを用いて固体接合部に超音波エネルギーを集中させ,発生した高調波を広帯域のハイドロフォンで検出する計測システムを開発し、線形超音波法では界面反射波が検出できない程度の、ごくわずかな拡散接合界面特性の変化を検出できることを実証した。これによって,従来法では不可能であった,高信頼性が要求される航空機ロケット,自動車などの高品位接合部の構造健全性評価が可能となる.3)閉口疲労き裂面で励起される漏洩表面波の2次高調波を測定することにより,深さが1-2mmのき裂深さを定量的に計測する方法を開発した。これにより圧力容器の開放点検時に閉口しているき裂状欠陥のその場非破壊寸法測定が可能となる。4)固体材料中あるいは表面に存在するナノメートル程度の隙間を模擬する接触要素を用いて,大振幅超音波によりそれら隙間で励起される2次高調波の発生・伝播状況を可視化する動的有限要素法を開発した.5)特許【非線形超音波による接合界面健全性評価法及び装置】の出願準備中である.6)本研究を契機に非線形超音波による材料評価に関する2件の民間との共同研究を実施している。