著者
干川 尚人 大島 達也 西辻 崇 白木 厚司 伊藤 智義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.10, pp.792-801, 2022-10-01

コロナ禍は場所に依存しないリモートワークを急速に普及させ,更にオフィスの地方移転やワーケーションのような働く場所の地方分散を促進させた.これにより通信のエンドポイントをつなぐ地方の通信設備維持の重要性も大きくなっている.しかし,近年の人手不足の事情もあり,通信インフラ事業者では現地での物理的な作業が必要なケースでは遠方の拠点から技術者を派遣する形態が一般的になっており,オンライン監視でサポートできない物理異常の発見方法がサービス品質維持のために重要である.この課題に対して,我々はマシンルーム環境の監視を目的にセンサとアクチュエータを搭載した汎用ベースロボットによって,その解決を試みる.この論文ではまず地方の通信設備における労働力と物理異常検知の課題を述べ,その維持管理業務をサポートするための新たなベースロボットシステムを提案する.そしてこのコンセプトを実証するためのプロトタイプロボットを実装し,その予備実験結果を示す.
著者
伊藤 智也 中野 誠士 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.197-199, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
12

筆者等は,これまで方状節理と柱状節理の生成に基づく岩場景観のモデリング法と,粒子要素法的アプローチによる剛体の運動シミュレーション法を提案している.本論文では,これらの手法を併用することにより,岩塊の崩落による堆積を伴うより自然な岩場景観のビジュアルシミュレーションが可能となることを示す.
著者
伊藤 智也 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.86-95, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

本論文では,柱状節理の形成過程のシミュレーションに基づく,岩場形状のモデリング手法を提案する.節理形状は岩場景観の視覚的特徴を与える重要な要因の一つであるが,これまで節理形状の形成に基づく岩場景観の生成技術に関する研究例は極めて少ない.本提案手法は,(1)初期溶岩形状に対する熱伝導シミュレーションによる温度分布の生成,(2)温度分布から収縮中心線の生成,(3)収縮中心線を母線としたボロノイ領域分割,および(4)風化シミュレーションのステップからなる.また,計算の効率化のために,(1)には低解像度のボクセル空間を,(2)-(4)には高解像度のボクセル空間を用いている.本手法では,さまざまな境界条件に応じた柱状節理形状が容易に生成可能である.
著者
佐藤 幹也 伊藤 智子 谷口 雄大 大森 千尋 金 雪瑩 渡邉 多永子 高橋 秀人 野口 晴子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.617-624, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
23

目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。
著者
佐藤 洋一 相澤 純 田島 克巳 伊藤 智範
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.75-87, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
28

科学における不正(偽造・捏造,改ざん,盗用)が繰り返し起きている.とりわけ,科学者の就職や昇進時において研究業績が求められるようになってから,不正の事例が表立って報告されるようになってきた.多くの事例を調べてみると,研究不正の動機として,1)知的満足感を得るため,2)周囲から注目されたいため,あるいはいたずら心,3)結論ありきで,ストーリーに沿ったデータを求める上司,あるいは本人,4)営利企業に有利な結果を出すことによる資金獲得という誘惑,があげられる.また,背景として若い時に受けた研究不正に関する不適切な指導と,実験研究の細部まで目を配ることができなくなった研究体制があげられる.査読や同僚評価,あるいは煩雑な不正防止規程は抑止策として十分とは言えない.研究不正は科学の進歩に計り知れない損害を与えるだけに,教育課程の中でしっかりした研究を実体験させる必要がある.
著者
北浦 健生 太田 和宏 吉田 誠 曽我 綾香 野路 稔 伊藤 智司 岡田 英孝 北 宜裕
出版者
神奈川県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.160, pp.1-6, 2016 (Released:2016-09-14)

青首総太り品種が主流となっている現在のダイコン生産・流通体系において,特色あるダイコン新品種の開発を目的に、白首総太りダイコンの一代雑種品種を,神奈川県農業技術センター,民間育種家及び横浜植木株式会社の3者で育成した。花粉親系統については当所と県内育種家が育成を担当し,2003年から‘大蔵’及び‘晩野路’を交配母本に用い,集団選抜法により根形が円筒形の系統を育成した。2009年の集団選抜第6世代以降,形質の分離幅が縮小したため,横浜植木(株)保有の雄性不稔系統を種子親としたF1交雑検定を並行して実施した。計25の交雑系統から有望な系統‘UON’を選抜し,特性検定及び現地適応性試験を実施した。その結果,‘UON’は根部が首部を含め全体が白色で円筒形,甘味が強く,‘耐病総太り’と同等の食味評価を確認したことから,‘湘白’と命名し,2013年3月5日に品種登録出願し,2015年6月19日に品種登録を受けた(農林水産省登録番号第24375号)。
著者
黒田 啓行 庄野 宏 伊藤 智幸 高橋 紀夫 平松 一彦 辻 祥子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.209, 2005

実は多くの漁業は漁獲量の制限などにより管理されている。漁獲許容量(TAC)は、現在の資源量(魚の量)などから算出されるのが通例である。しかし現実には、データや知見の不足により、資源量などの推定は難しく、さらに将来の環境変動などを予測することも容易でない。このような「不確実性」は、科学の問題だけでなく、合意形成をはかる上でも大きな障害となる。<br> ミナミマグロは南半球高緯度に広く分布する回遊魚で、商品価値は非常に高い。日本、オーストラリアなどの漁業国が加盟するミナミマグロ保存委員会(CCSBT)により管理されている。しかし、近年の資源状態については、各国が主張する仮説によって見解が異なり、TACに正式合意できない状況が続いていた。<br> この状況を打開するために、CCSBTは2002年より「管理方策」の開発に着手した。管理方策とは、「利用可能なデータからTACを決めるための"事前に定められた"ルール」のことで、環境変動や資源に関する仮説が複数あっても、それら全てに対し、うまく管理できるものが理想的である。そのため、様々な仮説のもとでのテストが事前に必要であるが、実際に海に出て実験することは不可能に近い。そこで、コンピューター上に資源動態を再現し、その「仮想現実モデル」のもとで、複数の管理方策を試し、より頑健なものを選び出すという作業が行われた。このような管理方策の開発は、国際捕鯨委員会(IWC)を除けば、国際漁業管理機関としては世界初の画期的な試みである。実際にCCSBTで管理方策の開発に当たっている者として、開発手順を概説し、問題点及びその解決方法について紹介したい。不確実性を考慮した管理方策の開発は、持続可能な資源の利用を可能にし、魚と漁業に明るい未来をもたらすものと考えている。
著者
金澤 圭吾 岸 弘倫 伊藤 智基 佐藤 哲也
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第23回全国大会
巻号頁・発行日
pp.308-312, 2008 (Released:2010-02-10)

When the House of Councilors was elected in 2007, we executed the Prediction market. We set up a virtual stock market, and forecast a certain case based on those dealing Information in the future. And, we compared the forecast result with an actual result and verified the effectiveness.
著者
伊藤 智章
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

タブレット型携帯情報端末で動作するアプリケーションソフトを利用して、地図を共有するシステムを考案した。現在、導入が検討されている「デジタル教科書」の多くが、授業者主導の教材作成ができない状態になっている中で、タブレット端末を使った「デジタル地図帳」は、GISを援用して、誰でも自由に教材を作成、共有できるのが特徴である。 今回は、Apple社の「iPad2」を用いた。利用したソフトは、「GoogleEarth」と、地図アプリ「ちずぶらり」である。教室での利用と、野外調査での利用を想定して、実証実験を行った。 「Google Earth」は、パソコン用の各種GISソフトとの親和性が高いので、授業者が作った主題図や、インターネット上で調達した各種データを生徒の手元で簡単に提示することが可能である。ただし、回線速度や動作の安定性に課題があるため、野外巡検での利用には課題が残る。 「ちずぶらり」は、地図を画像データとしてとして扱い、位置情報の付与や写真の埋込みはパソコンからクラウド経由で行う。地形図はもとより、位置情報を持たない古地図や観光案内図、ハザードマップなどをタブレットで持ち運ぶことができる。また、インターネットに繋がらなくても閲覧や現在地表示が可能なので、野外調査実習の教材としての実用性が高い。ただ、位置情報を持っているGISデータも、画像として取り込んで位置合わせをし直さなければならないこと、アプリ更新の承認等の手続きが必要なため、地図の登録から閲覧開始までのタイムラグが長いこと、地域および更新者を限定しているので一般の教員が手軽に利用する環境にないこと等である。 地理教育は、「セルフメイドの地図帳」を手に入れようとしている。明らかになった課題を基に改善を行い、現場主導のデジタル教材開発を充実させていきたい。
著者
森本 幸子 伊藤 智之 川村 有紀 菅原 里江 坂本 真士
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.92-101, 2016

当事者から声を発信する活動が多く行われるようになってきている。当事者やその家族が体験を話すことによって、スティグマが解消されることが報告されているが、当事者が自分の体験を話すことは当事者自身あるいは聴衆にどのような影響を与えるのだろうか。本シンポジウムでは、当事者から声を発信することがどのようにスティグマを解消するのか、その意義や残された課題について整理し、議論したい。
著者
伊藤 智章
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.516-525, 2016 (Released:2017-03-29)
参考文献数
9

高等学校の地理教育におけるGISの普及低迷を打破するための手段として,タブレットコンピューターの活用を企図し,学校の現状に合わせた教材を開発した.沖縄への修学旅行の事前学習と現地研修において,現地の新聞記事とデジタル地図を組み合わせたアプリケーションソフトを作り,地図と記事との関連づけや,現地での研修を行うことにより,生徒に沖縄の歴史と市街地の変遷について深く理解させることができた.タブレットコンピューターによるGIS教材は,パソコンよりも操作が容易であり,かつインターネットへの常時接続を必要としないため,汎用性が高い.本教材を地理教育にGISを浸透させるための有効な手段として位置づけ,今後も普及を図っていきたい.
著者
伊藤 智里 高橋 敏之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.41-53, 2011-03-20 (Released:2017-06-12)

本研究は,対象児・A児の1歳6か月から2歳までの積み木遊びを,自然観察法によって調査し,立体造形に繋がる多様な発達的特徴について分析・考察する。A児は,積み木を使用して遊ぶための基本動作である「積む」「崩す」「打ち鳴らす」「並べる」等の行為を経験した。積む行為を獲得した後,挑戦的な遊びと確認的な遊びを重ね,「間隔」「幅・奥行き・高さ」「重心」「バランス」などを体感した。A児は,積み木遊びを通して,「平面」「立体」の概念を獲得しつつあると指摘できる。
著者
中田 耕太郎 新谷 篤彦 伊藤 智博 中川 智皓
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>This paper deals with response behavior and rollover resistance of heavy duty truck in cornering. We focus on the connection type vehicle that consists of one tractor and one trailer. The vehicle is expressed by 7 nonlinear equations of motion and 2 constraint conditions of connecting point. The equations include the nonlinear property of the tire lateral force. We use the rate of decrease of wheel load as the index for judging rollover. We perform parameter study about the eccentric distance of center of gravity, the running speed and so on, and investigate the degree of the risk of rollover.</p>
著者
星 郁雄 天野 洋 橋本 大志 田中 大智 下馬場 朋禄 角江 崇 伊藤 智義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.11, pp.808-816, 2020-11-01

近年,深層学習についての研究が盛んに行われている.その中でも,再帰型ニューラルネットワークはネットワーク内に再帰構造をもつ深層学習の一種で,時系列データの扱いに優れていることから音声認識や自然言語処理の分野で高い成績を残している.再帰型ニューラルネットワークに限らず深層学習では,高い性能の反面,計算コストが多い.そのため,クラウドコンピューティングやGraphics Processing Unitを用いて計算する研究が進められている.しかし近年では,応答性の観点から,この計算をクラウドコンピューティングのように別の場所に送信し計算するのではなく,エッジ側での処理が求められるようになってきている.そこで本論文では,回路を自由に書き換えることができるField Programmable Gate ArrayにRNNの推論器と学習器を実装し,回路の評価と,実際に音声識別を行った結果を評価した.
著者
伊藤 智義 杉江 崇繁 赤松 孝則 木村 祐哉 川口 梨紗花 角江 崇 下馬場 朋禄
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.1-2, 2017-03-16

3次元情報を記録再生できるホログラフィは次世代映像システムを創出する可能性を持っている。しかし、計算コストが膨大なため、実用化のめどは立っていない。本研究室ではハードウェアによる高速化を進めている。8番目の試作となるHORN-8システムの研究プロジェクトでは、ザイリンクス社製Virtex-5を8個搭載した大規模FPGAボードを独自に開発した。使用したFPGAは旧式になりつつあるものの市販品にはない回路規模のボードとなっている。HORN-8ボード単体でPCの100倍、10枚並列化して1000倍程度の高速化が達成できる見込みになってきており、報告を行う。
著者
伊藤 智泰 早川 伸哉 糸魚川 文広 中村 隆
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.577-578, 2010 (Released:2010-09-01)

炭素繊維強化樹脂(CFRP)を放電加工することを目的として純水中で加工を試みた.その結果,形彫放電加工,ワイヤ放電加工とも加工可能であった.とくに直径0.25mmの黄銅ワイヤを用いて板厚約3mmのCFRPをワイヤ放電加工した場合は放電電流50A以下の場合に加工が比較的安定であり加工速度は約3 mm2/minであった.一方,形彫放電加工では加工面に炭素繊維の毛羽立ちが見られる場合があった.