著者
魚崎 祐子 伊藤 秀子 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.349-359, 2003
参考文献数
14
被引用文献数
20

テキストを読みながら学習者が自発的に下線をひく行為が文章理解に及ぼす影響について,文章の難易度と読解時間という2要因に着目し,テキストに予めつけておいた下線強調との比較という点から実験的に検討した.自分で下線をひくことのできるアンダーライン群,キーワードなどを下線で強調したテキストを与えられるプロンプト群,統制群の3群に被験者を分け,テキスト読解の後に自由記述形式の再生テストを行った.その結果,テキストの下線強調は文章の難易度や読解時間の長さに関わらず,強調部分の再生を高める効果を持つことが示された.一方,学習者の下線ひき行為が有効であるのは,難解なテキストの読解において十分な読解時間を与えられた時に限定された.また,テキストにつけられた下線,自分でひいた下線ともに下線部以外の再生は促進しないということ,下線の有無に関わらずテキスト中の重要な概念ほど再生されやすいということも明らかになった.
著者
魚崎 祐子 伊藤 秀子 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.349-359, 2003-03-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

テキストを読みながら学習者が自発的に下線をひく行為が文章理解に及ぼす影響について,文章の難易度と読解時間という2要因に着目し,テキストに予めつけておいた下線強調との比較という点から実験的に検討した.自分で下線をひくことのできるアンダーライン群,キーワードなどを下線で強調したテキストを与えられるプロンプト群,統制群の3群に被験者を分け,テキスト読解の後に自由記述形式の再生テストを行った.その結果,テキストの下線強調は文章の難易度や読解時間の長さに関わらず,強調部分の再生を高める効果を持つことが示された.一方,学習者の下線ひき行為が有効であるのは,難解なテキストの読解において十分な読解時間を与えられた時に限定された.また,テキストにつけられた下線,自分でひいた下線ともに下線部以外の再生は促進しないということ,下線の有無に関わらずテキスト中の重要な概念ほど再生されやすいということも明らかになった.
著者
篠山 浩文 三尾 忠男 吉田 雅巳 伊藤 秀子
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
no.2, pp.81-85, 1999
被引用文献数
1

ビデオカメラおよびビデオフレームアルバムの授業への活用を検討した。すなわち、学生にビデオカメラを持たせて、大学構内を自由に散策させ、その際気がついたこと、興味をもったことなどをビデオカメラで記録させた。さらに著者らがその映像記録をフレームアルバム化し、後日授業時間内で学生に返却して、見せるといった一連の授業を試みることにより、今回の試みが学生の新たな発想や興味対象の発見へのきっかけ作りになりうるかどうか検討した。ビデオカメラによる野外活動の行動様式への影響を支持する学生が多く、その理由として「ビデオを手にすると注意深くなる」「自分の印象深いものを人にわかるように撮った」といった感想と関連していると考えられる。また、自分の興味対象の発見に対してフレームアルバムを分析することは、比較的効果的であると評価され、「ビデオフレームアルバムはビデオを視聴するよりも全体の流れがわかってよい」といった感想も見られた。また、教授者にとっても映像記録を画像要素ごとに分類し、類似した画像のコマ数の多いものに注目することにより、各学生の興味対象を容易に比較分析することができた。今回の試みは、学生の野外観察時の行動様式や新たな興味対象の発見などに何らかの影響をおよぼしたものと考えられる。さらに、教授者が学生の興味対象を容易に比較分析できるため、学生との議論材料にも活用できるものと思われる。
著者
彭城 郁子 須藤 千春 伊藤 秀子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.227-234, 1990
被引用文献数
3 4

Some factors that affect the occurrence and termination of quiescence in nymphs of Dermatophagoides farinae, were examined. The mites aggregating on the rims and covers of culture bottles were collected when the mite populations were increased. They were kept at 25℃, 75% relative humidity (RH), without food. After 1 month, about 20% of the mites passed into quiescent state, and a half of them remained quiescent for 5 months at 25℃, 75% RH, and further 5 months at room temperature. Most of the quiescent mites were protonymphs. They were glued to the substrate such as covering filter paper. Quiescence in half of the 8-week-aged nymphs terminated when they were disturbed by being separated from the substrate, pretreated at 5℃ for 1 week, and then incubated at 25℃, 75% RH. But the nymphs did not moult by pretreatment of 10,18,and 25℃ for 1 week. The nymphs in age of 20-week or more moulted even when they were continuously incubated at 25℃ and 75% RH, if separation from the substrate was made. The moulting rates depended on age in the nymphs; the older the nymphs, the faster the moulting. However, the nymphs glued onto the substrate remained quiescent. Moulting of nymphs with age of 22-week or more was suppressed by incubating them at lower temperatures than 25℃, or lower than 55% RH. The contact of the quiescent nymphs with water for 3hr enhanced moulting even when they were incubated at 33% RH. These results suggest that quiescence in nymphs of D. farinae observed in the present study might also involve a very similar phenomenon to diapause.