著者
伊藤 聖子 葛西 麻紀子 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.93-100, 2013-10-18

フィリピン産の高地栽培種(スウィーティオバナナ)および従来の低地栽培バナナ(レギュラーバナナ)を用い追熟過程および加熱(焼く、蒸す)調理過程それぞれでの糖度および糖組成の変化を調べた。高地栽培種、低地栽培種の可溶性糖質含有量は高地栽培種の方が多いことが確認された。また、両者ともその主成分はスクロース、グルコース、フルクトースであるが、追熟とともにスクロースが減少し、グルコースとフルクトースが増加することがわかった。また、微量に含まれるソルビトールは減少し、オリゴ糖は増加する傾向にあった。加熱調理(焼く:180℃のオーブンで20分、30分、40分処理、および蒸す:蒸し器で10分、20分、30分処理)では、いずれも、焼き調理より蒸し調理後の糖度が高くなる傾向がみられた。焼きは30分で最も高く40分では減少していた。また、蒸し調理では10~20分で最も高く、それ以上になると、かなり減少することがわかった。
著者
伊藤 聖子 木川 梨沙 新井 映子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.254-261, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
27
被引用文献数
8

澱粉を主成分とするジャガイモ,サツマイモ,サトイモ及びナガイモは,米粉パンの米粉と容易に置換が可能である。本研究では,これらイモ類の粉末置換が米粉パンの老化に及ぼす影響について検討した。サツマイモ,サトイモ及びナガイモ粉末で置換した米粉パンの比容積は,いずれもコントロール(100%米粉)と差は認められなかった。しかし,ジャガイモ粉末は置換率の増加とともにパンの比容積が顕著に減少した。サツマイモ粉末で置換した場合,焼成3日後のクラムの硬さは,コントロールと比較して顕著にやわらかいことが明らかとなった。サツマイモ粉末中には耐熱性のβ-アミラーゼが含まれ,パンの焼成中に米澱粉を分解し,大量のマルトースを生成することが示された。また,サツマイモ粉末で置換したパンのクラムには,マルトースが顕著に検出された。これより,サツマイモ粉末中のβ-アミラーゼによって生成したマルトースが澱粉の再結晶を阻害し,米粉パンの老化を抑制したと考えられた。
著者
伊藤 聖子 葛西 麻紀子 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.93-100, 2013-10

フィリピン産の高地栽培種(スウィーティオバナナ)および従来の低地栽培バナナ(レギュラーバナナ)を用い追熟過程および加熱(焼く、蒸す)調理過程それぞれでの糖度および糖組成の変化を調べた。高地栽培種、低地栽培種の可溶性糖質含有量は高地栽培種の方が多いことが確認された。また、両者ともその主成分はスクロース、グルコース、フルクトースであるが、追熟とともにスクロースが減少し、グルコースとフルクトースが増加することがわかった。また、微量に含まれるソルビトールは減少し、オリゴ糖は増加する傾向にあった。加熱調理(焼く:180℃のオーブンで20分、30分、40分処理、および蒸す:蒸し器で10分、20分、30分処理)では、いずれも、焼き調理より蒸し調理後の糖度が高くなる傾向がみられた。焼きは30分で最も高く40分では減少していた。また、蒸し調理では10~20分で最も高く、それ以上になると、かなり減少することがわかった。
著者
高塚 千広 村上 陽子 川上 栄子 新井 映子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 中川(岩崎) 裕子 竹下 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】 静岡県に伝承されてきた間食や行事食に関する家庭料理の中から、次世代に伝え継ぎたいおやつのあり方や特徴について考える。<br />【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき、静岡県東部(沼津市、富士宮市、伊東市)、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)および西部(袋井市、浜松市)の各地域において居住歴が30~81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。<br />【結果】昭和35~45年頃の食料事情と聞き書き証言を踏まえると、家庭では「おやつ」の習慣は定着していなかったと解釈される。日常食として、さつまいもや小麦(粉)の料理が静岡県全域にあり、ときには間食に用いられていた。その他、魚介 (イカ嘴、イワシ等の稚魚、貝類)、寒天、小豆、落花生、雑穀(キビ、ソバ)、種実類(トチ)等が間食になることがあった。炒ったソバやアズキを石臼で挽いた「たてこ」や、複数の穀類と豆を組み合わせた「とじくり」は西部特有である。もち米(餅)・うるち米(団子)の菓子は、正月や五節句、仏事用で、柏餅に材料の地域差があり、大福の形状や名称に変形が見られた。屋外の遊びの場面で、子どものおやつに通じる食事があり、川で採った小魚を河原の焚き火で加熱したり、山野で果実を摘んだり、駄菓子屋では、薄いお好み焼き、おでんこんにゃく、アイスキャンデー等があった。中部では明治以降から製餡業が盛んで、現在も県内に製餡業者が多く存在する。以上のことから、静岡県では、おやつに適する様々な農水産物の保存技術や料理が様々な形で伝承されてきたことがわかる。これらの食材は、噛みごたえ等の食感、色や香りを味わうことができ、デンプンやカルシウム、食物繊維等の補給にも役立つ。
著者
加藤 陽治 伊藤 聖子 渡辺 敏幸
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.91-96, 2001-10
被引用文献数
3

果実類11品種(キウイ,イチゴ,モモ,カキ,アボカド,プルーン,リンゴ,イチジク,バナナ,パイナップルおよびミカン)の水不溶性食物繊維の多糖組成比較を行った。各果実の可食部から水不溶性細胞壁画分を調製,これを乾燥させ,糖組成分析と糖結合様式分析に供した。さらに,水不溶性細胞壁画分はペクチン様物質,-ミセルロース画分およびセルロース画分に分画し,それぞれの画分の糖組成分析を行った。水不溶性細胞壁多糖はいずれの果実も,ペクチン様物質画分はおもに中性糖を含むラムノガラクツロナン,-ミセルロース(ⅠおよびⅡ)画分はおもにキシラン系多糖,ガラクタン系多糖およびキシログルカン,そしてセルロース画分はセルロースから構成されており,これらの比率はキウイで28:19:53,イチゴで38:15:47,モモで25:22:53,カキで16:14:70,アボカドで28:35:37,プルーンで26:32:42,リンゴで30:20:50,イチジクで38:15:47,バナナで24:31:45,パイナップルで19:44:37,ミカンで26:15:59であった。
著者
伊藤 聖子 成田 真由美 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.105-110, 2010-10-20

ツルアラメは,独特の苦味や不快なえぐ味をもつが,海藻特有の粘質多糖類を含むことから豊富な食物繊維の給源と考え,食物繊維が不足しがちな肉料理のなかでも,中学校家庭科で必ずとりあげられるメニューであるハンバーグにツルアラメを添加,調理加工法について検討した。青森県大間町沿岸で採取されたツルアラメを材料にハンバーグを作成,ツルアラメの食感を活かしつつ,独特のえぐ味やぬめりを感じさせないミキサー破砕物を添加したものが,最も高い評価が得られた。一般的な一人分のハンバーグ生地に,ミキサー破砕したツルアラメを4g 添加することで,1日の食物繊維摂取目標の約10.4% を占める2.6gの食物繊維を摂取できることがわかった。
著者
新井 映子 高塚 千広 川上 栄子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 竹下 温子 中川 裕子 村上 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.161, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】 静岡県に伝承されてきた家庭料理の中から、行事食として食されてきた料理を東部、中部、西部に分け、各地域別に明らかにすることを目的とした。【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき、静岡県東部(富士宮市、伊東市)、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)および西部(浜松市、湖西市)の各地域において居住歴が30〜81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。【結果】歴史的、地理的にもそれぞれの特徴を持つ東部、中部、西部の3地域について、各地域に特有の食材を生かした行事食やそれらの調理法について示す。東部の富士宮では、富士山の火山灰土壌で落花生栽培が盛んなため、おせちのなますには粗くすりつぶした落花生を入れる「落花生なます」が作られる。伊豆半島の主要な漁港である伊東では、祭りなどの行事食として鯖のそぼろをのせた「鯖の箱ずし」が作られる。中部は正月に黒豆、田作り、数の子を用意し、里芋やごぼう、椎茸の「煮しめ」、大根と人参の「なます」にいかやしめ鯖を加える。かつおだしに大根と里芋、角餅の「雑煮」やまぐろの「にぎりずし」を作る。おせちに練り製品を入れる。クチナシで色づける「菱餅」や「染飯」がある。西部の湖西市は「新居の関所」がある町で、東海道を往来する旅人によって「すわま」という波形をあしらった餅菓子が伝承され、上巳の節句に作られている。浜松市山間部の水窪周辺では、雑穀を中心とした食文化があり、4月8日(花祭り)に大豆、そば粉、小麦粉で「とじくり」いう団子をつくって仏壇にお供えしている。以上のことから、静岡県では東部、中部、西部の各地域に特有の食材が、行事食にも生かされていることが明らかとなった。
著者
川上 栄子 村上 陽子 高塚 千広 新井 映子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 中川(岩崎) 裕子 竹下 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】 静岡県に伝承されてきた家庭料理の中から,副菜(野菜・きのこ・芋・海藻料理)として食されてきた料理を県内の各地域別について明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき,静岡県東部(沼津市,富士市,伊東市),中部(静岡市,焼津市,藤枝市)および西部(袋井市,浜松市)の各地域において居住歴が30&#12316;81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。</p><p>【結果および考察】今回は歴史的,地理的にもそれぞれの特徴を持つ東部(伊豆),中部(駿河),西部(遠江)の3地域に分け,豊富な素材の生かし方や調理法について列挙する。温暖な気候に恵まれ,1年中野菜が採れるため,高塩蔵品は少なく,漬け物類も酸味を効かせたものや,野菜そのものの味を生かした薄塩のものが多い。東部のみずかけ菜の漬け物,わさびの茎の三杯酢漬け,大根の甘酢漬け,中部の大根のゆず漬け,しょうがの酢漬け,西部の子メロン漬けなどに代表される。また,地域の農産物の食べ方として,東部の落花生のなます,中部の自然薯のとろろ汁,西部の蒟蒻の味噌おでん,糸蒟蒻のくるみ和え,海老芋の煮物などがある。また,静岡県は,伊豆沖,駿河湾,遠州灘と海に囲まれていて海産物も豊富であることから,主菜だけではなく副菜にも海産物が使われていた。いわしのつみれ汁,なまり節のサラダ,潮汁,いわしの酢の物,ぼらの酢味噌和えなどである。しかし,お茶やみかんが静岡を代表する特産品にもかかわらず,昭和35〜45年頃は副菜としては利用されていなかったことが明らかとなった。</p>
著者
伊藤 聖子 岡山 純子 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.89-92, 2013-10

バクテリアセルロースであるナタデココの微細な網目構造に着目し、その網目構造への分子の浸透性について植物セルロースと比較した。セルロースとナタデココの各試料を、0.1%グルコース溶液およびデキストランT-500(平均分子量50万)溶液100ml に浸し、20分ごとに120分経過するまでの外液の糖量をフェノール硫酸法にて測定し浸透性を調べた。微細な網目構造を有するナタデココへ低分子のグルコースは浸透するが、デキストランT-500(平均分子量50万)のような高分子の物質は浸透しにくいことがわかった。結果を基に、ナタデココの機能性と調理特性などについて考察を加えた。