著者
伊達 平和
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.187-204, 2013 (Released:2014-09-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

本稿では, 東アジア・東南アジア社会の「圧縮された近代」に伴う急速な家族の変容と, 価値観の変容を背景として, 家父長制意識の多様性とその意識に対する高学歴の影響を計量的に分析した. まず, 瀬地山角の東アジアにおける家父長制研究より, 家父長制意識を父権尊重意識と性別役割分業意識の2つの軸で捉え, I家父長主義, II父権型平等, III自由・平等主義, IV分業型自由の4つの型に整理した. 次に, 日本, 韓国, 台湾, 中国, ベトナム, タイの6地域のデータから, その2つの意識の平均値を比較した. さらに, 年齢などの変数を統制したうえで, 二項ロジスティック回帰分析による多変量解析を行った.分析の結果, これら6地域の家父長制意識の相対的な布置関係が明確に示された. 中国と台湾は家父長主義, 韓国は父権型平等, 日本は自由・平等主義, タイとベトナムは分業型自由に分類された. さらに, 家父長制意識に対する高学歴の影響が, 各国において異なること示され, 家父長制意識の近代化における変化の多様性が明らかになった. また, 「圧縮された近代」における圧縮の度合いが人々の家父長制意識に影響を与えることも明らかになった.
著者
伊達 平和 清水 昌平 竹村 彰通
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_7-1_12, 2022 (Released:2022-01-20)
参考文献数
6

Shiga University established the first faculty of data science in Japan in 2017 with the enrollment of 100 students each year. These students obtained their Bachelor′s degrees in March of this year. In 2019 it established the first graduate school of data science and the graduate students obtained the Master′s degree. We discuss educational goals of the undergraduate and the graduate programs and achievements of these programs.
著者
伊達 平和
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.187-204, 2013
被引用文献数
1

本稿では, 東アジア・東南アジア社会の「圧縮された近代」に伴う急速な家族の変容と, 価値観の変容を背景として, 家父長制意識の多様性とその意識に対する高学歴の影響を計量的に分析した. まず, 瀬地山角の東アジアにおける家父長制研究より, 家父長制意識を父権尊重意識と性別役割分業意識の2つの軸で捉え, I家父長主義, II父権型平等, III自由・平等主義, IV分業型自由の4つの型に整理した. 次に, 日本, 韓国, 台湾, 中国, ベトナム, タイの6地域のデータから, その2つの意識の平均値を比較した. さらに, 年齢などの変数を統制したうえで, 二項ロジスティック回帰分析による多変量解析を行った.<br>分析の結果, これら6地域の家父長制意識の相対的な布置関係が明確に示された. 中国と台湾は家父長主義, 韓国は父権型平等, 日本は自由・平等主義, タイとベトナムは分業型自由に分類された. さらに, 家父長制意識に対する高学歴の影響が, 各国において異なること示され, 家父長制意識の近代化における変化の多様性が明らかになった. また, 「圧縮された近代」における圧縮の度合いが人々の家父長制意識に影響を与えることも明らかになった.
著者
桝本 妙子 山田 陽介 山田 実 中谷 友樹 三宅 基子 渡邊 裕也 吉田 司 横山 慶一 山縣 恵美 伊達 平和 南里 妃名子 小松 光代 吉中 康子 藤原 佳典 岡山 寧子 木村 みさか
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.390-401, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
43
被引用文献数
6

目的 地域在住自立高齢者の転倒リスクとその関連要因および性差を検討した。方法 京都府亀岡市の65歳以上の全高齢者の中で要介護 3 以上を除く18,231人に対して2011年 7~8 月に行った自記式留め置き式質問紙調査への回答者13,159人のうち(回収率72.2%),要支援・要介護認定者を除く「自立高齢者」12,054人について分析した。調査票は個別に配布し郵送で回収した。調査内容には,基本属性,鳥羽らによる転倒リスク簡易評価指標 5 項目,日常生活圏域ニーズ調査基本チェックリスト25項目,老研式活動能力指標13項目を用い,高齢者の諸機能や生活機能の低下の有無を示す 9 つの指標(①運動機能,②低栄養,③口腔機能,④閉じこもり,⑤物忘れ,⑥うつ傾向,⑦ IADL,⑧知的能動性,⑨社会的役割)で調査した。分析は,性,年齢別の転倒リスクとその関連要因および性差をカイ二乗検定とロジスティック回帰分析により把握し,9 つの評価指標を独立変数,年齢と教育年数を共変量,転倒リスクを従属変数とするロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行って各要因による転倒リスクへの独立した影響を性別ごとに分析した。結果 本調査回答者の過去 1 年間の転倒率は20.8%で,転倒リスク高群は26.6%であった。転倒リスクは,男女とも加齢とともに高くなり,女性はすべての年齢層において男性よりも高かった。また,男女とも,すべての評価指標と転倒リスクとの関連がみられ,それぞれの要因を調整した結果では,男性は運動機能,低栄養,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に,女性は運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった。性差では,低栄養,口腔機能は男性の方に,IADL,知的能動性は女性の方に転倒リスクとの関連が強かった。結論 地域在住自立高齢者の 5 人に 1 人は過去 1 年間に転倒を経験し,4 人に 1 人は転倒リスクを有していた。転倒リスクと 9 つすべての評価指標との間に有意な関連がみられ,とくに男女とも運動機能低下が最も大きかった。また,転倒リスクに影響する要因に性差がみられ,性別を考慮した支援策が必要と示唆された。
著者
伊達 平和
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.207-219, 2013-03-28

This paper presents an analysis of the effects of parents' educational marriage pattern on children's educational attainment, whether they go to college or university, using the cumulative data of EASS 2006 and EASS 2008. This analysis was conducted by birth cohorts and gender, and the cohorts were divided into CH1 (1945-1969), CH2 (1960-1974), and CH3 (1975-1988). These cohorts were mostly equivalent to "Elite phase, " "Mass phase, " and "Universal phase" in the case of Taiwan and Korea as described previously by Trow. There were two main results. First, in universal phase, the effects of parents on their children were decreased in Korea and Taiwan. However, in Japan, the effect of stratification was increased. In addition, the effects of the combination of education level of parents were significant in Japan. However, the effects were not significant in Korea and Taiwan. Second, the effects of patent's marriage pattern differ from societies and genders. For example, in Korea, the effect of the father on the son's educational attainment was significant, while in Japan the effect of higher educated parents on both their daughter(s) and son(s) was strongly significant. These results indicate that the construction of social stratification between genders is different between the three societies.