著者
吉田 司雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.54-68, 1999

菊池寛の『日本競馬読本』は、馬の血統、記録を研究する大切さを語ることで競馬を「ばくち打」の所業と峻別する一方、「情報信ずべし、然も亦信ずべからず」との名言をもって、勝ち負けを不可知的な領域に置いた。『日本競馬読本』刊行と同じ昭和一一年に結成された日本競馬会は、政府の言論統制を受ける形で一六年に機関誌「優駿」を創刊。多くの文学者の言説が競馬の文化的・不可知的側面を補完するようになった時期、中河與一「愛戀無限」や片岡鉄兵「朱と緑」においては、競馬の偶然性が物語の進行を円滑にすすめるための経済的原理として導入されていた。
著者
吉田 司雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.30-44, 2001-04-10

江戸川乱歩「二銭銅貨」、坂口安吾「アンゴウ」、大岡昇平「暗号手」。これら「暗号」解読を作中に組み込んだ作品群は、テクストを読むという行為自体を問題化している。メッセージの送信者が目指した受信者としてではなく、いわば「選ばれなかった読者」としてメッセージに向かい合う時、情報伝達行為の問題性もまた明らかになる。そこから、情報化社会における文学研究のありようを考える手掛かりを探ってみたい。
著者
吉田 司雄 中沢 弥 谷口 基 小松 史生子 牧野 悠 清水 潤 今井 秀和 乾 英治郎 末國 善己
出版者
工学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

サブカルチャー領域を中心に、日本発の「忍者」「探偵」イメージは広く世界に浸透している。「忍者」表象に関する国内研究者の共同研究を推進する一方、「探偵」表象に関する研究ネットワークを海外の研究者と構築し、「忍者」と「探偵」とを接合させる形で、日本および東アジアにおける大衆的なイメージの生成過程を分析した。複数の表象が絡まり合いながら、ジャンル横断的に新たな物語コードが生成される様を明らかにした。
著者
伊藤 靖 三浦 浩 中村 憲司 吉田 司
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.1019-1026, 2009 (Released:2010-02-19)
参考文献数
28
被引用文献数
1 5

マアジの行動様式を把握するため日本海佐渡島羽茂地先の水深 45 m に設置された人工魚礁において,超音波バイオテレメトリー(V9P-1H, VEMCO 社製)を全長 30 cm のマアジへ外部装着し,追跡を行った。追跡は 2008 年 6~7 月の間に 1 尾ずつ 7 回行った。マアジは日中には人工魚礁や天然礁の天端から高さ 10 m 程度に留まり,夜間は水深 5~10 m の表層を遊泳しながら礁から離脱し,早朝,礁に移動し,日中,礁に蝟集するといった明確な日周行動を示した。
著者
一柳広孝 吉田司雄編著
出版者
青弓社
巻号頁・発行日
2012
著者
吉田 司 芝 修一 前川 行幸 阿部 真比古 鈴木 輝明 高倍 昭洋
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.239-244, 2006-02-20
被引用文献数
1

Zostera marina L. form dense populations on shallow sandy and muddy bottoms in inner bay areas, and play important roles from ecological and fisheries points of view. In this study, photosynthesis characteristics of Z. marina were examined under several light intensity and the water temperature conditions, and the daily net production was estimated. Samples were collected from Miya in Mikawa Bay, Aichi Prefecture, Japan. Photosynthesis and dark respiration rates were measured under various light intensity and in situ temperature condition using a product meter and oxygen electrode system. Z. marina showed high light-saturated net photosynthetic rates(1.5〜7.6mgO_2 gd.w.^<-1> h^<-1>). Dark respiratory rate of Z. marina was between 0.4 and S.SmgO_2 gd.w.^<-1> h^<-1>, I_k values and compensation points ranged from 88 to 129μmol m^<-2> s^<-1> and from 13 to 111 μmol m^<-2> s^<-1>, respectively. Daily net production of Z. marina was estimated from the model equation of photosynthesis-light curve and the data on light intensity sampled in Zostera bed. High dark respiratory rate and low light intensity in the population lead to low net production, and result in withering and loss during the early summer season.
著者
吉田 司雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.54-68, 1999-11-10 (Released:2017-08-01)

菊池寛の『日本競馬読本』は、馬の血統、記録を研究する大切さを語ることで競馬を「ばくち打」の所業と峻別する一方、「情報信ずべし、然も亦信ずべからず」との名言をもって、勝ち負けを不可知的な領域に置いた。『日本競馬読本』刊行と同じ昭和一一年に結成された日本競馬会は、政府の言論統制を受ける形で一六年に機関誌「優駿」を創刊。多くの文学者の言説が競馬の文化的・不可知的側面を補完するようになった時期、中河與一「愛戀無限」や片岡鉄兵「朱と緑」においては、競馬の偶然性が物語の進行を円滑にすすめるための経済的原理として導入されていた。
著者
濱田 孝治 吉田 司 岡村 寛 原 武史 鈴木 輝明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1129-I_1134, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
23

浮魚類群集(イワシ類)は内湾における主要な漁獲対象種であり,自然的,人為的な環境変動に伴う漁獲量の変動や漁場形成の変化は大きな関心事である.本研究では機械学習の一つであるGradient Boostingを用いて内湾の浮魚群集の分布量を推定する統計モデルを構築し,伊勢・三河湾のカタクチイワシ漁獲量の時空間的分布の推定を行った.モデルは標本漁船による実測結果をよく再現した.
著者
渡邊 裕也 山田 陽介 吉田 司 横山 慶一 三宅 基子 山縣 恵美 山田 実 吉中 康子 木村 みさか Kyoto-Kameokaスタディグループ
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2014, (Released:2020-12-08)

背景:長寿社会において,最も深刻な社会問題の1つにサルコペニアおよびフレイルがある。高齢者の自立と生活の質を維持するためには,これらを予防することが重要である。本研究では,地域在住高齢者を対象に,自己管理式の包括的介護予防プログラム(Comprehensive geriatric intervention program:CGIP)が身体機能および骨格筋量に及ぼす効果を調査した。我々は,CGIPを自宅で実施する群(自宅型)と自宅での実施に加えて週に一度の集団指導を行う群(教室型)の介入効果を比較した 。 方法:526名の参加者を,居住地区に基づいて2群(教室型 251名,自宅型275名)のいずれかに無作為に割り付けた。低負荷レジスタンストレーニング,身体活動量の増加,口腔機能の改善,栄養ガイドで構成されるCGIPを12週間実施した。参加者全員に,プログラムの説明を含む90分の講義を2回受講するよう促した。参加者にはトレーニングツール(3軸加速度内蔵活動量計,アンクルウエイト,ゴムバンド)と日誌が提供された。教室型介入群は毎週90分のセッションに参加し,その他の日には自身でプログラムを実施した。一方,自宅型介入群はプログラム実施方法の説明のみを受けた。12週間の介入前後に,膝伸展筋力,通常および最大歩行速度,Timed up and go(TUG)テスト,大腿前部筋組織厚などの身体機能を測定し,Intention-to-treat法を用いて分析した。 結果:526名の高齢者のうち,517名(教室型243名 74.0±5.4歳 女性57.2%,自宅型274名 74.0±5.6 女性58.8%)が研究対象として組み入れられた。9名(教室型 8名,自宅型 1名)は介入前の測定に参加していなかったため,解析から除外された。いずれの介入も膝伸展筋力(教室型18.5%,自宅型10.6%),正常歩行速度(教室型3.7%,自宅型2.8%),大腿前部筋組織厚(教室型3.2%,自宅型3.5%)を有意に改善した。なお,膝伸展筋力は教室型でより大きな改善が認められた(P=0.003)。最大歩行速度(教室型 4.7%,自宅型1.8%,P=0.001)およびTUGテスト(教室型 -4.7%,自宅型 -0.2%,P<0.001)は教室型介入群のみで有意に改善した。 結論:本介入プログラムはサルコペニア,フレイルの予防に有効であった。両介入後,ほとんどの身体機能と大腿前部筋組織厚は改善した。自宅型介入は費用対効果が高く,大規模高齢者集団におけるサルコペニア,フレイルの予防に貢献できるかもしれない。
著者
吉田 司 芝 修一 小山 義明 新井 義昭 鈴木 輝明
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.205-210, 2004-02-27
参考文献数
9
被引用文献数
2

Seasonal changes of Zostera marina L and physical environment factors (underwater irradiance, Sandybottom quality etc.) were examined off Miya in the Mikawa Bay, Aichi Prefecture, from 2000 to 2001 Japan.Z. marina forming seagrass beds grew densely from February to June, and declined from July to October.While a large number of juveniles geiminated from their seed started to appear toward the middle ofOctober, and Z. marina grew densely again in the following spring. Most of the Z. marina off Miya was annual.Vertical distribution range of Z. marina beds were from D.L. +0.5m to -1.6m depth. From the site irradianceconditions in the seagrass bed, the deepest bottom of Z. marina possible growth was estimated to beD.L.-1.8m. The high temperature in the summer was the important cause that the Z. marina beds weredecreased. Surface layer of the bottom was reductive conditions enough to germinate. These observationssuggest that Z. marina of annual plant requires calm environmental conditions as one of the required suitableconditions for successful seagrass bed formation.
著者
吉田 司 渡邉 大輝 中潟 崇 山田 陽介 黒谷 佳代 澤田 奈緒美 田中 健司 岡林 恵 島田 秀和 瀧本 秀美 西 信雄 宮地 元彦 阿部 圭一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-111, (Released:2021-05-14)
参考文献数
34

目的 本研究は,大阪府北部の摂津市および南部の阪南市における40歳以上の中高齢者のフレイル該当割合と2市で共通してフレイルと関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 2018年度に摂津市,2019年度に阪南市において無記名式郵送調査を行った。対象者は,小学校区ごとの40歳以上の性・年齢階級別の人口構成に応じて各小学校区から1,000人ずつ無作為に抽出した(摂津市10小学校区,阪南市8小学校区)。分析対象者は摂津市が5,134人,阪南市が3,939人であった。フレイル評価は,基本チェックリスト(KCL)および簡易フレイル指標(SFI)を用いた。フレイルを目的変数とし,年齢,性,BMI,家族構成,主観的健康感,経済状況,主観的体力,睡眠,喫煙,飲酒,食事回数,用語「フレイル」認知度を説明変数として多変量ロジスティック回帰分析を適用した。すべての分析は,摂津市と阪南市に分けて行った。結果 対象者の平均年齢と標準偏差は,摂津市が62.7±12.5歳および阪南市が63.4±12.2歳であった。KCLによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が18.7%と17.9%,50歳代が18.2%と14.6%,60歳代が17.0%と15.7%,70歳代が25.4%と20.8%,80歳以上が39.7%と36.1%であった。SFIによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が16.2%と13.5%,50歳代が15.0%と11.9%,60歳代が12.5%と10.0%,70歳代が14.6%と12.3%,80歳以上が24.7%と22.3%であった。摂津市および阪南市で共通し,かつKCLとSFIで共通してフレイルと関連した要因は,高年齢,主観的健康感の低さ,経済状況の不良,主観的体力の低さ,睡眠が不十分,およびフレイル認知度の低さであった。結論 大阪府の2市における調査により,40歳代や50歳代であっても一定数のフレイル該当者がいることが明らかになり,より早期の働く世代からのフレイル予防の取り組みが必要であることが示唆された。また,フレイルと関連する6つの要因が抽出されたが,因果関係や公衆衛生的意義について縦断研究や介入研究による検討が求められる。
著者
桝本 妙子 山田 陽介 山田 実 中谷 友樹 三宅 基子 渡邊 裕也 吉田 司 横山 慶一 山縣 恵美 伊達 平和 南里 妃名子 小松 光代 吉中 康子 藤原 佳典 岡山 寧子 木村 みさか
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.390-401, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
43
被引用文献数
6

目的 地域在住自立高齢者の転倒リスクとその関連要因および性差を検討した。方法 京都府亀岡市の65歳以上の全高齢者の中で要介護 3 以上を除く18,231人に対して2011年 7~8 月に行った自記式留め置き式質問紙調査への回答者13,159人のうち(回収率72.2%),要支援・要介護認定者を除く「自立高齢者」12,054人について分析した。調査票は個別に配布し郵送で回収した。調査内容には,基本属性,鳥羽らによる転倒リスク簡易評価指標 5 項目,日常生活圏域ニーズ調査基本チェックリスト25項目,老研式活動能力指標13項目を用い,高齢者の諸機能や生活機能の低下の有無を示す 9 つの指標(①運動機能,②低栄養,③口腔機能,④閉じこもり,⑤物忘れ,⑥うつ傾向,⑦ IADL,⑧知的能動性,⑨社会的役割)で調査した。分析は,性,年齢別の転倒リスクとその関連要因および性差をカイ二乗検定とロジスティック回帰分析により把握し,9 つの評価指標を独立変数,年齢と教育年数を共変量,転倒リスクを従属変数とするロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行って各要因による転倒リスクへの独立した影響を性別ごとに分析した。結果 本調査回答者の過去 1 年間の転倒率は20.8%で,転倒リスク高群は26.6%であった。転倒リスクは,男女とも加齢とともに高くなり,女性はすべての年齢層において男性よりも高かった。また,男女とも,すべての評価指標と転倒リスクとの関連がみられ,それぞれの要因を調整した結果では,男性は運動機能,低栄養,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に,女性は運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった。性差では,低栄養,口腔機能は男性の方に,IADL,知的能動性は女性の方に転倒リスクとの関連が強かった。結論 地域在住自立高齢者の 5 人に 1 人は過去 1 年間に転倒を経験し,4 人に 1 人は転倒リスクを有していた。転倒リスクと 9 つすべての評価指標との間に有意な関連がみられ,とくに男女とも運動機能低下が最も大きかった。また,転倒リスクに影響する要因に性差がみられ,性別を考慮した支援策が必要と示唆された。
著者
千葉 満郎 大高 道郎 太田 弘昌 吉田 司 五十嵐 潔 長崎 明男 荒川 弘道 正宗 研 井上 修一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1656-1662_1, 1985

オリンパス光学K.Kにおいて開発されたOES内視鏡写真撮影システムはOESファイバースコープ,光源装置CLV-10,データ写し込み装置DS,内視鏡カメラSC16-10よりなるが,これらを臨床の場で試用する機会を得た.CLV-10は光量の増加,露光精度の向上とともに非常灯も装備されている.DSは患者データを入力・記憶・表示しフィルムに写し込むことができ,またSC16-10のファインダー内に日時,経過時間,撮影部位等の英数字データを表示し内視鏡写真に写し込むこともできる.SC16-10は軽量化が計られ,拡大率の異なる3種類のマウントアダプターが用意され大画面で撮影することが可能である.OESシステムを用いることにより検査中の操作が容易になり,観察ならびに読影上見やすい画像が得られる上,内視鏡写真にデータ記録としての客観性を導入することが可能となり,特に部位同定の指標に乏しい食道や下部消化管検査における有用性を確認した.

1 0 0 0 探偵と小説

著者
吉田司雄編
出版者
ゆまに書房
巻号頁・発行日
2008