著者
秋永 一枝 上野 和昭 坂本 清恵 田中 ゆかり 松永 修一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「複合メディアによる東京弁アーカイブの構築と電子的公開」の目的は、旧来の研究では埋もれてしまう可能性のあった東京弁としての貴重な一次資料を、汎く利用できるような形にして蘇らせようとするものである。秋永の聞き取りによるアクセントなどの言語情報が付加した自然度の高い談話資料として、文字化データと音声データをセットで利用できるよう電子化し、談話資料、アクセント資料、東京方言語彙資料のデータベースとしても利用できる基礎資料を完成させることができた。
著者
松永 修一 岸江 信介
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

松永・岸江が収集した南九州、特に宮崎県・鹿児島県における在来方言の自然度の高い談話資料のアナログデータをデジタル化し、文字化と音声データの公開の準備を整えることができた。文字化資料の一部は冊子体で公開した。また、新たに奄美大島での調査を進め、奄美大島本島だけでなく、徳之島、加計呂麻島での臨地調査を行い、46 地点の高品質な音声と映像による話者の発話情報を記録・収集し音声言語地図の準備を完了した。
著者
秋永 一枝 上野 和昭 坂本 清恵 田中 ゆかり 松永 修一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

この研究は、秋永が行なった調査【東京旧市内(旧15区)を生育地とする話者の】録音資料をアーカイブ化し、汎く利用できる言語資料の作成も大きな目標の一つであった。劣化の危険性があった200本近い様々なメディアに記録された音声資料はすべてデジタル化しCD-ROMとハードディスクに保存を完了した。平成15(2003)年度には、アーカイブ化のテスト版をWeb形式で作成し国語学会において発表した。これは文字化資料の一部に付した「音声資料(アクセント、母音の無声化,訛音など)」「音響分析資料(音声波形・ピッチ曲線・スペクトログラム)」、「語義等解説資料」、「発音者生育地」が表示できるよう作成した。平成16(2004)年度は、(1)東京語音声の文字化(2)音韻情報・音声的情報の付加、(3)音声データの正規化とセグメントといった作業を中心に研究を進めた。(1)では、東京弁音声のデジタル化データを元に35名分の文字化を完成した。(2)では、秋永によるアクセントの聞き取り、無声化・ガ行鼻音化などの音声的特徴の情報記述を進めた。次に、これらの情報を(1)の文字化データに付加する作業を行なった。文節のセグメント・記号の付加作業が終了した後、HTML化、PDFファイル化を行なった。生育地が下町である話者を中心に12名分のデータ、約600ページ分の資料を完成させ、資料との音声リンクを行なった。平成17年度(最終年度)では文字化資料を中心とした報告書を作成。本資料はCD-ROMも同時に完成させ、公開可能な状態にすることができた。
著者
松永 修一
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では自然度の高い音声データ収集を行い、音調の世代差と変化の方向性を探索した。特に、若年層の自然談話の収集に力を入れ、その中で出現する方言語彙、アクセントなどを抽出し分析を行った。また、高校生100人に対して、伝統的方言の残存度、宮崎方言の浸透度、帰属意識、方言意識などの項目を調査した。また、都城市内の高校生、中年層、高年層の方々を対象に、自分たちの方言を考えるワークショップを都城市教育委員会との共催で開催した。自分たちの方言の多様性について考え、地域づくりのリソース、また、帰属意識の醸成のためにどのように活かせるかなどを考え、対話型の研究手法についても試行した。
著者
木部 暢子 松永 修一 岸江 信介
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1、従来、言語地図は手作業により記号を一つ一つ押していく方法で作成されていたが、この研究ではパソコンのデータベースソフトを利用して、正確かつ効率的に言語地図を作成する方法を開発し、さらに、記号から音声の出てくる「声の言語地図」の作成を試みた。2、研究の遂行のために、次のような作業を行った。まず、南九州37地点(熊本県2地点、鹿児島県19地点、宮崎県16地点)の音声の特徴について調査し、基本単語約150語の発話をDAT(デジタルオーディオテープ)に収録した。収録した音声データは1単語ごとに編集しなおし、5,550(150単語×37地点)の音声ファイルからなる音声データベースを作成した。次に、この音声データベースを基にして「南九州言語地図」(記号言語地図)を作成した。この作業には岸江信介他(2000)「エクセルとファイルメーカープロを利用した言語地図の作成」の方法を用いた。最後に「南九州言語地図」の記号と音声データベースをリンクさせて、声の出てくる「南九州声の言語地図」を完成させた。なお、ファイルメーカープロが一般にはあまり普及していないソフトであることを考慮し、これをPDFファイル形式に置き換えることにした。3、その成果をまとめて以下の2種類の報告書を作成した。(1)『南九州声の言語地図』 (冊子版)(2)『南九州声の言語地図』 (CD-ROM版)4、研究の遂行にあたり、広く専門家の意見を乞うため、研究期間中に以下の発表を行なった。(1)「南九州地方における音声言語地図の開発と作成の試み」日本方言研究会第74回研究発表会(東京都立大学) 2002年5月(2)「声の言語地図」ネットワーク構想国語学会デモンストレーション(徳島大学) 2002年11月
著者
木部 暢子 岸江 信介 松永 修一 福島 真司 中井 精一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、音声を聞くことのできる言語地図『西日本声の言語地図』を作成した。これは164枚の地図よりなり、1枚のDVDに164個のPDFファイルとして収録されている。内容は「枝」「鉛筆」などの単語項目151項目、「おはようございます」などの挨拶ことば13項目の計164項目、地点は富山県から鹿児島県種子島に至る65地点。44KHzサンプリング周波数で音声処理を行なったので、音声データベースとしての価値も高い。『西日本声の言語地図』は『南九州声の言語地図』(試作版)に続いて、岸江のHP(http://www.ias.tokushima-u.ac.jp/kokugo/_private/kishie.htm)で公開し、中井のHPと声の言語地図のネットワークを結ぶ。地図作成の過程の中で、以下のことが明らかとなった。1.変化の途中の形が各地の方言音声に現れている。「声の言語地図」では、地理的分布と音声を同時に確認することにより、変化のプロセスを地理的関係で捉えることができる。2.二通りの聞き取り:「地点ごと(横)の聞き取り」と「項目ごと(縦)の聞き取り」の間に微妙な差がある。従来の研究ではこの違いが見過ごされていた。3.方言音声を公開することの重要性について主張し、その方法を提示した。これらについては、Twelfth International Conference on Methods in Dialectology(2005.8.2、カナダ モンクトン)、日本方言研究会第81回研究発表会(2005.11.10、東北大学)、変異理論研究会(2005.11.11、東北大学)等で発表した。