著者
高尾 哲也 藤本 清彦 中山 榮子 佐々木 央 永井 寛 桃原 郁夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.757-765, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
19

木製まな板およびエンボス加工されたプラスチック製まな板について, 新品および使用済みのまな板をそれぞれ3枚入手し, 模擬的な調理後の洗浄, 次亜塩素酸消毒処理, 自然乾燥の各工程における一般生菌数および大腸菌群数を測定した. また, まな板の表面粗さの定量的な検討を行い, 粗さと生菌数等との関係を検討した. 模擬的な調理を行った後の, 洗浄, 消毒, 乾燥工程後の一般生菌数及び大腸菌群数は木製新品まな板, 木製使用済みまな板, プラスチック製使用済みまな板間で有意な差はなかった. 一方, 未使用および使用済みまな板双方で表面粗さは, まな板によって差があるものの, 全体としては木製まな板の方がプラスチック製まな板と比べて小さかった. 数年間使用したことにより平滑性が低下した木製まな板でも, 粗さはエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であった. まな板の表面粗さと微生物の残存性との関係を検討した結果, 凹凸の平均粗さ (Pa) が乾燥時の一般生菌数と大腸菌数で正の相関を, 凹凸差を示す最大高さ (Pz) が洗浄後と消毒後の一般生菌数と大腸菌数とに対して正の相関を示した. 一方, 最大深さ (Pv) はこれらと相関を示さなかった. これらの事から木製まな板においては, Pa及びPzがエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であり, 「大量調理施設衛生管理マニュアル」が定める洗浄, 消毒, 乾燥工程を経れば, 木製まな板とエンボス加工された使用済みプラスチック製まな板との間で, 洗浄性や消毒性, 微生物の生残性にも有意な差は無く, 両者を同様に使用でき, 衛生性の差も大きくないと考えられた.
著者
後藤 芳彦 佐々木 央岳 鳥口 能誠 畠山 信
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.461-472, 2013-09-30 (Released:2017-03-20)

北海道クッタラ火山登別地熱地域,大湯沼の北東200m地点において,トレンチ調査(深さ6.3m)を行い,登別地熱地域の噴火史を解明した。トレンチ断面の層序は,12層の水蒸気噴火堆積物(厚さ3-100cm)と,それらに挟在するB-Tmテフラ,Us-bテフラからなる。12層の水蒸気噴火堆積物は,変質したデイサイト質石質岩片(最大粒径80cm)と粘土質のマトリクスから構成され,サグ構造を示すことから,登別地熱地域から噴出したと考えられる。各々の水蒸気噴火堆積物は土壌層を挟在し,12回の噴火が休止期を挟んで繰り返し起きたことを示す。水蒸気噴火堆積物の直下土壌層の放射性炭素年代測定値,および広域テフラとの対比により,水蒸気噴火は,約BC6450年,BC5370年,BC3980年,BC3440年,BC1990年,BC1710年,BC1280年,BC900年,BC200年,AD980年,AD1480年,およびAD1663年以降に起きたと推定される。登別地熱地域では,過去8500年間に12回以上の水蒸気噴火が起こり,噴火の頻度は700年に1回程度であると考えられる。
著者
白岩 孝行 的場 澄人 山縣 耕太郎 杉山 慎 飯塚 芳徳 YOSHIKAWA Kenji 佐々木 央岳 福田 武博 對馬 あかね
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

北部北太平で知られている気候レジームシフトと生物基礎生産量変動との関係について調べるために、アラスカ山脈オーロラピーク近傍に発達する氷河において氷コアを採取し、鉄濃度の分析を行った。その結果、10年間の平均鉄沈着量は8.8mg m^<-2>・yr^<-1>で、2001年2002年は、それぞれ、29、19mg m^<-2>・yr^<-1>だった。30m深の海洋表面混合層への鉄の供給は、10年間の平均値では、植物プランクトンを増殖させるほどの影響がないが、2001年、2002年の大規模黄砂時には影響を与えうることが推測された。