著者
高尾 哲也 佐々木 恵美 鈴木 利人 白石 博康
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1361-1363, 2001-12-15

突発性射精は,性的刺激や性的思考とは無関係に突然に射精する状態である。1983年にRedmondら6)が初めて報告して以来,器質的脳疾患に併発した症例報告4,5)などはあるが,未だその発症機序は明らかではない。 筆者らは,13歳時より不安・緊張時に突発性射精を呈し,後に精神分裂病を発症した1例を経験した。稀な症例と思われたので,若干の考察を加えて報告する。
著者
岡田 友佳 高尾 哲也 OKADA Yuka TAKAO Tetsuya
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.842, pp.36-40, 2010-12

The authors examined the association of the expression of taste receptors and taste blindness. Subjects were 21 female university students aged 19-21. They were tested for whether they could taste phenylthiocarbamide(PTC). Four students, or 19% of the subjects, turned out to have taste blindness where PTC is concerned. The cells in their foliate papillae were scraped between meals and were measured by RT-PCR(SCREP method). The patterns of expressions hTAS2Rs and T1R3 which are correlated with taste blindness were examined. On average, the 4 students expressed 3.25 varieties of taste receptors. Specifically, 3 students expressed hTAS2R3 which is an orphan receptor. But they did not express hTAS2R38 which is a PTC receptor. Drawing on these facts the authors suggest that hTAS2R3 might be related to bitter substances which hTAS2R38 is also related to, and that specifically hTAS2R3 might play an important role for PTC non-tasters in recognizing toxic substances which are bitter.
著者
高尾 哲也 藤本 清彦 中山 榮子 佐々木 央 永井 寛 桃原 郁夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.757-765, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
19

木製まな板およびエンボス加工されたプラスチック製まな板について, 新品および使用済みのまな板をそれぞれ3枚入手し, 模擬的な調理後の洗浄, 次亜塩素酸消毒処理, 自然乾燥の各工程における一般生菌数および大腸菌群数を測定した. また, まな板の表面粗さの定量的な検討を行い, 粗さと生菌数等との関係を検討した. 模擬的な調理を行った後の, 洗浄, 消毒, 乾燥工程後の一般生菌数及び大腸菌群数は木製新品まな板, 木製使用済みまな板, プラスチック製使用済みまな板間で有意な差はなかった. 一方, 未使用および使用済みまな板双方で表面粗さは, まな板によって差があるものの, 全体としては木製まな板の方がプラスチック製まな板と比べて小さかった. 数年間使用したことにより平滑性が低下した木製まな板でも, 粗さはエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であった. まな板の表面粗さと微生物の残存性との関係を検討した結果, 凹凸の平均粗さ (Pa) が乾燥時の一般生菌数と大腸菌数で正の相関を, 凹凸差を示す最大高さ (Pz) が洗浄後と消毒後の一般生菌数と大腸菌数とに対して正の相関を示した. 一方, 最大深さ (Pv) はこれらと相関を示さなかった. これらの事から木製まな板においては, Pa及びPzがエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であり, 「大量調理施設衛生管理マニュアル」が定める洗浄, 消毒, 乾燥工程を経れば, 木製まな板とエンボス加工された使用済みプラスチック製まな板との間で, 洗浄性や消毒性, 微生物の生残性にも有意な差は無く, 両者を同様に使用でき, 衛生性の差も大きくないと考えられた.
著者
森 明子 山田 直子 吉田 知加子 高尾 恭一 小池 文彦 風間 宏美 須賀 比奈子 高尾 哲也 Akiko MORI Naoko YAMADA Chikako YOSHIDA Kyoichi TAKAO Fumihiko KOIKE Hiromi KAZAMA Hinako SUGA Tetsuya TAKAO
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.782, pp.57-63, 2005-12

RT-PCR法を用いて,葉状乳頭における味覚受容体の発現を検討した。すなわち葉状乳頭部から擦過法により取得した組織を使用し,味覚受容体候補であるTHTRファミリー(THTRs)およびT2Rファミリー(T2Rs)の発現をRT-PCR後,マイクロキャピラリー電気泳動により測定した。40歳以上の健常者ではTHTRs,T2Rsの受容体において,多数を発現していることが認められた。これに対し30歳以下の被験者ではいくつかのTHTRsおよびT2Rsで発現を認めたが,典型的な発現パターンはなかった。さらに薬服用者や高齢の味覚異常者においては,健常者に比べてTHTRs, T2Rsともに発現していない受容体が多かった。これらのことから,まず青年期では味覚受容体が成長段階にあり,20歳の成人になっても味覚の成長は十分ではないことが考えられた。壮年期になると味覚受容体が十分発達し,高齢者になってもその味覚受容体の発現数は減少しないことが示唆された。また薬剤の服用者や味覚異常者も,味覚受容体の欠落の可能性が示唆された。
著者
高尾 哲也
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P2231-E3P2231, 2009

【初めに】車椅子を駆動している障害者(車椅子駆動者)にとって、バスやタクシーなどの輸送機関を利用して外出することは必ずしも容易なことではない.しかし、介助者の付き添いにより、輸送機関を利用しての外出が比較的、容易に行われる.また、外出が容易になるか否かは、車椅子駆動者の認識力のレベルにより左右される.今回、日常生活において標準型車椅子を利用し、両手駆動が可能である車椅子駆動者を対象に、障害者の生活状況評価法の1つであるFunctional Assessment Measure(FAM)を使用し、FAMの運動的側面(mFAM)の小項目の1つである輸送機関利用のレベルから、mFAMの小項目の1つである車椅子駆動およびFAMの認知的側面(cFAM)の大項目の1つである認識機能、という2項目のレベルを把握し、車椅子駆動者の外出、認識力について考察した.<BR>【対象】障害者施設に入所中の車椅子駆動者19名である.<BR>【方法】対象を輸送機関利用のレベルにより、最大介助や全介助を要する方々から構成される群(完全介助群)と、完全自立や修正自立の方々や監視、最小介助、中等度介助を要する方々から構成される群(非完全介助群)の、2群に分類し、各群の車椅子駆動と認識機能の各々の中央値を算出し、2群間での有意差の有無を検証した.尚、対象者に今回の調査目的および方法について説明を行い、対象者からの同意を得ている.<BR>【結果】輸送機関利用のレベルによる対象分類では、完全介助群は13名となり、非完全介助群は6名となった.車椅子駆動の中央値は、完全介助群で4点、非完全介助群で5点となったが、有意差は得られなかった.認識機能の中央値は、完全介助群で20点、非完全介助群で29点となり、有意差が得られた.<BR>【考察】mFAMの輸送機関利用とは、バスやタクシーなどを利用して外出する際、目的地までの道程、所要時間、運賃、安全性を認識することであり、車椅子駆動や輸送機関への移乗のレベルを問わない.cFAMの認識機能とは、問題解決、記憶、見当識、注意、安全確認から成り、輸送機関利用の際の基本的な認識力である.よって、車椅子駆動者が基本的な認識力を備えていれば、輸送機関利用は自立レベルに成り得る.車椅子駆動者の基本的な認識力が不十分であれば、介助者が車椅子駆動者に対し基本的な認識力を促し、共有することにより、輸送機関利用が部分介助レベルに成り得る.車椅子駆動者が基本的な認識力を備えていなければ、外出は介助者の完全管理下で行われるため、輸送機関利用は完全介助レベルになる.したがって、完全介助群と非完全介助群との比較で、認識機能で有意差が得られたと思われる.つまり、車椅子駆動技術に比べ、認識力は輸送機関を利用しての外出にとって重要なものである.今後、車椅子駆動者の外出を促していくために、車椅子駆動技術の習得のみならず、認識力に対する適切なアプローチも行っていく必要があると思われる.