著者
倉内 慎也 大山 貴志 吉井 稔雄 白柳 洋俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_871-I_878, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
9

交通事故統計によれば,高速道路の事故率は一般道路の約10分の1である.また,重大事故率については,高速道路の方がやや高いものの,ほぼ同程度である.それにも関わらず,高速道路の運転は怖いと考え,利用を避けるドライバーが一定数存在するものと思われる.そこで本研究ではドライバーに対してアンケート調査を実施し,事故率と重大事故率の知覚状況や,それらが高速道路の利用頻度に及ぼす影響を分析した.結果,事故率については約2割,重大事故率については約9割の人が,高速道路の方が高いと知覚していることを確認した.また,事故率と重大事故率の知覚値が高い人ほど,高速道路の運転への恐怖感が高く,利用頻度が有意に低下すると共に,所要時間や料金等に対する満足度と比較しても,無視できない影響を及ぼしているとの結果を得た.
著者
白柳 洋俊 倉内 慎也 坪田 隆宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_191-I_197, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
17

本研究は,街並の視覚性ワーキングメモリが注意捕捉を促進するとの仮説を措定し,室内実験により同仮説を検証した.和風型街並を回遊する際,一定時間歩行すると同街並を構成する和風建築要素に対して注意捕捉が促進されることがある.注意捕捉は視覚性ワーキングメモリに保持された視覚的な記憶と類似した要素に対して促進される.そこで本研究は和風型街並を対象に,事前に保持した和風型街並の視覚性ワーキングメモリが駆動することで,事後の和風型街並の和風建築要素に対して注意捕捉の促進が生じるとの仮説を措定し,同仮説を視覚探索課題により検討した.実験の結果,和風型街並を事前に認知することで,事後の和風建築要素に対する注意捕捉が促進すること,すなわち仮説を支持する結果が得られた.
著者
金森 亮 森川 高行 倉内 慎也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.853-858, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
22

LRTは自動車依存からの脱却、環境負荷低減、中心市街地活性化、都市景観向上などの導入効果が期待されるが、客観的計測が困難な要素も多いことから、合意形成が難航することが多い。本研究では、統合型交通需要予測モデルを適用することで、LRT導入による交通状況変化に加えて、中心市街地活性化への貢献を定量的に把握する。名古屋市を対象とした複数のLRT計画を評価したところ、中心市街地内での自動車利用減少と自転車・徒歩による移動増加、来訪者の滞在時間や立ち寄り箇所数の増加が確認でき、LRT導入による中心市街地活性化の観点からも定量的指標を基に議論できることを示した。
著者
西内 裕晶 塩見 康博 倉内 慎也 吉井 稔雄 菅 芳樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_40-I_46, 2015
被引用文献数
1

本研究は,わが国の地方都市やアジア諸都市のようなセンサーインフラが充実していない地域における交通流モニタリング手法の構築に資するために,新たな移動体データ収集のツールとして注目されるスマートフォンやカーナビから発信されるBluetoothのMAC(Media Control Access)アドレスに着目し,その検知特性を把握する.具体的には,MACアドレスを受信する際に,受信機の置き方,発信機からの距離,角度といった設置方法の違いが受信精度に与える影響を把握し,交通流観測のためのMACアドレス受信機設置方法について考察する.データ分析の結果から,MACアドレス検知に際しては,発信機と受信機の間の距離と受信機正面の角度がMACアドレス検知率に影響を与えることが示された.これにより,MACアドレスを検知する際には,受信機側の指向性を考慮することが重要であると結論づけられる.
著者
羽藤 英二 朝倉 康夫 山本 俊行 森川 高行 河野 浩之 倉内 慎也 張 峻屹 高見 淳史 井料 隆雅 佐々木 邦明 井上 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

プローブ技術を援用したデータフュージョン理論による総合的行動調査の高度化に向けて、1)行動文脈の自動識別アルゴリズムの開発、2)プローブデータを基本とした交通調査・管制システムの開発、3)これらを組み込んだモビリティサービスの実装研究を行ってきた。時系列に同一個人の行動データの蓄積が可能なプローブ技術を用いた総合的行動調査の可能性を示すと同時に、様々な交通施策評価や交通管制の効率化に向けたプローブ技術とデータフュージョン理論の可能性を明らかにすることができた。特にセンサー情報を利用した行動判別アルゴリズムでSVMにAdaboostアルゴリズムを組み合わせることで、大幅な精度向上が可能になり、加速度センサーを有するスマートフォンによって95%以上の確率で交通行動の自動収集判別を可能にすることに成功した.こうした技術とPT調査を組み合わせた総合的な調査プラットフォームを構成することで,従前のワンショット型の交通調査からAlltheyear型の交通調査への移行と,総合的調査技術を用いた交通計画の可能性を示した.