著者
佐々木 邦明 西山 明博
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_189-67_I_195, 2011

本研究は,交通環境の変化を個人の主観的指標によって計測可能であるかを実証するものである.今回は中山間地に位置する2つの集落を対象に2009年に意識調査を含む生活意識調査を行い,その約2年後に再度同様の生活意識調査を行った.この2年間で,一つの集落ではデマンドバスの走行が開始され,他方は食料品店が閉店するなどの生活・交通環境等の変化があった.結果からはデマンドバスが走行を始めた集落では有意に主観的な生活満足度が向上した.また,個人の交通環境により主観的評価である移動手段に対する不満や,生活行動の断念が多くなる傾向も明らかになった.ただし生活満足度は個人の変化による影響が小さいことも示され,生活満足度は個人の変化による影響の小さな評価指標として活用できる可能性が示された.
著者
佐々木 葉 羽藤 英二 岡田 智秀 佐々木 邦明 平野 勝也 山田 圭二郎 星野 裕司 山口 敬太 出村 嘉史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では 景観計画およびまちづくりの理念を構築するための理論的研究として、①固定的視点からの景観把握モデルに代わる広域を捉える地域景観把握モデルの可能性を示し、②欧州風景条約から本研究の理念の位置づけを確認した。理念を実現する方法論として、③シーン景観、④移動景観、⑤生活景それぞれの視点で地域景観を記述する手法を考究した。理念実現化の運用方策として、⑥地域景観の保全から捉えた地域ガバナンス、⑦地域景観を活用した地域連携方策、⑧地域景観の価値の継承方策を調査した。以上を含めた本研究の成果は2014年1月23日に土木学会ワンデイセミナー「地域景観まちづくりの理論と実践を探る」において公表された。
著者
森田 将彬 佐々木 邦明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.22-00194, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
20

近年,都市部の浸水や河川の氾濫,土砂災害といった被害が甚大化する事例が相次ぎ,水害へのさらなる対策強化が求められている.その一方で,国土交通省および都道府県が定める浸水想定区域において,人口や世帯数が全国的に増加している.多くの都市で,災害リスクを避け都市機能を集約させるといった,都市計画マスタープランが立案されているにもかかわらず,適切に機能していないと考えられる.そこで,近年になって浸水被害を経験した地域の地価や人口・世帯数などに着目し,水害の経験や浸水想定が及ぼした影響を,DID分析を用いて検証した.その結果,浸水被害は人口や地価に対して正の効果をもたらしており,水害の経験が必ずしも地域の人口の減少や地価の低下につながらず,増加する影響を与えていることが示された.
著者
福島 直樹 佐々木 邦明 上坂 克巳 小菅 英恵
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.22-00031, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
13

高齢運転者が健康状態に問題を感じながらも,代替的な移動手段が確保できないことから,運転を継続しているとの報告がなされている.このことから,高齢運転者の運転頻度は,個人的な要因だけでなく,地域的な要因が影響していることが指摘されてきた.そこで本研究は,教習所での高齢者講習時のアンケート調査で得られた,高齢者の目的別の運転頻度データを用いて,高齢運転者の運転頻度とアクセシビリティ,ウォーカビリティなどの地域の移動環境との関係性について検証を行った.ロジスティック回帰分析によって両者の関係を分析したところ,複数の目的の運転頻度において,地域のアクセシビリティ指標やウォーカビリティ指標が有意な係数を持つことが確認され,地域移動環境と高齢運転者の運転頻度に関係性があることが示された.
著者
渡邊 高志 折笠 貴寛 佐々木 邦明 小出 章二 椎名 武夫 田川 彰男
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業食料工学会誌 (ISSN:2188224X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.387-394, 2014-09-01 (Released:2017-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
3

熱湯およびマイクロ波によるブランチング処理が,キャベツの遠赤外線および熱風乾燥における水分蒸散速度と品質変化(Brix糖度,L-アスコルビン酸)に及ぼす影響を検討した。ブランチング処理における水分蒸散速度の増加は,熱湯ブランチング処理における試料の軟化と,熱湯およびマイクロ波双方のブランチング処理における収縮抑制によるものと推察された。乾燥物におけるBrix糖度とL-アスコルビン酸は,熱湯処理と比較してマイクロ波処理で保持される傾向にあった。
著者
田中 皓介 稲垣 具志 岩田 圭佑 大西 正光 神田 佑亮 紀伊 雅敦 栗原 剛 小池 淳司 佐々木 邦明 佐々木 葉 Schmöcker Jan-Dirk 白水 靖郎 泊 尚志 兵藤 哲朗 藤井 聡 藤原 章正 松田 曜子 松永 千晶 松本 浩和 吉田 樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.129-140, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本稿ではCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握することを目的にWebアンケート調査を行った.その結果,感染・死亡リスクを,現実の数倍~数千倍過大に評価している様子が明らかとなった.また,接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低く,周知活動の問題点を指摘した.さらに,緊急事態宣言に対する65%以上の支持率や,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いこと,行動決定のために参考にするのはキャスターや評論家や政治家よりも「専門家の意見」の影響が大きいことなどが明らかとなった.
著者
根本 美里 谷口 綾子 佐々木 邦明 小菅 英恵
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.1-9, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
19

本研究では、認知機能検査が受検者にもたらす心理的影響の効果・副作用を検証するため、インタビ ュー調査と認知機能検査によるメッセージ効果検証実験を実施した。インタビュー調査の結果、認知機能検査結果に関わらず多くの対象者が、検査を難しいと感じていることや過去の検査結果と比較して結果を解釈していることが明らかになった。認知機能検査によるメッセージ効果検証実験の結果、認知機能の低下のおそれがない第3分類の人は、クルマ利用抑制意図・運転免許返納行動意図など4項目の値が、検査実施後に有意に低くなり、検査による副作用の存在が示唆された。認知機能の低下のおそれがある第2分類の人は、運転免許返納行動意図が事後に有意に高くなった。以上より認知機能検査による心理的効果・副作用の両面が存在する可能性が明らかになった。
著者
塩見 道夫 佐々木 邦明 室伏 貢 粟飯原 景昭
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Medical Science and Biology (ISSN:00215112)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.75-80, 1982 (Released:2010-03-19)
参考文献数
6
被引用文献数
63 90

The antitumor activity of a water-soluble polysaccharide (KGF-C), isolated from the Kefir grain, was studied in the mice subcutaneously inoculated with Ehrich carcinoma (EC) or Sarcoma 180 (S-180) . The growth of EC and S-180 solid tumor was inhibited by 40-59% and 21-81%, respectively, by oral administration of KGF-C as compared with the unadministered mice. The tumor growth was similarly inhibited by intraperitoneal administration. The mechanism of the antitumor activity of KGF-C was considered to be host-mediated because of the lack of direct in vitro effect on tumor cells.
著者
羽藤 英二 朝倉 康夫 山本 俊行 森川 高行 河野 浩之 倉内 慎也 張 峻屹 高見 淳史 井料 隆雅 佐々木 邦明 井上 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

プローブ技術を援用したデータフュージョン理論による総合的行動調査の高度化に向けて、1)行動文脈の自動識別アルゴリズムの開発、2)プローブデータを基本とした交通調査・管制システムの開発、3)これらを組み込んだモビリティサービスの実装研究を行ってきた。時系列に同一個人の行動データの蓄積が可能なプローブ技術を用いた総合的行動調査の可能性を示すと同時に、様々な交通施策評価や交通管制の効率化に向けたプローブ技術とデータフュージョン理論の可能性を明らかにすることができた。特にセンサー情報を利用した行動判別アルゴリズムでSVMにAdaboostアルゴリズムを組み合わせることで、大幅な精度向上が可能になり、加速度センサーを有するスマートフォンによって95%以上の確率で交通行動の自動収集判別を可能にすることに成功した.こうした技術とPT調査を組み合わせた総合的な調査プラットフォームを構成することで,従前のワンショット型の交通調査からAlltheyear型の交通調査への移行と,総合的調査技術を用いた交通計画の可能性を示した.