著者
國松 淳和 前田 淳子 渡邊 梨里 加藤 温 岸田 大 矢崎 正英 中村 昭則
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.130-139, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

背景:家族性地中海熱(FMF)は不明熱の原因としては稀であるが,近年本邦でも疾患認知が高まり,診断数が増加してきている.著者らは「短期間で終息する発熱エピソードが反復する」という発熱パターンに注目することによって,一般内科外来で多くのFMFを診断してきた.当科FMF30例の臨床データを解析することにより,診断のための注意点について論ずることを本調査研究の目的とした.対象:2012年9月02015年8月までの3年間に当科でFMFとして診療された全患者を対象とした.Tel-Hashomer基準を満たさないものは除外した.結果:対象となったのは38例で,このうちTel-Hashomer基準を満たしていたのは30例だった.14例でMEFV遺伝子変異が見いだされ,変異の有る例が少ない傾向にあった.平均発症年齢は27.8歳と高かったが,典型発作を有する例は17例(56.7%),コルヒチン抵抗性例は3例(10.7%)と既報とほぼ同等だった.結論:FMFは外来に多く潜在し得る.発熱するが数日で自然軽快し,それを周期性に反復する病像に注目すべきである.
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.39-51, 2005-02
被引用文献数
1

テイラーによるr科学的管理法」がアメリカで産声を上げたのが19世紀の終りから20世紀の初めにかけてである。この「科学的管理法」が彼が所属したミッドヴェール製鋼会社,並びにベスレヘム製鋼会社だけに留まらず,アメリカの鉄鋼産業の大部分に,さらにはシカゴの食肉包装とデトロイトの自動車産業へと普及され始めたのは1910年代のことである。またフォードがT型1車種の限定生産を挙行し,いわゆる「大量生産体制」の確立を確固たるものとしたのが1909年から1927年にかけてである。テイラーシステムとフォードシステムの内実を規定し,特徴づけるアメリカの経営経済的条件,或いは社会的条件とは一体何か。この点を数稿かけて解明することとしたい。本稿においては,テイラーシステム出現前にとりわけ東部の機械工業企業で支配的に見られた内部請負制度を取り上げ,まずその特質と意義を把握すると同時に,その解体の原因を解明した。また解体後の新たな動向についても考察を試みた。
著者
前田 淳 市岡 四象 井内 正彦
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.17, no.11, pp.832-836, 1976-11-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
8

われわれは慢性日本住血吸虫症患者の血中エストロゲン値を測定し,脾腫の有無と共に検討を加えた.1) 脾腫の発生は肝硬変を呈する男性,肝線維症を呈する女性に多い傾向がみられた.2) 血中エストロゲン値は肝硬変および肝線維症を呈するものに高値を示し,慢性肝炎を呈するものは全例とも正常範囲内であった.3) 脾腫のみられるものの血中エストロゲン値は脾腫のみられないものより高値を示すものが多く,肝硬変群では脾腫のみられる男女に,肝線維症群では脾腫のみられる青壮年の女性に高値を示すものが多かった.4) 妊娠回数との関係では肝硬変群では関連はうすかったが,肝線維症群では妊娠回数の多いものほど脾腫のみられるものが多く,血中エストロゲン値も高いものが多かったが,今後,検討を要するものと思われる.
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.181-198, 2007-08

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty十川廣國教授退任記念号 = In honour of Professor Hirokuni Sogawa50周年記念論文・退任記念論文「テイラーシステム」の形成過程に着目しながらテイラーの著作『工場管理法』の論点を整理し,その意義と限界についても明らかにした。その際,前稿で考察対象とした彼の論文「労働問題の部分的解決へ向けての第一歩である出来高給制度」の論点と特徴を踏まえながら「比較の視点」を重要視した。
著者
吉崎 浩一 野瀬 弘之 鈴木 優司 近藤 則央 前田 淳一 堀井 修 飯井 サト子 牧村 士郎 寺井 継男 東 弘志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.630-637, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

上部消化管造影検査で高濃度バリウムを使用するにあたっての前調査として, バリウム飲用による副作用及びその服用感がバリウム濃度及びその性状によりどのように変化するかアンケート調査を行い検討した。副作用は, バリウム濃度上昇に伴い増加したが, 何れも一過性のものであり, 医療機関で治療を要した例はなかった。さらに, 便秘群と通常群に分けて検討したが, 便秘群では通常群より低い濃度で副作用の割合が増え, 排泄状況に関しても便の硬化や排泄の遅延などが認められた。バリウム便の排泄は, 基本的には普段の排便状況と一致し, 濃度増加による影響をあまり受けないものと思われた。下剤の有無による排便状況の調査では, 下剤の服用が必ずしも良好な排泄につながっておらず, 今後下剤を服用するタイミングや水分摂取等に関する検討が必要であると思われた。バリウムの飲み易さは, バリウムを選択する際の要素の一つと考えられるため, その服用感に関して調査したが, 濃度の差よりその性状に起因することが明らかになった。これらの結果より高濃度バリウムを使用するに当たり, 副作用出現を抑制するためには特に便秘群において適切な指導をする必要があると思われた。
著者
前田 淳 林 直諒 小幡 裕 竹本 忠良 関根 暉彬 西岡 久寿弥 松野 堅 上地 六男 山内 大三 山下 克子 横山 泉 市岡 四象 本池 洋二 藤原 純江
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.17, no.12, pp.907-913, 1976

東京女子医大,成人医学センターの定期検診受診者1,391名および同消化器内科に肝疾患のため入院した発端者20名(急性肝炎8名,慢性肝炎6名,肝硬変3名,肝癌3名)の家族90名を対象としHBs抗原およびHBs抗体についてsubtypeを中心に検討を加えた.<BR>定期検診受診者の抗原陽性看は1.4%,抗体陽性者は27.4%であり,肝疾患患看家系では抗原陽性者は41.1%,抗体陽性者は34.4%で定期検診受診者より明らかに高率であり,特に抗原の陽性率が高い.<BR>subtypeでは定期検診受診者,肝疾患患者家系とも抗原はadr,抗体はRが優位であり,定期検診受診者で6ヵ月間隔で2度施行できたものでsubtypeの変動したものはなかった.肝疾患患者家系では肝硬変,肝癌群に兄弟,子供に抗原,抗体の集積がみられ,subtypeでは抗原がadwの家系は急性肝炎の1例のみで,他は抗原はadr,抗体はRであり,同一家族内でsubtypeの異なるものはなかった.
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.39-64, 2002-08
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.15-24, 2003-10
著者
前田 淳 本池 洋二
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.170-171, 1976-02-25

東京女子医科大学学会第41回総会 昭和50年9月27日 東京女子医科大学本部講堂
著者
前田 淳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-27, 1996-04-25

信託公社の解体直後,1995年1月1日,同運営評議会議長(Vorsitzender des Treuhandanstaltsverwaltungsrat)マンフレッド・レーニングス(Manfred Lennings)は,「東独はヨーロッパ有数の成長地域に数えられるであろう」と述べ,信託公社の4年半に及ぶ業績を最大限に自負した。さらに,「『かつての手を焼かせる子供』であった東独工業は1995年も昨年同様,20%の高い成長率を示すであろうし,そのことで旧東独時代の生産水準に到達するであろう」(傍点は引用者)と付言している。しかし,彼の主張を冷静に判断するならば,信託公社が1990年6月17日, 旧東独で産声を上げ,1994年12月31日,その任務を終了し,解体されるまで,旧西独連邦政府,企業,就中,銀行の全面的バックアップを受容したにもかかわらず,4年半の時間を消費しても尚,旧東独の経済水準には到達しえなかったことになる。我々はこの客観的事実を率直に認識すると同時に,その過程及び東独地域経済の苦境の原因の究明を分析の目的として措定する。特に本稿では,信託公社の中核業務である民営化の準備過程-1990年代-に注目し,同過程整備の方法及び特質を詳らかに考察し,その論点を明確にした。その際,通貨同盟締結が同過程に多大なるインパクトを与えている点を強調した。具体的には,信託公社による(1)人民所有企業から資本会社への転換業務,(2)通貨同盟締結を直接的契機とする財務的支援,(3)取締役会・監査役会の設置の3点を中心に検討した。(2)に関しては,さらに第3階梯に分割し,各々の内実と意義を明確にした。(3)については,両機関の機能を支援する意味での経営コンサルティング会社と銀行の役割と重要性も同時に強調した。