著者
前田 顕之 大関 悟 有地 榮一郎 出雲 俊之 大鶴 洋 岡部 貞夫 小村 健 川辺 良一 桐田 忠昭 草間 幹夫 迫田 隅男 佐々木 朗 篠原 正徳 田中 陽一 中村 太保 野口 誠 又賀 泉 山城 正司
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 = Journal of Japan Society for Oral Tumors (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-175, 2007-09-15
被引用文献数
1 1

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。<BR>有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。<BR>手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。<BR>一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。
著者
小村 健 鈴木 晴彦 竹内 洋介 原田 浩之 前田 顕之 嶋田 文之
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頚部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-54, 2001-03-25
被引用文献数
3 1

舌全摘出例の中には術後の誤嚥を防止するために喉頭全摘出術を併施せざるをえない症例がある。今回, 舌全摘出例における喉頭保存の限界について舌周囲の合併切除範囲との関係から検討した。<br>舌全摘出例における喉頭保存の条件としては, 心肺機能が良好で, 喉頭保存に対するモチベーションが高いことに加え, 上喉頭神経が温存され, 下顎骨の連続性が確保あるいは再獲得され, 中咽頭切除が一側壁までに限局することが挙げられた。また喉頭保存例では喉頭挙上術, 喉頭形成術, 輪状咽頭筋切断術等の誤嚥防止策が有効であるが, 甲状舌骨筋神経の温存は喉頭挙上術を補完する上からも重要と考えられた。
著者
小村 健 原田 浩之 前田 顕之
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.391-395, 2000-12-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

顎関節部の悪性腫瘍は極めてまれであり, 顎関節に原発するもの, 周囲組織に発生し顎関節に進展するもの, および顎関節に転移するものに大別される。症状は他の顎関節疾患に類似しているが, 進行は急速である。診断には詳細な病歴聴取, 視診, 触診, CT, MRI, 99mTcや67Gaシンチなどの画像診断が必須であり, 確定診断には生検ないし細胞診を必要とする。その中で超音波ガイド下穿刺吸引細胞診は有用である。治療は, 原発性腫瘍では拡大手術が第一選択となり, 経耳下腺的アプローチが有用である。進展性や転移性腫瘍では原発腫瘍の状況により放射線治療, 化学療法あるいは手術を選択し, 転移性腫瘍でもQOLの向上のための手術を検討すべきである。