著者
功刀 浩
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.7-13, 2018 (Released:2018-01-29)
参考文献数
50

うつ病は慢性ストレスを誘因として発症することが多いが,腸内細菌叢とストレス応答との間に双方向性の関連が示唆されている.動物実験によりプロバイオティクスがストレスに誘起されたうつ病様行動やそれに伴う脳内変化を緩和することが示唆されている.うつ病患者における腸内細菌に関するエビデンスはいまだに乏しいが,筆者らはうつ病患者においてLactobacillusやBifidobacteriumが減少している者が多いことを示唆する所見を得た.最近,プロバイオティクスがうつ病に有効であるという臨床試験の結果も報告されるようになった.自閉症スペクトラム障害においては,消化器症状を示す者が多いことが知られ,重症度とも相関することから,古くから腸内環境の関与が検討されている.患者の腸内細菌叢に関する検討では,ClostridiumやSutterellaなどいくつかの菌の変化が指摘されているが,結果は必ずしも一致していない.プロバイオティクスや便の細菌移植などの治療法が探られており,ASDの有効な治療法は殆どないことから,今後の発展が期待される.
著者
功刀 浩 古賀 賀恵 小川 眞太郎
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.54-58, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
12

海外では,うつ病患者において肥満,脂質異常,n-3 系多価不飽和脂肪酸,ビタミン B12 や葉酸,鉄,亜鉛などにおける栄養学的異常が発症や再発のリスクと関連するという報告が増えている。しかし,わが国におけるエビデンスは今のところ乏しい。特に精神科受診患者を対象とした研究はほとんどない。そこでわれわれは,うつ病患者と健常者における栄養素・食生活について調査し,予備的結果を得た。末梢血を採取し,アミノ酸・脂肪酸・ビタミン濃度等について詳細に測定した。食生活調査は食事歴法質問紙を使用した。うつ病群は健常者群と比較して肥満,脂質異常が多かった。脂肪酸では,エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸濃度について両群間で有意差は見られなかった。ビタミンでは葉酸が低値を示す者がうつ病群に有意に多かった。アミノ酸では,うつ病群で血漿トリプトファン値が有意に低下していた。鉄や亜鉛などのミネラルの血清中濃度に関しては,欠乏を示す者は患者と健常者の両群に高頻度でみられたが,両群の間で有意差は見られなかった。嗜好品では,うつ病患者は緑茶を飲む頻度が低い傾向がみられた。以上から,海外での先行研究と必ずしも一致しないものの,日本のうつ病患者においても栄養学的問題が多数みられることが明らかになり,うつ病患者に対する栄養学的アプローチの重要性が明らかになった。
著者
功刀 浩 太田 深秀 若林 千里 秀瀬 真輔 小澤 隼人 大久保 勉
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.177-181, 2016 (Released:2018-07-20)
参考文献数
14

近年,緑茶の飲用頻度が高いとうつ病など精神疾患のリスクが低いことが指摘されている。緑茶特有の成分であるテアニン(L-theanine:N-ethyl-L-glutamine)は,グルタミン酸に類似したアミノ酸で,リラックス効果があることが知られていた。筆者らは動物実験により,テアニンはprepulse inhibition[PPI]で評価した感覚運動ゲイティング障害を改善する効果があるほか,持続的投与では強制水泳テストの無動時間を減少させ,海馬での脳由来神経因子の発現を高めるなど抗うつ様効果も認める結果を得た。健常者を対象にテアニン(200mgまたは400mg)を単回投与するとPPIが上昇することを見いだした。慢性統合失調症患者に8週間投与したところ,陽性症状や睡眠を改善する効果がみられた。大うつ病患者に対する8週間のオープン試験では,うつ症状,不安症状,睡眠症状に加えて認知機能の改善が観察された。以上から,テアニンは多彩な向精神作用をもち,統合失調症やうつ病といった精神疾患に対して有用である可能性が示唆された。
著者
功刀 浩 太田 深秀 若林 千里 秀瀬 真輔 小澤 隼人 大久保 勉
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.177-181, 2016

近年,緑茶の飲用頻度が高いとうつ病など精神疾患のリスクが低いことが指摘されている。緑茶特有の成分であるテアニン(L-theanine:N-ethyl-L-glutamine)は,グルタミン酸に類似したアミノ酸で,リラックス効果があることが知られていた。筆者らは動物実験により,テアニンはprepulse inhibition[PPI]で評価した感覚運動ゲイティング障害を改善する効果があるほか,持続的投与では強制水泳テストの無動時間を減少させ,海馬での脳由来神経因子の発現を高めるなど抗うつ様効果も認める結果を得た。健常者を対象にテアニン(200mgまたは400mg)を単回投与するとPPIが上昇することを見いだした。慢性統合失調症患者に8週間投与したところ,陽性症状や睡眠を改善する効果がみられた。大うつ病患者に対する8週間のオープン試験では,うつ症状,不安症状,睡眠症状に加えて認知機能の改善が観察された。以上から,テアニンは多彩な向精神作用をもち,統合失調症やうつ病といった精神疾患に対して有用である可能性が示唆された。
著者
功刀 浩
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.641-646, 2016-06-01

うつ病は慢性ストレスを誘因として発症することが多いが,腸内細菌とストレス応答との間に双方向性の関連が示唆されている。動物実験によりプロバイオティクスがストレスに誘起されたうつ病様行動やそれに伴う脳内変化を緩和することが示唆されている。うつ病患者における腸内細菌に関するエビデンスはいまだに乏しいが,筆者らはうつ病患者において乳酸菌やビフィズス菌が減少している者が多いことを示唆する所見を得た。