著者
宮本 真二 安田 喜憲 北川 浩之
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.865-873, 1995-12-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

A continuous long core of peaty sediments bored from the Naka-Ikemi Moor Central Japan (lat. 35°39' N., long. 136°5' E.), contains records of paleoenvironmental changes during the Last Glacial and Holocene periods. The Naka-Ikemi Moor stretches about 1.3 km from the west to east. This peculiar shapes and crustal movements had been pointed out by purely from a topographical point of view. And this moor is regarded as a waste-filled valley created by sort of tectonic depression at the eastern part of the Tsuruga Plain. From the stratigraphical examination, some volcanic ashes were detected as follows : Kikai-Akahoya Tephra (K-Ah : 6.3 ka), Aira-Tn Tephra (AT : 24 ka), Daisen Kurayoshi Tephra (DKP : ca. 50 ka). Values of bulk density measurements and radiocarbon dates of core samples indicate that the Naka-Ikemi core samples contain continuous records for the past 50 ka. The average sedimentation rate of Naka-Ikemi Moor was increased after the fall of AT volcanic ash had occurred. The sedimen tation process of Naka-Ikemi Moor has also been clarified by sedimentary facies and value of loss on ignition of core samples. Value of loss on ignition began to increase since the end of Last Glacial, suggesting the increase of organic material caused by environmental changes.
著者
北川 浩之 中村 俊夫 福沢 仁之
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-42, 1995-03
被引用文献数
1

名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(1994年度)報告 [タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定の利用による火山噴火史研究の新展開] Proceedings of Symposium on Tandetron Accelerator Mass Spectrometer, Nagoya University "New Developments in Studies on the History of Volcanic Eruptions by Using 14C dates Measured with the Tandetron Accelerator Mass Spectrometer"
著者
鈴木 康弘 岡田 篤正 竹村 恵二 慶 在福 金 幸隆 廣内 大助 伊藤 愛 大石 超 中村 洋介 成瀬 敏郎 北川 浩之 渡辺 満久
出版者
日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.147-152, 2005

The Ulsan fault extends for 50 km along the NNW-SSE direction in the southeastern part of the Korean Peninsula; this is one of the most important active faults in Korea. Its paleoseismicity has recently attracted considerable attention. With the support of KOSEF (Korean Science and Engineering Foundation), excavation studies of this fault were conducted in 1999 as a part of the Korea-Japan cooperative research at Kalgok-ri in Kyongju city. The results obtained are summarized as follows. (1) The Ulsan fault plane has an eastward dip of approximately 30 degrees and exhibits typical reverse faulting. (2) It was reactivated three times in the past 30,000 years, in particular, twice after the age of AT tephra (approximately 25,000 years BP). (3) A vertical displacement of approximately 0.8 m occurred during the fault event, and the amount of net slip along the fault plane is calculated to be 1.6 m.
著者
安田 喜徳 中川 毅 高橋 学 佐藤 洋一郎 北川 浩之 福澤 仁之 外山 秀一 徐 朝龍
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

平成13年度はプロジェクトの最終年度にあたり、主として研究成果のとりまとめと、補足調査ならびに研究成果の発表を実施した。平成13年度「長江文明の探求」の成果として特筆すべきことがらは、1)世界最古の焼成レンガの発見、2)中国最古の祭政殿の発見、3)中国最古の王宮の発見、4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見、5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、6)城頭山遺跡の住人が苗族であった可能性が高いこと、7)長江文明と日本文明の関係の解明、8)国際シンポジウムの実施し、9)研究成果報告書の刊行、10)記者発表による研究成果の公開などである。1)世界最古の焼成レンガの発見湖南省城頭山遺跡から出土した紅焼土とこれまでよばれてきたものの焼成過程を詳細に分析した結果、それが火事などで偶然できたものではなく、焼成レンガであることが判明した。焼成温度は摂氏600度以上の高温で、均質に焼かれており、かつそれらを大量に生産するシステムが存在したことが判明した。14C年代測定の結果その焼成レンガはすでに6400年前に作られていたことがあきらかとなり、世界最古の焼成レンガであることが判明した。2)中国最古の祭政殿の発見大渓文化の土廣墓の上にこの焼成レンガを敷き詰め、その上に屈家嶺文化早期の正殿・前殿・脇殿の構造をもった建築物が発見された。これは中国最古の祭政殿とみなされる。3)中国最古の王宮の発見祭政殿の西側に焼成レンガの上にさらに40cmほど版築をした上に、列柱回廊を持つ大型の建物が発見されんた。内部には御簾を支えたとみなされる列柱も発見され、これが王宮であった可能性がきわめて高いことが判明した。4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見東門の背後から直径1m以上の木柱をもつ大型の建物跡が発見され、その周辺から大量のイネの籾殻のプラントオパールが集中して発見された。このことから、この大型の木造家屋はイネ籾の貯蔵庫であった可能性が指摘できる。5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、城頭山遺跡の修景保存のための発掘調査の結果、城頭山遺跡の城壁は3回にわたって築造が内側から外側へと城壁が拡大築造されていることが判明した。6)城頭山遺跡の住人が苗族であった城頭山遺跡から出土した木材片の分析の結果、大半がフウの木であることが判明し、城頭山遺跡の住人はフウの木を愛用し崇拝していた可能性が高いことが判明した。現在フウの木を崇拝し愛用しているのは少数民族の苗族であり、城頭山遺跡の住人が苗族である可能性が高いことが指摘された。7)長江文明と日本文明の関係の解明城頭山遺跡周辺では水陸未分化の稲が栽培され、畑作雑穀も栽培されていた城頭山遺跡から出土した大型種子の分析の結果、水田雑草の種子とともに大量の畑作雑草の種子が検出され、遺跡周辺での稲作は水陸未分化の稲であったことが指摘できる。これは縄文時代晩期の唐津市菜畑遺跡の分析結果とよく似ており、稲作の日本への伝播経路が長江下流域から直接東シナ海を渡って日本に伝播した可能性が高いことが明らかとなった。8)国際シンポジウムの開催平成13年11月に長江文明の興亡と環境変動についてて世界の古代文明の研究者を招聘して、国際シンポジウムを実施した。その結果4200年前の気候悪化が長江文明の崩壊に決定的な意味を持ったことが明らかとなった。9)研究成果の報告書の刊行英文1冊、中文2冊の研究成果の報告書を刊行した。英文の報告書は「Origins of Pottery and Agriculture」(Lusre Press Roli Book)384pp.中文の報告書は「神話・祭祀和長江文明」文物出版社200頁と「長江流域乃青銅器」科学出版社200頁である。さらに現在中文の報告書「城頭山遺跡」を編集中であり、平成14年12月までには刊行できる見通しである、予定頁数は1000頁を越える膨大な報告書が出る予定である。10)記者発表平成13年11月2日に記者発表を行い、研究成果の公開を行った。
著者
北川 浩之 Kitagawa Hiroyuki
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.24, pp.56-61, 2013-03

Radiocarbon (14C) provides a way to date material that contains carbon with an age up to 50,000 years and is also an important tracer of the global carbon cycle. To obtain the calendar year, radiocarbon age is calibrated using radiocarbon calibration dataset such as IntCal09. However there is still uncertainty in the available radiocarbon calibration dataset prior to 12.5 thousand years before the present. Recently,the radiocarbon calibration dataset from the annual laminated (varve) sediments of Lake Suigetsu, Japan (35°35'N, 135°53'E), have been updated by more than 800 14C analyses of terrestrial materials which provide a comprehensive record of atmospheric (or terrestrial) radiocarbon to the present limit of the 14C method (Bronk Ramsey et al., 2013).炭素14年代測定法は、過去5万年間の年代決l定には無くてはならない年代測定法である。しかし、炭素14年代は暦年代とは一致しなく、炭素14年代から暦年代を推定するには炭素14年代キャリブレーションデータセットを用いた較正が必要である。過去12500年間の炭素14年代キャリブレーションセットは、年輪年代学の手法で年代決定された木材の高精度炭素14年代測定によって求められている。それ以前は、海洋試料の高精度炭素14年代測定結果に海洋のリザーバ効果の補正が行われデータから推定され、不確かさが残されていた。水月湖年縞堆積物の研究で、海洋のリザーバ効果の補正が必要がなくなり、考古学試料などの陸域試料に適用できる炭素14年代キャリブレーションデータセットが、炭素14年代測定法が適用できる全期間について求められた。