著者
外山 秀一
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.407-421, 1985-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
120
被引用文献数
3 3
著者
外山 秀一
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.317-329, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
41

遺跡の発掘調査や地形分析, プラント・オパール分析その他の成果に基づき, 縄文時代晩期~弥生時代の稲作農耕に関する諸問題を検討するとともに, 弥生時代~15・16世紀の土地条件の変化を明らかにした.稲作農耕文化を構成する要素のうち, イネ (Oryza sativa L. あるいは Oryza) に関する資料, すなわち籾殻圧痕土器や炭化米, プラント・オパールや花粉化石, そして水田址の検出状況を整理し, これらの波及の状況を検討した. その結果, それらの波及には時間的なズレが生じており, 初期の水稲作を大きく2段階に分けて考える必要がある. すなわち, 稲作農耕文化を構成する要素が徐々に波及する第I段階と, これらの要素が集まり稲作農耕文化として完成し, 本格的な水田造営がおこなわれる第II段階である. また, 水田址の増加の時期や分布の状況に地域的な差違がみられた. その原因の一つとしてイネの品種の違いが考えられ, 自然交配によって出現した早生種が, 弥生時代の比較的短期間のうちに東日本に拡大したとみられる.さらに, 弥生時代以降の土地条件の不安定な時期とその状況が明らかになった. 不安定な時期は, 弥生時代前期末~中期初頭, 弥生時代後期~古墳時代前期, 古代末, そして中世の15・16世紀のそれぞれ一時期である. こうした不安定な状況は河川流域の段丘の形成, あるいは洪水などによる地形の変化に対応している. また, 土地条件の変化は土地利用をはじめとする土地の開発の問題と密接に関わっている.
著者
外山 秀一 中山 誠二
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.27-60, 2001-05-18 (Released:2009-02-16)
参考文献数
64

山梨と新潟の11遺跡から出土した縄文時代晩期~弥生時代中期初頭の土器76点を整理して資料化し,このうちの55点を対象としてプラント・オパール分析を行った。土器胎土の定性分析と簡易定量分析の結果,8遺跡の14試料からイネの機動細胞プラント・オパールが検出された。このうちの4試料は弥生時代前期前葉に,5試料は前期中葉に並行する浮線文土器に比定される。また,山梨の宮ノ前遺跡では前期中~後葉の水田址が発掘されている。山梨と新潟では,かかる浮線文土器の段階にイネ資料が増加し水稲作が開始されている。中部日本の稲作の開始と波及を検討する上で,浮線文期は,稲情報の波及や水稲農耕技術の受容という生業の変換期となっており,その重要性が指摘される。当時は,地形や地層,標高などの地形環境に適応した多様な稲作形態であったとみられ,遺跡立地の多様化現象が認められる。さらに,地形分析に基づいて遺跡の時期的・地形的な動向を検討すると,両地域に遺跡立地の低地化傾向がみられ,弥生時代中期以降において水稲農耕の定着化が進む。また,山梨ではネザサ節型,新潟ではクマザサ属型のプラント・オパールが多数検出され,両地域間のササ類にみられる植生環境に違いがみられる。さらに,定性分析や簡易定量分析の結果は,胎土の供給源の違いとともに,土器製作時およびそれ以前の植生環境の違いや,植物質の混入または混和材の可能性を示唆している。
著者
安田 喜徳 中川 毅 高橋 学 佐藤 洋一郎 北川 浩之 福澤 仁之 外山 秀一 徐 朝龍
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1997

平成13年度はプロジェクトの最終年度にあたり、主として研究成果のとりまとめと、補足調査ならびに研究成果の発表を実施した。平成13年度「長江文明の探求」の成果として特筆すべきことがらは、1)世界最古の焼成レンガの発見、2)中国最古の祭政殿の発見、3)中国最古の王宮の発見、4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見、5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、6)城頭山遺跡の住人が苗族であった可能性が高いこと、7)長江文明と日本文明の関係の解明、8)国際シンポジウムの実施し、9)研究成果報告書の刊行、10)記者発表による研究成果の公開などである。1)世界最古の焼成レンガの発見湖南省城頭山遺跡から出土した紅焼土とこれまでよばれてきたものの焼成過程を詳細に分析した結果、それが火事などで偶然できたものではなく、焼成レンガであることが判明した。焼成温度は摂氏600度以上の高温で、均質に焼かれており、かつそれらを大量に生産するシステムが存在したことが判明した。14C年代測定の結果その焼成レンガはすでに6400年前に作られていたことがあきらかとなり、世界最古の焼成レンガであることが判明した。2)中国最古の祭政殿の発見大渓文化の土廣墓の上にこの焼成レンガを敷き詰め、その上に屈家嶺文化早期の正殿・前殿・脇殿の構造をもった建築物が発見された。これは中国最古の祭政殿とみなされる。3)中国最古の王宮の発見祭政殿の西側に焼成レンガの上にさらに40cmほど版築をした上に、列柱回廊を持つ大型の建物が発見されんた。内部には御簾を支えたとみなされる列柱も発見され、これが王宮であった可能性がきわめて高いことが判明した。4)大型の木柱をもった貯蔵庫の発見東門の背後から直径1m以上の木柱をもつ大型の建物跡が発見され、その周辺から大量のイネの籾殻のプラントオパールが集中して発見された。このことから、この大型の木造家屋はイネ籾の貯蔵庫であった可能性が指摘できる。5)城頭山遺跡の城壁が3重構造を持つことの発見、城頭山遺跡の修景保存のための発掘調査の結果、城頭山遺跡の城壁は3回にわたって築造が内側から外側へと城壁が拡大築造されていることが判明した。6)城頭山遺跡の住人が苗族であった城頭山遺跡から出土した木材片の分析の結果、大半がフウの木であることが判明し、城頭山遺跡の住人はフウの木を愛用し崇拝していた可能性が高いことが判明した。現在フウの木を崇拝し愛用しているのは少数民族の苗族であり、城頭山遺跡の住人が苗族である可能性が高いことが指摘された。7)長江文明と日本文明の関係の解明城頭山遺跡周辺では水陸未分化の稲が栽培され、畑作雑穀も栽培されていた城頭山遺跡から出土した大型種子の分析の結果、水田雑草の種子とともに大量の畑作雑草の種子が検出され、遺跡周辺での稲作は水陸未分化の稲であったことが指摘できる。これは縄文時代晩期の唐津市菜畑遺跡の分析結果とよく似ており、稲作の日本への伝播経路が長江下流域から直接東シナ海を渡って日本に伝播した可能性が高いことが明らかとなった。8)国際シンポジウムの開催平成13年11月に長江文明の興亡と環境変動についてて世界の古代文明の研究者を招聘して、国際シンポジウムを実施した。その結果4200年前の気候悪化が長江文明の崩壊に決定的な意味を持ったことが明らかとなった。9)研究成果の報告書の刊行英文1冊、中文2冊の研究成果の報告書を刊行した。英文の報告書は「Origins of Pottery and Agriculture」(Lusre Press Roli Book)384pp.中文の報告書は「神話・祭祀和長江文明」文物出版社200頁と「長江流域乃青銅器」科学出版社200頁である。さらに現在中文の報告書「城頭山遺跡」を編集中であり、平成14年12月までには刊行できる見通しである、予定頁数は1000頁を越える膨大な報告書が出る予定である。10)記者発表平成13年11月2日に記者発表を行い、研究成果の公開を行った。
著者
宇田津 徹朗 中村 敏夫 田崎 博之 外山 秀一
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

生産遺構土壌から安定的に検出されるイネを中心とした1年生イネ科植物に由来するプラント・オパールに含まれる炭素を利用して、生産遺構の年代決定を行う手法の構築に取り組んだ。その結果、年代の測定精度には検討の余地があるが、国内の生産遺構土壌については、土壌採取からプラント・オパール抽出、夾雑炭素除去、プラント・オパール中の炭素抽出、年代測定(AMS)までの各工程について、実用性や普及性を備えた条件や方法を決定でき、生産遺構の年代を測定する一連の手法を構築することができた。
著者
外山 秀一 中山 誠二
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.09, pp.13-22, 1992 (Released:2021-07-28)

In this paper we categorized the ages of macroscopic and microscopic rice remains, e. g., fruit, stems, pollen grains and plant opal; stone and wood artifacts used for rice cultivation; and paddy fields and other facilities related to production. Then the history of rice cultivation and the relationship of culture and rice, from the Latest Jomon to the Early Yayoi periods in Japan. Significantly plant opal analysis of pottery composition was found to be an effective method for dating the rice cultivation in prehistory.
著者
外山 秀一
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.407-421, 1985
被引用文献数
3
著者
中村 俊夫 宇田津 徹朗 田崎 博之 外山 秀一 杉山 真二 松田 隆二 Nakamura Toshio Udatsu Tetsuro Tazaki Hiroyuki Toyama Shuichi Sugiyama Shinji Matsuda Ryuji
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.24, pp.123-132, 2013-03

To measure 14C age directly on plant opal itself with accelerator mass spectrometry (AMS), we have extracted carbon contained in plant-opal samples separated from modern lining plants as well as ancient soil deposits at archeological sites, in particular, rice field remains. Carbon dioxide was separated and collected from plant-opal samples by using a radio-frequency furnace (HF-1O, Leco Corporation) which is used successfully to extract carbon in the metal iron. Carbon content of plant opal is not clearly known, and yields of CO2 from p1ant-opal samples were very low (<0.1%) in our experiment Nagoya University AMS 14C dating laboratory. We have conducted CO2 extraction for 15 samples, and we can get enough CO2 from only three samples to perform 14C dating even with AMS. The obtained 14C ages were a few thousand years older than expectations on the basis of archeological aspects. Even more, plant-opal samples extracted from modern living plants showed 14C ages as old as 3-6 ka BP. This implies that carbon in plant opal is not derived from carbon incorporated into the plants by photosynthesis. More studies are required to apply routinely 14C dating of plant-opal material.名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
中村 俊夫 宇田津 徹朗 田崎 博之 外山 秀一 杉山 真二 松田 隆二 Nakamura Toshio Udatsu Tetsuro Tazaki Hiroyuki Toyama Shuichi Sugiyama Shinji Matsuda Ryuji
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.24, pp.123-132, 2013-03

To measure 14C age directly on plant opal itself with accelerator mass spectrometry (AMS), we have extracted carbon contained in plant-opal samples separated from modern lining plants as well as ancient soil deposits at archeological sites, in particular, rice field remains. Carbon dioxide was separated and collected from plant-opal samples by using a radio-frequency furnace (HF-1O, Leco Corporation) which is used successfully to extract carbon in the metal iron. Carbon content of plant opal is not clearly known, and yields of CO2 from p1ant-opal samples were very low (<0.1%) in our experiment Nagoya University AMS 14C dating laboratory. We have conducted CO2 extraction for 15 samples, and we can get enough CO2 from only three samples to perform 14C dating even with AMS. The obtained 14C ages were a few thousand years older than expectations on the basis of archeological aspects. Even more, plant-opal samples extracted from modern living plants showed 14C ages as old as 3-6 ka BP. This implies that carbon in plant opal is not derived from carbon incorporated into the plants by photosynthesis. More studies are required to apply routinely 14C dating of plant-opal material.
著者
安田 喜憲 笠谷 和比古 平尾 良光 宇野 隆夫 竹村 恵二 福澤 仁之 林田 明 斉藤 めぐみ 山田 和芳 外山 秀一 松下 孝幸 藤木 利之 那須 浩郎 森 勇一 篠塚 良司 五反田 克也 赤山 容造 野嶋 洋子 宮塚 翔 LI Xun VOEUM Vuthy PHOEURN Chuch
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

年縞の解析による高精度の気候変動の復元によって、モンスーンアジアの稲作漁撈文明の興亡が、気候変動からいかなる影響を受けたかを解明した。とりわけメコン文明の一つであるカンボジアのクメール文明の興亡については、プンスナイ遺跡の発掘調査を実施し、水の祭壇をはじめ、数々の新事実の発見を行った。稲作漁撈文明は水の文明でありアンコールワットの文明崩壊にも、気候変動が大きな役割を果たしていたことを明らかにした。