著者
高梨 宏 岡沢 宏美 相原 史子 古賀 達郎 橋本 啓一 渡辺 朋子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.108-116, 2016-12-10 (Released:2017-02-21)
被引用文献数
1

本邦においては、国内未承認薬で代替品がなく、外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合等を想定し、医薬品の個人輸入が認められている。しかし、一般消費者がインターネット上の個人輸入代行サイトを介して、性機能改善薬(ED 治療薬)や抗肥満薬、点眼薬、抗アレルギー薬、 抗精神病薬などを購入している実態が報告されており、本来の枠組みから外れた医薬品の個人輸入が散見される。一般消費者が処方箋なしにネットを介し一般用医薬品以外の承認及び未承認医薬品を入手可能な現状に大きな問題がある。そこで、2017 年7 月31 日に「リスクが潜む医薬品の個人輸入:偽造医薬品だけにとどまらない危険性」をテーマとした社会薬学フォーラムを開催し、下記の演者による講演を行った。現在の医薬品個人輸入に係る制度のネット社会への適合性や、その監視体制のあり方を見直す機会となった。<企画委員会>
著者
相原 史子 蓑毛 翔吾
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.44-52, 2021 (Released:2021-11-05)
参考文献数
15

ラコサミド (lacosamide: LCM)は、電位依存性Naチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進することにより過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させる抗けいれん薬である。治療濃度域が確立されていないとされ、TDM(Therapeutic Drug Monitoring)の施行は一般的ではない。今回、LCM 300 mg/dayで投与中、てんかん発作による意識障害を主訴に救急搬送された61歳代男性の治療経過中に、発作性心房細動・徐脈頻脈症候群が出現し、病棟担当薬剤師が血漿中LCM濃度測定を提案、結果を薬物動態の特徴から解析・報告した症例を経験したので報告する。LCMは血漿中濃度上昇に伴い有害事象の発現頻度が増加することから、腎機能低下が認められる症例には、予測されるクリアランスの低下を基にした用量調節や、血漿中濃度測定結果を基にした評価が必要である。血漿中濃度の参考値として、臨床試験結果の活用が可能である。有効性と忍容性が確認できた個々のLCM血漿中濃度の把握は、薬物動態変化時の用量調節に有用と考えられることから、積極的なTDMの活用が望まれる。
著者
福原 史子
出版者
日本応用教育心理学会
雑誌
応用教育心理学研究 (ISSN:09108955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.49-65, 2022-08-31 (Released:2022-10-03)
参考文献数
21

幼児期に獲得される,社会情動的スキルの重要性が指摘されている。本研究では,このうち,粘り強さ,挑戦力,情緒安定,意思表現力の獲得に影響を与える要因を検討するため,幼稚園の保護者に質問紙調査を実施し,158 名の回答を精査・分析した。具体的には,幼児要因として年齢,性別,兄弟姉妹の人数,自宅で夢中になっていることの有無とその内容,保護者要因として待つ姿勢及び自己選択の尊重,園の教育への関心度,母親の育児関与の割合を検討した。その結果,保護者の待つ姿勢,特に「身支度の際」に待つという姿勢が,粘り強さ,挑戦力,情緒安定との間に有意な正の相関を示し,粘り強さ及び情緒安定に関しては順序ロジスティック回帰分析でも有意な正の影響を与えていた。また,「片付けの際」に待つ姿勢は挑戦力及び家族への意思表現力に,「何かに失敗した際」に待つ姿勢も家族への意思表現力に有意な正の影響を与えることが認められた。さらに,記述式回答からは,待つことが難しい具体的な状況も明らかとなった。これらの結果から,待つことの重要性を踏まえた保護者教育や支援の必要性が示唆された。
著者
上原 史子
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.157, pp.157_99-114, 2009-09-30 (Released:2011-11-30)
参考文献数
56

This article covers the development of the Austrian foreign policy shift from permanent neutrality to a strong European Engagement after World War II. After World War II, the Allies (USA, Soviet Union, Great Britain, and France) divided Austria into four zones. Neutrality was reached in long and difficult negotiations between the Austrian and the Soviet governments, granting Austrian independence on October, 26, 1955. Neutrality can be seen as the prize Austria had to pay for the withdrawal of Soviet troops from the Austrian territory after ten years of occupation. With neutrality, Austria declared not to join military alliances and would not allow military bases from foreign countries on its territory.From the beginning, Austria's neutrality has been accompanied by an active and independent foreign policy. Unlike Switzerland, Austria joined the United Nations and has played an active part on many UN commissions and committees, in addition to providing troops for several UN peacekeeping operations since 1960.Participation in the economic integration of Western Europe has hardly ever been seen by Austrian politicians to be in conflict with their country's neutrality, so in the 1960s, there were further discussions concerning membership of the European Community. But Austria's neutrality proved to be an obstacle when these discussions were abandoned in the face of strong opposition from the Soviet leadership, which at that time saw the EC as an extension of NATO.The free trade agreements concluded between Austria and the EC in 1972 were regarded as a sufficient basis for economic cooperation with the EC over the next 15 years. It was towards the end of the 1980's that the question of joining the EC was again raised by the Austrian government, with a view to participating in the EC's Single Market.While Austria prepared for membership, the question was to be answered if such a step would be compatible with the status of permanent neutrality being the core of the State Treaty (“Staatsvertrag”) from 1955.In 1988, the Soviet foreign minister, Shevardnadse, was strongly against the EC membership of neutral Austria, but in 1989 its tone was softened and Soviet Union recognized Austria's right to choose its own integration policy. On 17 July 1989, Austrian foreign minister, Mock, handed in Austria's application for EC membership in Brussels.In the aide-memoire from the Austrian government to the EC in 1990, the aim of accession was confirmed: Austria was in the heart of Europe and wished to assume all the rights and obligations of a Community member. Neutrality, it went on, was Austria's “specific contribution to the preservation of peace and security in Europe”. Thus Neutrality has been redefined in order to enable Austria to conduct a policy of European solidarity.
著者
戸塚 亮 鈴木 秀鷹 相原 史子 櫻井 うらら 松尾 和廣 寺岡 麻梨 原 俊輔 原田 尚重
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.532-536, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
10

メトホルミン関連乳酸アシドーシス(metformin-associated lactic acidosis, MALA)は広く知られているが,血漿中濃度測定と剖検の報告は少ない。今回,MALAを発症して死亡し,死亡前の血漿メトホルミン濃度が高値であった剖検例を経験したので報告する。症例は糖尿病でメトホルミン内服中の64歳,女性。嘔吐を主訴に救急搬送され,MALA,急性腎障害,肺炎の診断でICUに入室した。抗菌薬,人工呼吸器管理,腎代替療法を施行したが奏功せず死亡した。血漿メトホルミン濃度は51.9 mg/Lと高値であった。病理解剖で巣状融合性肺炎を認めたが,高度な乳酸アシドーシスの原因は指摘できず,MALAの診断に矛盾しなかった。 血漿中濃度測定,病理解剖ともに行った症例は稀少で, MALAの診断には血漿メトホルミン濃度と臨床像の蓄積が重要であり,特異的な病理所見の有無の確認のためには,さらなる研究が待たれる。
著者
小林 光代 佐藤 郁 佐藤 香織 米田 由紀子 根本 任子 阿部 由季乃 石坂 真理子 小笠原 史子 小田 杉子 海沼 聡子 工藤 稔昭 工藤 博子 黒澤 奈保江 齋藤 江里 髙杉 尚子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.172-175, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

本稿では,秋田県鹿角市立図書館で取り組んだLINEスタンプの活動について述べる。公共図書館でLINEスタンプを制作・発売したのは当館が初めてで,市内外から多くの注目を集めた。また,LINEスタンプの制作も外部に委託することなく,職員自ら行った。待つだけの図書館ではなく,積極的な活動や取り組みが話題になっている今日の図書館界であるが,当館は移転と指定管理者導入をきっかけに,新しい広報の手法を模索し,市民に親しまれる図書館を目指して当事業を進めてきた。本文は制作の裏側や運用などについて実務的なことも含め,LINEスタンプ制作にかけた想いをまとめたものである。
著者
三本松 政之 朝倉 美江 原 史子 大井 智香子 中尾 友紀 新田 さやか 福山 清蔵 永田 理香 門 美由紀
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本の外国人移住生活者への政策は総論的な検討に止まり具体的対応は基礎自治体に委ねられており、移住生活者の支援にはデニズンシップとしての実質化という視点が重要となる。韓国では人権をミッションとする市民団体が外国人労働者の労働環境改善、移住女性の生活改善策提案などのための政策担当局との折衝ルート等を活用し、政府への政策形成やデニズンシップの実質化に向けて一定の影響力をもっていることが見い出せた。
著者
福原 史子 奥山 清子 蜂谷 里香 岡本 純子
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

コスミック教育は、あらゆる事物は宇宙の一部で、一つの全体的調和を形成するよう相互に結びついていることを発達段階に応じて学習、認識するよう促す教育である。まず、研究の第一人者C.M.トルードゥーの業績研究をもとに、今日的意義をキャリア教育やESDと関連づけて検討した。加えて、幼稚園における2年間の実践研究から、命の誕生や持続のために必要な要素を感じ、興味・関心をもち、コミュニケーションを図りながら協同して学び合えるコスミック教育の実践方法を導きだした。
著者
榊原 史子
出版者
大阪歴史学会
雑誌
ヒストリア (ISSN:04392787)
巻号頁・発行日
no.176, pp.31-48, 2001-09