著者
野田 敏宏 新敷 祐士 安西 恵子 川崎 啓子 栗原 智仁 高市 和之 髙野 紀子 中村 峰夫 西野 健三 山田 和也 平井 みどり 田崎 嘉一 松原 和夫 吉山 友二 井関 健
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.93-98, 2013 (Released:2013-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

要 旨目的 : 本研究ではサプリメント類の利用に関して来局患者および薬剤師両者の意識および実態を明らかにすることにより, サプリメント類利用における薬剤師の関わり方を検討した. 方法 : 東京都・北海道内の14保険薬局にて来局患者1,253人を対象に, サプリメント類に関するアンケート調査を来局時に実施した. また, 薬剤師289人に対してサプリメント類に関する意識および情報収集の実態について, 保険薬局および北海道薬学大会 (2011年・札幌) においてアンケート調査を実施した. 結果 : 来局患者からの回答数1,253人のうち, 約50%は薬剤師にサプリメント類の安全性や効果についての情報提供を望んでいるものの, 実際には薬剤師が来局患者の疑問に答えている例は7.3%にしかすぎないことが明らかとなった.  一方で, 回答を得られた薬剤師289人のうち67.5%の薬剤師は自身がサプリメント類の情報提供者として来局患者に期待されていると認識しているものの, サプリメント類の情報収集に積極的に取り組んでいる薬剤師は約30%であり, さらにその情報内容もインターネット上の情報に頼っていることが示された. 結論 : サプリメント類の説明に対する患者の期待と薬剤師による説明の実態には, 大きな隔たりがあることが分かった. 来局患者の期待に応えるためにも, 薬剤師はサプリメント類に対し科学的根拠に基づく理解を深め, 医薬品との関連を含めた統合管理の必要性が求められる.
著者
原 智仁 寺田 和憲
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-164, no.1, pp.1-7, 2015-07-24

不正防止や犯罪防止のためのシステムが求められている.防犯カメラなどは名の通り犯罪を未然に防ぐためにあるが,実際の効果は薄く,現段階では主に犯罪事後の証拠資料の提供にとどまっていると言わざるをえない.先行研究では目の存在が人の道徳性向上を向上させ,不正防止に効果があることがわかっている.本研究ではこの心理効果を利用し,防犯カメラの代わりとなる眼球ロボットの開発を行った.眼球型のロボットの前では,防犯カメラよりも自己利益追求が抑止されるという仮説を,ロボットに見られないように現金を盗むタスクを用いた参加者実験によって検証した.実験の結果,現金取得本数には有意な差は確認されなかったが,人のロボットから感じる感情に有意な差が見られ,眼球型のロボットはカメラ型のロボットよりも被視感による緊張や恐れの感情をより感じることがわかった.
著者
吉原 智仁 森本 忠嗣 塚本 正紹 園畑 素樹 馬渡 正明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.845-848, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
15

比較的稀な脊髄硬膜外血腫の3例を経験した.症例は,男性1例,女性2例,年齢は49歳,71歳,73歳である.発症時の症状はいずれも突然の背部痛であり,2例はその後麻痺を認めた.既往歴は高血圧2例,Hippel Lindau病1例であった.抗凝固薬内服例はなかったが,1例は片麻痺を呈していたため脳梗塞と判断され,t-PA治療がなされていた.血腫部位は頸椎部1例,頸胸椎部2例であった.背部痛のみで麻痺を認めなかった1例は保存治療を行い,不変・増悪の2例(t-PA治療例含む)は手術を行い,2例ともに改良Frankel分類でC1からEへと改善した.麻痺を呈さない症例については保存治療,麻痺の程度が不変・増悪例については手術治療が有効であった.また脊髄硬膜外血腫は片麻痺で発症する場合もあり,脳梗塞と誤診されt-PA治療により血腫増大,麻痺増悪を来たした報告も散見され,注意を要する疾患である.
著者
吉原 智仁 森本 忠嗣 釘崎 創 塚本 正紹 園畑 素樹 馬渡 正明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.319-321, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
8

腰椎疾患を治療する場合に股関節疾患が潜在している症例も少なくない.腰椎単純X線に股関節を含めることは見逃しを予防できる利点がある.今回佐賀県整形外科標榜医療施設110施設における腰椎レントゲンの撮影方法についての実態を調査した.腰椎レントゲンフィルムの大きさ,股関節を含めているか,脊椎外科専門医勤務歴があるかを調査し,脊椎外科専門医勤務歴の有無で腰椎単純X線正面像に股関節を含めている割合を検討した.腰椎単純X線フィルムの大きさは半切12%,大角21%,B4 17%,大四切19%,四切31%であった.股関節を含めていた施設は25%であった.脊椎外科専門医の勤務歴は25%であり,脊椎外科専門医勤務歴ありの施設では46%,勤務歴なしの施設では18%で股関節を含めていた.股関節疾患の症状と神経根性疼痛が類似していることより,誤診を予防するためには腰椎レントゲン正面像に股関節を含めることが推奨される.
著者
角田 憲治 浅見 昭彦 石井 英樹 吉原 智仁 田中 博史 重松 正森
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.69-71, 2011-03-25 (Released:2011-06-02)
参考文献数
9

過去5年間に当科で治療を行った特発性後骨間神経麻痺9例(男性4例,女性5例,平均年齢62.1歳,平均経過観察期間11.7か月)の治療成績を報告する.3例は保存的治療で軽快し,手術的治療を行ったのは6例であった.3例に対し神経線維束間剥離のみを行い,残りの3例は神経線維束間剥離に加え,一期的に腱移行術を行った.神経線維束間剥離のみを行った3例はいずれも発症から約10か月で手術が行われ,全例MMT4以上に改善を認めた.一期的に腱移行を行った3例のうち,2例はMMT4以上に改善したが,糖尿病,頚髄症を合併した1例は回復が悪かった.麻痺に先行する疼痛を伴った症例は33%であった.後骨間神経の所見でくびれを認めた症例はなかったが,神経の色調の変化を3例に認めた.発症後約10か月の経過観察が妥当であるが,合併症がある症例や高齢など回復が期待できない場合は一期的な再建も考慮してよいと思われた.