著者
古川 邦之 谷 健一郎 金丸 龍夫 星 博幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.325-340, 2023-04-14 (Released:2023-04-14)
参考文献数
47
被引用文献数
1

中部地方の下部中新統である,師崎層群日間賀層および山海層下部と瑞浪層群明世層狭間部層における軽石質凝灰岩の対比について検討した.日間賀層および山海層下部の試料からはそれぞれ,狭間部層の年代と調和的な17.87±0.75 Maおよび17.36±0.40 MaのジルコンU-Pb年代が得られた.また日間賀層の古地磁気は山海層下部や狭間部層と同じく逆極性であった.つまりこれら3層はいずれも古地磁気年代のクロンC5Drに相当すると結論できる.EPMA分析から,山海層下部と狭間部層の試料に含まれる火山ガラスは組成変化図において一連のトレンドを示し,3層に含まれる斜長石組成は類似していた.つまりこれら3層の火山砕屑物は同一のマグマ供給系を起源とすると考えられる.以上の結果と古水深から,本研究対象の師崎層群の軽石質凝灰岩は,狭間部層の火山砕屑物が海底を流下して堆積したと考えられる.
著者
中串 孝志 古川 邦之 山本 博基 大西 将徳 飯澤 功 酒井 敏
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.107-112, 2007-06-20 (Released:2007-06-20)
参考文献数
3

Planetary aerosol laboratory experiments for science education were carried out in a curriculum of Kyoto University. Our goal is to reproduce “the blue sunset” on Mars which are reported from NASA's Mars Pathfinder. In reproducing the rays scattered by Martian atmosphere (dust storm) in a laboratory, the number density of scattering particles has to be as large as possible. Three experiments were conducted in the air and water. Although we were not able to reproduce Martian blue sunset, we elucidated its spectrum. Converting this spectrum to a color in the RGB system, we obtained R = 114, G = 122, B = 192. Though the experiment, we proved that planetary aerosol laboratory experiments are significantly fruitful for science education as well as for science studies. We propose that researchers and lecturers should make active use of planetary aerosol laboratory experiments for science education.
著者
中串 孝志 古川 邦之 山本 博基 大西 将徳 飯澤 功 酒井 敏
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 = Journal of aerosol research (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.107-112, 2007-06-20

Planetary aerosol laboratory experiments for science education were carried out in a curriculum of Kyoto University. Our goal is to reproduce "the blue sunset" on Mars which are reported from NASA's Mars Pathfinder. In reproducing the rays scattered by Martian atmosphere (dust storm) in a laboratory, the number density of scattering particles has to be as large as possible. Three experiments were conducted in the air and water. Although we were not able to reproduce Martian blue sunset, we elucidated its spectrum. Converting this spectrum to a color in the RGB system, we obtained R = 114, G = 122, B = 192. Though the experiment, we proved that planetary aerosol laboratory experiments are significantly fruitful for science education as well as for science studies. We propose that researchers and lecturers should make active use of planetary aerosol laboratory experiments for science education.
著者
古川 邦之 渡部 里々花 伊藤 季紗 小谷 沙織
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

マグマは冷却に伴い結晶化が進行する。形成される結晶の数やサイズ、形態は主に過冷却度に支配されている。天然の火成岩は様々な冷却履歴を経て形成されるので、結晶の産状は多様である。深成岩と火山岩の結晶組織の違いについては高等学校までに学習するが、実際の野外調査や顕微鏡観察では、さらに複雑な組織に出会うことになる。そのため、大学で地質学や岩石学を学ぶ学生は、より詳細な結晶形成過程を理解する必要がある。そこで私たちは、マグマ中における結晶化プロセスを直感的に理解できる簡単な実験を提案する。 実験には、甘味料であるエリスリトール(C4H10O4)を使用する。エリスリトールはカロリーゼロなので、ダイエット目的でよく使用される。エリスリトールの融点は121℃であるため、カセットコンロや家庭用ホットプレートなどで簡単に溶かすことができる。また液状のエリスリトールは比較的粘性が低いため、小さな過冷却度(高温)でも結晶が形成される。これは粘性の高い砂糖とは異なる点である。ガラス容器内で溶かしたエリスリトールを、様々な速度で冷却することで、多様な結晶の産状を作ることができる。容器やエリスリトールの量は任意で良いが、私たちは直径90mmのガラスシャーレに25gのエリスリトールを溶融させた。多様な冷却速度については、徐冷用ガラスマットやタオル、氷などを用いることで作り出した。その結果、過冷却度の上昇と共に、形成される結晶形態は自形、樹枝状、球晶と変化し、また結晶サイズは小さくなる傾向があった。球晶については大きな冷却速度が必要で、ガラスシャーレだと急冷により破損することが多い。そのため、スライドガラス上において、エリスリトールのメルトをカバーガラスで封入して冷却する方法の方が、表面積が大きくなり冷却速度が上がるので、容易に作ることができる。これらの結晶組織の特徴は、火成岩で観察されるものと類似している。特に、過冷却度が大きくなりやすい珪長質火山岩とはよく類似している。 また、赤外線放射温度計を用いて冷却中のメルト温度を測定することもできる。例えば、冷却速度の簡単な定量化もでき、今回の場合は冷却速度が概ね12℃/minを境に自形と樹枝状が変化し、40℃/minで樹枝状と球晶の変化が観察された。さらに、結晶化が進行すると潜熱の放出によりメルト温度が上昇に転じることも測定できる。結晶化に伴う昇温は、溶岩やマグマ溜まりのレオロジーにも重要であると考えられている。さらに顕微鏡により、リアルタイムで結晶成長を観察することもできる。 以上の実験を、地質学および岩石学などの実習教育に取り入れることで、結晶成長の直感的な理解が可能になると考えられる。結晶成長を理解した上で、野外や顕微鏡下での観察にのぞめば、それらの産状から冷却過程に関する制約を与えることでき、地質現象の正確な解釈に繋がると考えられる。
著者
古川 邦之 伊藤 季紗 小谷 沙織
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本講演は著者都合により発表キャンセルとなりました.キャンセルされた講演要旨は引用できません.ご注意ください.
著者
新正 裕尚 古川 邦之 折橋 裕二 外西 奈津美 和田 穣隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.533-538, 2018-07-15 (Released:2018-08-18)
参考文献数
13
被引用文献数
6

岐阜県南部に分布する可児層群の最下部を占める蜂屋層は第一瀬戸内累層群東部で最も古い地層であり,主に非海成の火砕岩類からなる.蜂屋層最下部の栃洞溶結凝灰岩部層の溶結凝灰岩から分離したジルコンのレーザーアブレーションICP-MSによるU-Pb年代測定を行ったところ,238U-206Pb年代の加重平均として22.38±0.17Ma(2σ)が得られた.この年代は蜂屋層の堆積開始時期を拘束する.分析を行った溶結凝灰岩試料の蛍光X線分析による全岩主成分・微量元素組成を併せて報告する.