著者
折橋 裕二 新正 裕尚 ナランホ ホセ 元木 昭寿 安間 了
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.157, 2010

南米大陸西縁に発達するチリ・トレンチには約15Ma以降,断続的にチリ中央海嶺が沈み込んでおり,現在,タイタオ半島沖の南緯46°付近にはT-T-R三重点を形成している.したがって, SVZの最南端のハドソン火山からアンデス弧沿いの南緯34°まで発達するSVZ火山列の化学組成の側方変化を把握することで,定常的な沈み込み帯から中央海嶺沈み込みの開始に至るマントルウェッジ内の温度構造,スラブから脱水作用とマントルウェッジ内に循環するH2Oの変化を把握することができる.本講演ではSVZ全域の第四紀火山から採取した玄武岩質岩について,主・微量成分(ホウ素濃度を含む)を測定し,この結果から最南端のハドソン火山から最北端のサンホセ火山(南緯34°)に至るSVZ火山の化学組成の側方変化を 議論する.
著者
高嶋 礼詩 和田 穣隆 星 博幸 新正 裕尚 工藤 崇 西 弘嗣
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 第125年学術大会(2018札幌-つくば) (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
pp.162, 2018 (Released:2019-08-16)

【災害のためプログラム中止】 平成30年北海道胆振東部地震により学術大会のプログラムが大幅に中止となりました.中止となったプログラムの講演要旨については,著者のプライオリティ保護の見地からJ-STAGEに公開し,引用可能とします.ただし,学術大会においては専門家による議論には供されていませんので「災害のためプログラム中止」との文言を付記します.(日本地質学会行事委員会)
著者
山下 透 檀原 徹 岩野 英樹 星 博幸 川上 裕 角井 朝昭 新正 裕尚 和田 穣隆
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 = THE JOURNAL OF THE GEOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.7, pp.340-352, 2007-07-15
参考文献数
49
被引用文献数
10 7

紀伊半島北部に分布する室生火砕流堆積物とその周辺の凝灰岩(石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩)および外帯中新世珪長質岩類について,屈折率を用いた軽鉱物組合せモード分析を行った.その結果,紀伊半島北部の中期中新世珪長質火砕流堆積物の斜長石系列は,すべてオリゴクレース~ラブラドライトで特徴付けられることから,これら4者は対比された.加えて室生火砕流堆積物は外帯に分布する熊野酸性岩類の流紋岩質凝灰岩の一部と対比できた.これらのことから,室生火砕流堆積物と石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩は15 Maの熊野地域のカルデラを給源とする同一の大規模火砕流堆積物であると推定される.また熊野酸性岩類の中のアルバイトで特徴付けられる流紋岩質凝灰岩は,同じ軽鉱物組合せをもつ中奥弧状岩脈を給源とする可能性がある.<br>
著者
新正 裕尚 齊藤 哲
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.571-584, 2017-08-15 (Released:2017-09-05)
参考文献数
55
被引用文献数
3

瀬戸内火山岩類は九州東部の大野地域から愛知県東部の設楽地域にかけて,中央構造線沿いにおよそ600 kmにわたり分布する.瀬戸内火山岩類を特徴付ける岩石種のひとつである高Mg安山岩は大野地域から紀伊半島中部の範囲で見られ,松山周辺では高縄半島から防予諸島にかけて広く分布する.本巡検対象の松山周辺では,安山岩類の多くは小規模な岩頸あるいは岩脈として産するため,貫入様式の観察には好適である.さらに瀬戸内火山岩類にはピッチストーンなどを含む珪長質火山岩類も広くみられる.この珪長質火山岩類は,松山周辺では砕屑岩および火砕岩からなる高浜層群,興居島層群中に含まれる.分布は極めて狭いが多様な岩相をもつこれらの地層群についても興居島南東海岸の露頭で観察を行う.
著者
新正 裕尚 古川 邦之 折橋 裕二 外西 奈津美 和田 穣隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.533-538, 2018-07-15 (Released:2018-08-18)
参考文献数
13
被引用文献数
6

岐阜県南部に分布する可児層群の最下部を占める蜂屋層は第一瀬戸内累層群東部で最も古い地層であり,主に非海成の火砕岩類からなる.蜂屋層最下部の栃洞溶結凝灰岩部層の溶結凝灰岩から分離したジルコンのレーザーアブレーションICP-MSによるU-Pb年代測定を行ったところ,238U-206Pb年代の加重平均として22.38±0.17Ma(2σ)が得られた.この年代は蜂屋層の堆積開始時期を拘束する.分析を行った溶結凝灰岩試料の蛍光X線分析による全岩主成分・微量元素組成を併せて報告する.
著者
山下 透 檀原 徹 岩野 英樹 星 博幸 川上 裕 角井 朝昭 新正 裕尚 和田 穣隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.7, pp.340-352, 2007 (Released:2008-03-29)
参考文献数
50
被引用文献数
1 7

紀伊半島北部に分布する室生火砕流堆積物とその周辺の凝灰岩(石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩)および外帯中新世珪長質岩類について,屈折率を用いた軽鉱物組合せモード分析を行った.その結果,紀伊半島北部の中期中新世珪長質火砕流堆積物の斜長石系列は,すべてオリゴクレース~ラブラドライトで特徴付けられることから,これら4者は対比された.加えて室生火砕流堆積物は外帯に分布する熊野酸性岩類の流紋岩質凝灰岩の一部と対比できた.これらのことから,室生火砕流堆積物と石仏凝灰岩,古寺凝灰岩,玉手山凝灰岩は15 Maの熊野地域のカルデラを給源とする同一の大規模火砕流堆積物であると推定される.また熊野酸性岩類の中のアルバイトで特徴付けられる流紋岩質凝灰岩は,同じ軽鉱物組合せをもつ中奥弧状岩脈を給源とする可能性がある.
著者
新正 裕尚 折橋 裕二 安田 敦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

スラブ融解メルトとマントルかんらん岩の反応について理解を深めることを目的として,スラブ融解に関連すると考えられる高温の沈み込みがあった場所の火成岩の研究と,高温高圧実験による研究を行なった.そして以下のような成果があった.(1)マントル最上部に相当する1GPaの条件下でカンラン石とデイサイト質メルトとの反応実験を行なった.そして実験生成物の微量元素組成をレーザーアブレーションICP質量分析計(L、A・ICP・MS)を用いて測定した.50μm径を超える斜方輝石および単斜輝石を成長させることに成功し,斜方輝石および単斜輝石とデイサイト質メルト間の分配係数をおよそ25元素について決定した.斜方輝石については,軽希土類をはじめとする液相濃集元素の珪長質メルトに対する分配係数が苦鉄質メルトより大きいという従来指摘されていた組成依存性に反して,苦鉄質メルトと差がない分配係数を得た.(2)高温の四国海盆の沈み込みに関連した,西南日本弧の海溝寄り地域の中新世火成岩について研究を行なった.ザクロ石が安定な高圧下での融解により形成された珪長質火成岩が広域的に分布することを見出すとともに,海溝に近接した場所での大量のS-type花こう岩質マグマの成因について議論した.(3)南米アンデス弧の中でも,Chile Riseの沈み込む場所に近接する,Southern Volcanic Zoneの第四紀フロント火山の全岩化学組成の島弧伸長方向の変化傾向について研究を行い,火山弧下のスラブ年齢が古くなるにつれて,沈み込む堆積物由来成分のマグマソースへの寄与が大きくなることを明らかにした.(4)ジルコンをはじめとする鉱物のレーザーアブレーションICP質量分析法による微小領域分析について鉱物間の分配係数の決定や年代測定法について成果があった.
著者
新正 裕尚 和田 穣隆 折橋 裕二 角井 朝昭 中井 俊一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.689-696, 2003-12-15
被引用文献数
6 10

奈良県吉野町樫尾の吉野川に沿って分布する玄武岩・流紋岩複合岩脈から約1m径の花こう岩質包有物を見出した.この包有物の起源を探るため全岩化学分析とレーザーアブレーションICP質量分析法によるジルコンのU-Pb年代測定を行った.その結果全岩化学組成は外帯花こう岩類の一員である大峯花こう岩質岩と類似すること,最も若い年代を示すジルコン群がら求めた花こう岩質岩の固結年代は13.2±1.0Maであることが判った.これらから中央構造線南方に中新世の花こう岩質岩の潜頭岩体が存在すると推定される.