著者
宮尾 克
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

広島の極低線量被爆者でも、広島・岡山両県の一般住民に比較して有意に高い各種のがん死亡が存在したことをLSS12に基づき、明らかにした。放射線影響研究所の研究者らが、遠距離被爆者のリスクを低く推定してしまった誤りの原因を明らかにした。被爆時の年齢が0歳から14歳の広島と長崎の被曝者を、全国の同世代の小児と比較した、がん死亡に関する追跡疫学研究を行なった。その結果、有意に高いがん死亡が認められた。
著者
石垣 尚男 宮尾 克
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-182, 1994-05-20

装置: 左右に動く対象を識別する能力であるDynamic Visual Acuity(DVA・動体視力)の測定装置を新たに開発し,この装置で5才から92才までの826名の動体視力の加齢影響と性差を調べた.新たに開発した装置は,90°の白色円形スクリーン上をランドルト環が左から右に水平に動くものである.被検者とスクリーンの距離は1.2mである.ランドルト環の切れ目の幅は視角40'であり,視力値で0.025に相当する.ランドルト環は初速210°/sで動き,4.8°/sで自動的に減速する.被検者は顎台に顎をのせ,眼球運動のみでランドルト環を追跡し方向を識別する.被検者は切れ目の方向(上下左右)が識別できたら,直ちに方向を応答する.正しい応答の場合,検者はストップボタンを押す.識別できたときの速度がデジタルで表示される.動体視力のパラメータは,識別できた速度である.測定はこれを5回繰り返し,平均値を用いた.結果: 動体視力は男女とも5才から15才の間に急速に発達していた.とくに,5才から10才の間の発達が顕著であった.この測定では動体視力のピークは男女とも15才であった.20才以降,動体視力は加齢とともにほぼ一定比で低下していた.調査したほとんどの年齢で男性の動体視力が優れていたが,有意差があったのは5才児のみであった.生得的に男性は女性より動体視力が優れているのではないかと推測した.この調査により,動体視力は身体の発育期に発達し,成熟後は加齢とともに低下することが明らかとなった.この結果は動体視力(DVA)の加齢影響は静止視力(SVA)のそれとは全く異なるものであることを示した.
著者
塩見 友樹 堀 弘樹 上本 啓太 杉山 阿聖 宮尾 克
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.17-20, 2011-03-08
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,立体映像技術において,よく問題視されるのは立体視による疲労や立体酔い等の悪影響である.その原因に水晶体調節反応と輻輳運動の乖離がよく挙げられるが,我々は先行研究で,乖離は確認されないと述べてきた.しかし同時に計測できず,その立証が不十分であった.今回我々は調節と輻輳を同時計測する方法を開発し,実物体を見ている際の計測により計測方法の妥当性について,2D,3D映像注視時では乖離について検討した.その結果,実物体における計測では調節,輻輳ともに焦点距離は良く実物体までの距離と一致しており,この計測方法で正確に計測できることが分かった.また2D,3D映像注視時の計測では乖離が起きていないことが分かった.
著者
吉川 一輝 大橋 拓実 小嶌 健仁 本多 悠真 石尾 広武 高田 真澄 大森 正子 宮尾 克
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.12-18, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
22

Objectives: Recent advances in three-dimensional (3D) display technology have contributed significantly to society, particularly in the increasing use of stereoscopic characters. For example, 3D text information is utilized in digital signage. However, research on 3D characters is limited and discussion on the safety and comfort of 3D technology is lacking. According to the 3D Consortium Safety Guidelines in Japan, a comfortable visual parallax with 3D images is less than ±1.0°. However, 3D text must be shown in front of its associated content in order for it to be displayed simultaneously with that content. Methods: We carried out an experiments to verify the permissive limits of cognition in subjects regarding the parallax of 3D images. In the experiment, 94 subjects aged 18 to 81 viewed a 3D flat Maltess cross image having no depth and projected outward from a screen at a large parallax of 1.0° to 6.0°. Results: Eighty-six percent of the subjects recognized the 3D flat image even when it protruded at a 2.0° parallax. These subjects viewed the image comfortably and without visual problems. Conclusions: This study concludes that people can cognitively recognize a 3D telop at a 2.0° parallax without feeling fatigued.
著者
山中 克己 明石 都美 宮尾 克 石原 伸哉
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.99-105, 1999-02-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1

An Investigation by questionnaire was conducted in 1996 to know the tuberculosis (TB) status and living conditions of 50 homeless people registered as TB patients at one of Nagoya city's 16 health centers.1. All patients had one or more symptoms of TB, 64% of them showed positive TB bacilli on smear, and 35.3% of them had a previous history of TB treatment. However, only 15.2% suspected they had TB at the onset of symptoms.2. Main reasons of seeking medical treatment: 28.6% arrived by ambulance after falling down from exhaustion, 25.7% had consulted with welfare agencies after the onset of symptoms, and 20.0% had been diagnosed during the treatment of other diseases.3. When they were admitted to the hospital they had many concerns 29.0% loss of income, 19.4% living expenses, 19.4% smoking prohibition, 12.9% admission fee, and 9.7% privacy.4. They lived in the following: 42.9% construction camps, 20.0% parks or streets, 17.1% single room occupancy hotels, 17.1% daily or monthly paid apartments, and 11.4% sauna baths.5. Past medical histories of the subjects included 40.6% injuries by labor accidents, and 25.0% stomach ulcers. Current diseases were 15.6% mental diseases, 15.6% liver diseases, 15.6% diabetes mellitus, and 9.4% alcoholic dependance. Seventy percent of them consumed alcohol daily (average pure ethanol 125m1 per day).6. From the results outlined above, the following proposals relating to TB control of the homeless should be considered.1) Educating the homeless as to the need for a health check when TB symptoms are present.2) Opening a clinic for the homeless for easy access to consultation on TB.3) Directly observed therapy, short-course, for TB in the homeless.4) Health examination of the employees of single-room occupancy hotels and sauna baths which are used frequently by the homeless.5) A fundamental countermeasure to deal with alcoholic dependancy among the homeless.
著者
斎藤 真 大西 範和 加藤 象二郎 宮尾 克 長江 拓子 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.10-16, 2007-04-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

本研究は,作業負担の少ないノートパソコンの設計要件確立を目的に適切なディスプレイの高さについて作業姿勢と筋電図から検討したものである.ディスプレイは10.4インチ液晶,高さは床から800,900,1,000mmの3条件,作業は入力およびゲームの2条件とした.10人の被験者に対し,視距離,視線角度,頭部角度,頸部角度および右三角筋,右僧帽筋の筋電図が計測された.視距離は,ディスプレイが高くなると短くなった.視線角度は,ディスプレイ高に関係した.頭部角度は,高さと作業内容に依存した.筋活動は,頸部僧帽筋において入力作業で大きく,ディスプレイが低い場合も大きかった.以上よりディスプレイは本体と分離し,高さは1,000mmを基準として各自の身体特性に合わせて調整することを推奨する.
著者
高柳 泰世 宮尾 克 石原 伸哉
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement, pp.296-297, 2005-06-11 (Released:2010-03-15)

1933年に公布の船舶職員法では小型船舶操縦士の弁色力は安易に先天色覚異常の検査によって評価された。しかし先進諸外国ではこの様な規制はないことおよび、先天色覚異常者であっても小型船舶操縦に必要な色識別が可能なものがいると考えられるため、現場に必要な色識別テストを考案した結果、眼科的検査は止め、夜間灯色識別テスト器により判定され、眼科的検査により不可とされた人たちの人権が守られる時代に入った。
著者
石垣 尚男 宮尾 克
出版者
社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-182,A44, 1994 (Released:2009-03-26)
参考文献数
5
著者
高田 宗樹 宮尾 克 大森 正子 渡辺 智之 蛭田 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.653, pp.25-32, 2002-02-15
被引用文献数
4

ジェットコースター乗車時の3次元動画映像を立位姿勢の健常な被験者に対して、音響の有無などいくつかの条件のもとに与え、重心動揺検査を同時に行った。本論では2次元重心動揺時系列を用い、音響付き立体画像の複合現実感に関する評価を行う方法論を提示する。この画像を知覚情報として持つ被験者の動揺図にはカスプ型運動成分の増加が認められたため、加速度ベクトルを解析に用いた。このベクトルの大きさがある閾値より大きい部分列を構成することにより、この運動成分を抽出することができる。この運動パターンの出現頻度が高い時間における被験者の視覚情報となった画像のコマを対応させて、与えた3次元立体画像のリアリティーについて評価を行った。
著者
宮尾 克
出版者
中央労働災害防止協会
雑誌
安全衛生のひろば
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.9-21, 2005 (Released:2007-09-04)