著者
山野 善正 仲原 貴生 三木 英三 合谷 祥一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1033-1037, 1991-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

包丁と超音波カッターで切断した測定試料について,切断方法の違いによる試料への影響を,クリープメーターを用いて粘弾性を測定し,写真機及び電子顕微鏡により観察したところ,次の結果が得られた.(1) カステラ,チーズでは,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより,瞬間弾性,遅延弾性,遅延粘性,定常粘性に差が認められた.特にカステラでは,その差が大きく,スポンジ状食品では,超音波カッターは非常に有用であると考えられる.(2) かまぼこでは,超音波カッターと包丁での切断方法の違いによる,明確な差は認められなかった.(3) カステラ,キュウリの切断表面の電子顕微鏡観察では,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより表面の凹凸に差が認められた.しかし,チーズ及びかまぼこでは,切断方法の違いによる,表面の凹凸の差は認められなかった.
著者
佐藤 恵美子 三木 英三 合谷 祥一 山野 善正
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.737-747, 1995-10-15
参考文献数
29
被引用文献数
5 6

「煮つめ法」,「滴下法」を用いて調製した胡麻豆腐の調製時における攪拌速度と加熱時間の影響について,テクスチャー測定,クリープ測定,走査型電子顕微鏡による構造観察を行って検討したところ,次のような結果が得られた.<BR>(1) 「煮つめ法」により調製した胡麻豆腐のクリープ曲線は四要素モデル(E<SUB>0</SUB>, E<SUB>1</SUB>, η<SUB>N</SUB>, η<SUB>1</SUB>)として解析可能であった.硬さおよび瞬間弾性率,フォークト体弾性率(E<SUB>0</SUB>, E<SUB>1</SUB>)は,どの攪拌速度においても加熱25分(谷の部分)で最も軟らかくなり,その後加熱時間の増加とともに硬くなった.また,その加熱25分の調製条件が構造的にも均一な蜂の巣状構造を形成した.<BR>「滴下法」によるテクスチャーと加熱時間における一次式の傾きは,加熱45分までの時間依存性を示すもので,攪拌速度が高くなる程,大きくなり,付着性には攪拌速度による依存性が認められた.ニュートン体粘性率,フォークト体粘性率(η<SUB>N</SUB>, η<SUB>1</SUB>)は加熱時間にともなう変化がテクスチャーの付着性と類似していた.<BR>(2) 走査型顕微鏡観察の結果,加熱15分では不均一な部分があり,加熱25分で均一な空胞が形成され蜂の巣状を示した.さらに加熱攪拌を続けると蜂の巣状構造は崩壊し始めた,250rpm 25minの試料が空胞の形成がよく,最も均一な蜂の巣状の空胞の集合体が観察された.<BR>(3) 胡麻豆腐は葛澱粉を主体とするゲルであり,胡麻の蛋白質と脂質が関与している相分離モデルであると推察される.
著者
合谷 祥一 村上 敦 佐藤 桂子 稲積 佐代子 山野 善正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.679-684, 2000-09-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
11

疎水基であるトリテルペノイド基にカルボキシル基が結合したムクロジサポニン(SS)の界面活性,乳化性,クリーミング安定性およびゼータ電位に対するpHの影響を調べ,特にクリーミング安定性とゼータ電位についてSoyasaponin I (SI)によるエマルションと比較した.(1) 界面生成直後の界面張力は,pH 7以下でほぼ一定であり,pH 8以上で大きく増大し,pH 9で一定になった.界面生成3時間後では,pH 5以下で,界面に不溶性の膜が観察された.(2) SSはpH 6未満でそれ以上よりも低い乳化性を示した.(3) SSのエマルションのクリーミング安定性はpH 6以下で低くなり,乳化性と一致した傾向を示した.pH 7以上では,SIよりも平均粒径が低いにも関わらず,高い水相分離率を示した.(4) ゼータ電位は,pH 6から8にかけて増大し,pH 8.5以上でほぼ一定になった.また,どのpHにおいてもSIエマルションのゼータ電位よりも低い値を示した.
著者
佐藤 恵美子 三木 英三 合谷 祥一 山野 善正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.737-747, 1995-10-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
28
被引用文献数
8 6

「煮つめ法」,「滴下法」を用いて調製した胡麻豆腐の調製時における攪拌速度と加熱時間の影響について,テクスチャー測定,クリープ測定,走査型電子顕微鏡による構造観察を行って検討したところ,次のような結果が得られた.(1) 「煮つめ法」により調製した胡麻豆腐のクリープ曲線は四要素モデル(E0, E1, ηN, η1)として解析可能であった.硬さおよび瞬間弾性率,フォークト体弾性率(E0, E1)は,どの攪拌速度においても加熱25分(谷の部分)で最も軟らかくなり,その後加熱時間の増加とともに硬くなった.また,その加熱25分の調製条件が構造的にも均一な蜂の巣状構造を形成した.「滴下法」によるテクスチャーと加熱時間における一次式の傾きは,加熱45分までの時間依存性を示すもので,攪拌速度が高くなる程,大きくなり,付着性には攪拌速度による依存性が認められた.ニュートン体粘性率,フォークト体粘性率(ηN, η1)は加熱時間にともなう変化がテクスチャーの付着性と類似していた.(2) 走査型顕微鏡観察の結果,加熱15分では不均一な部分があり,加熱25分で均一な空胞が形成され蜂の巣状を示した.さらに加熱攪拌を続けると蜂の巣状構造は崩壊し始めた,250rpm 25minの試料が空胞の形成がよく,最も均一な蜂の巣状の空胞の集合体が観察された.(3) 胡麻豆腐は葛澱粉を主体とするゲルであり,胡麻の蛋白質と脂質が関与している相分離モデルであると推察される.
著者
合谷 祥一 大須賀 葉子 山野 善正
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.25-30, 1985 (Released:2008-11-21)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

市販の大豆サポニンを用いて調製した泡沫とエマルションの物理化学的性質について検討した. サポニン水溶液の起泡性は,サポニン濃度0.1%まで急激に増加し,それ以上の濃度では一定となった.泡沫安定性は,濃度の増加とともに増大した. サポニン水溶液の表面張力は,濃度0.01%まで急激に低下し,それ以上の濃度では一定となった. 水-ケロシン(1:1)のエマルションは,O/W型であった. エマルションを遠心分離した場合,エマルション層と油層の間にゼリ-状の層が生した.静的法および動的法による安定性は,どちらも,サポニン濃度の増加とともに増大し,平均粒径は小さくなった. サポニン水溶液およびエマルションの電導度は,サポニン濃度の増加とともに,直線的に増大した.また,エマルションの電導度は,内部相(ケロシン)濃度の増加とともに直線的に減少した.
著者
川染 節江 三木 英三 合谷 祥一 山野 善正
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.245-252, 1992-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

スポンジケーキの生地の粘弾性と構造に及ぼすバター含量の影響を検討するため,バターを小麦粉に対し, 0~120%添加した試料について,レオメーターによる粘弾性の測定および走査型電子顕微鏡による観察により,次のような結果を得た.(1) みかけの粘度を反映する生地の流動量は,生地調製直後(放置前)では,バター含量の増大に伴い直線的に増加したが,放置10~30分後のものは, 120%では若干低下した.(2) 生地調製後, 25℃の恒温槽中で10~30分放置した生地の動的粘弾性(G',G")は,バター含量80%までは減少するが, 80%以上のバター含量では増大し,粘弾性の値とみかけの粘度を反映する生地の流動量との間に有意な負の相関性が得られた.また,バター含量による動的粘弾性の変化は,既報2)のケーキの圧縮試験による硬さ,ガム性およびそしゃく性の変化とほぼ同じ様相であった.(3) バター含量が増大するほど,損失正接(tanδ)は小さくなり,より弾性的な生地になった. tanδと生地の密度との間には有意な負の相関性が,また, tanδとケーキの比容積との間には有意な正の相関性が得られた.さらに,バター含量による損失正接の変化は,圧縮試験により得られているケーキのレオロジー特性を表すモデル式8)y=AnCeBnのパラメータ,C(変形のしやすさに対する抵抗力)の変化と類似していた.したがって,スポンジケーキ生地の動的粘弾性は,焙焼後のケーキの物性をよく表すといえる.(4) クライオ-SEMの写真から,調製直後の生地の気泡はバターを含まないものでは,主にやや大きな回転楕円体が多いが, 80%では小さいものが多く, 120%では大小の気泡が混在しており,いずれも,気泡は直径約100μm以下になると球形を呈することがわかった.(5) 生地の気泡の消失は,バター含量が多く放置時間が長くなるほど著しくなり,バターの添加により密度の増大をきたすことが,組織観察から明確になった.(6) 脂肪球は直径約20~60μmの球形をなし,表面に多くのひだが観察された.以上のように,ケーキ生地のみかけの粘度および動的粘弾性と生地の物性に大きな役割を示す組織のどちらにもバター含量が影響し,小麦粉に対し80%添加した試料が特徴的な様相を示し,既報のケーキのテクスチャー形成と官能評価が良好であったことを裏づけられた.
著者
合谷 祥一 脇坂 聡
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ポリグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの混合系を乳化剤とし、水、乳化剤、食用油の状態図を作成して、混合状態と滴下法による省エネルギーな乳化法によって作成したエマルションの粒径の関係を調べた。ポリグリセリン脂肪酸エステルとにポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを混合することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステル単独の場合よりも、水と乳化剤と油が均一に混合した状態(L3)が大きく広がることが分かった。L3あるいはこれに液晶が混合した状態から乳化すると、平均粒径が50nm以下の、微細な、O/Wナノエマルションが調製されることが明らかとなった。