著者
中嶋 俊 吉川 茂
雑誌
研究報告 音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-89, no.4, pp.1-6, 2011-02-04

擦弦振動は定常状態において弦上を 1 つの角が回転するという特徴を持つ弦振動 (ヘルムホルツ運動) である.このことはヘルムホルツによって明らかにされた.本研究では擦弦振動の立ち上がりの部分,すなわち過渡状態からの数値シミュレーションを行い,擦弦点だけではなく弦全体の振動の様子についても解析を行った.その結果,ヘルムホルツ運動が形成されるためには弓の加速度が必要であり,擦弦振動が安定した振動となるためにはナットでの減衰が重要であることが分かった.また,定常状態の振動の様子はヘルムホルツが提唱したような単純な三角形ではなく擦弦点にも弦の曲がり角が存在するのではないかということが予想される結果が得られた.
著者
吉川 茂樹 北 裕幸 田中 英一 長谷川 淳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.1137-1145, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2 4

The authors have proposed the Flexible, Reliable and Intelligent ENergy Delivery System (FRIENDS) as a concept of future electric power systems. The concept of FRIENDS takes into account the deregulation of the electric power industry and progress of technologies such as power electronics, distributed generators (DG), distributed energy storage systems (ESS), information and communication. One of the most important characteristics of FRIENDS is that new facilities called Quality Control Centers (QCC) are installed between distribution systems and electric consumers.This paper presents a methodology for DSM based on a real-time pricing system through the information and communication network in FRIENDS. The economic use of DG and ESS in QCC is also considered in the proposed DSM. The sigmoid logistic function is used for modeling the real-time pricing system and a couple of parameters in the function are optimized by the Genetic Algorithm so that the profit of QCC is maximized. The effectiveness of the proposed DSM is ascertained by evaluating the profit or the load factor of QCC through simulations using model systems.
著者
吉川 茂 武藤 葉子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.635, pp.13-18, 2001-02-15

ホルン奏者の上唇の運動を3次元的に理解する目的で, 透明のマウスピースとナチュラル・ホルンを用いて唇の運動を正面と横からのストロボによる擬似スロー・モーションとして観測し, さらに座標軸を設定して1コマごとに運動を解析した。上唇の開閉運動は上唇の先端を追跡することによって分かる。この開閉運動に重なってはいるが, 別種の波動が上唇表面に発生しており, その伝搬経路と伝搬速度は唇を横から観察するときに現れる可視化映像上の輝点(波頭に相当する凸部)の運動を解析することによって知れる。最低の2次モード音F_2(87.3Hz)を上級者が吹奏すると, 波動はマウスピースのリムに接する唇の端点から発生し, 唇の中央まで水平に伝搬し, そこから上方に曲がり, リムで反射されて元に戻る。波動が唇の中央まで水平に伝搬するとき, 唇は外向きに開いていく。高次モード音のF_3やF_4では波動は主に垂直方向にのみ伝搬する。伝搬速度は約1〜4m/sの範囲にあり, 唇の張力や吹奏圧の影響を除外すると, 約1.8m/sと推定された。さらに波動をレイリー型表面波と仮定すると, 唇のずり弾性率は約4×10^3N/m^2となった。また, 波動伝搬と開閉運動を再現できるような1質量-3バネモデルを提案した。
著者
中嶋 俊 吉川 茂
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 音楽情報科学(MUS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-6, 2011-02-04

擦弦振動は定常状態において弦上を 1 つの角が回転するという特徴を持つ弦振動 (ヘルムホルツ運動) である.このことはヘルムホルツによって明らかにされた.本研究では擦弦振動の立ち上がりの部分,すなわち過渡状態からの数値シミュレーションを行い,擦弦点だけではなく弦全体の振動の様子についても解析を行った.その結果,ヘルムホルツ運動が形成されるためには弓の加速度が必要であり,擦弦振動が安定した振動となるためにはナットでの減衰が重要であることが分かった.また,定常状態の振動の様子はヘルムホルツが提唱したような単純な三角形ではなく擦弦点にも弦の曲がり角が存在するのではないかということが予想される結果が得られた.A sharp corner travels back and forth on the bowed string in the steady state. This motion (called the Helmholtz motion) was first discovered by Helmholtz. We were carried out numerical simulations of the bowed string vibration in the starting transients. The wave motion was analyzed not only at the bowing position but over the whole string. As the result, it suggested that (1) the acceleration of the bowing is needed to create the Helmholtz motion and (2) loss at the nut is important to stabilize the bowed string motion. Also, the bowed string motion is such a simple triangle as Helmholtz suggested, and a small corner is likely to be formed at the bowing position.
著者
吉川 茂 石井 望
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

正倉院尺八から現代尺八までの構造・設計上の変化を音響理論、音響実験、さらにはCT画像の解析を通して考察し、尺八変貌の過程を明確にした。特に、正倉院尺八における運指7(第3, 6孔を開けるクロス・フィンガリング)の問題点を指摘し、江戸・明治期の名管尺八では節の残し具合で調律していることが了解された。また、中国唐代の音楽に関する考察から、正倉院尺八の指孔は燕楽二十八調の音階を吹奏できるように配列されているとの知見を得た。