著者
村本 充 石井 望 伊藤 精彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.J78-B2, no.6, pp.454-460, 1995-06-25

移動体通信端末のアンテナは形状と共に小さくなり,その電気的特性は著しく劣化している.小形かつ高性能な携帯機を実現するためには,アンテナを高効率化することが重要となる.その際,重要なパラメータとなるのが放射効率であり,Wheeler法を用いて簡易に放射効率の測定が可能である.この手法は,アンテナをラジアン球程度の大きさのキャップで覆うと入力電力が損失電力に等しくなるという仮定に基づいて実施される.しかし,この仮定が成立しなければ,計算されるWheeler効率は正確な放射効率とならない.実際にWheeler法を用いた放射効率の測定を行うと,測定値は理論的な値と異なる落込みを生じることがある.本論文では,キャップをワイヤグリッドで近似し計算機上でWheeler法のシミュレーションを実現している.そこで,問題の落込みが測定方法に起因するものではないことを明らかにし,その原因として,キャップをかぶせたとき内部のリアクティブな電磁界が変化しないというWheeler法適用の前提条件が成り立っていないことを示している.また,Wheeler法に使用するキャップの大きさがラジアン球より大きい場合でも十分適用可能であることを示し,その適用限界について検討している.
著者
石井 望 中村 光彦
出版者
長崎総合科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成十八年度、北京にて發見した「北西廂訂律」は、現存最古の元曲譜として極めて貴重なものだったので、平成十九年度はその詳細な分析のために、比較の封象となる曲譜を蒐集し、比較を行なった。その結果「北西廂訂律」に古メロディーが留存してゐることがいよいよ明瞭になって來た。メロディー研究の基礎となる曲韻研究に於いては、范善臻「中州全韻」の七聲體系こそが崑曲の正統であることを示す證據を「韻學驪珠」など諸韻書に求め、學會にて口頭發表した。曲韻研究の基礎となる音韻學概念を六朝に遡って探求し、インド輪廻方式の呉語音圖「歸三十字母例」が音韻學の源であり、それ以來呉語の曲韻に至るまで清濁を高低としてゐることを明らかにした。メロディー研究の今一つの基礎となる音階研究に於いては、太平御覧等に見える「制は角音にのっとる」との記載にもとづき、ファ・ファ#・シ・シ♭を曖昧にする音階が唐代より宋詞・元曲を経て崑曲に至るまで基本原理となってゐることを明らかにし、臺灣にて口頭及び誌上にて發表した。また分擔者中村光彦の指導する卒研にては、機器吹奏を以て崑曲笛の音階を試測し、今後各地の古樂器の音階を計測するための準備を整へた。
著者
石井 望
出版者
長崎純心大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

元曲・崑曲は近世チャイナ文藝の中で高い地位を享受し、諸名作を産み出して來た。その作品は歌唱するために作られたものである。本研究は元曲・崑曲のメロディーを中心とする音樂・韻律を明らかにするため、古歌譜(樂譜)・音階・字音の三方面から研究した。歌譜は特に最古の元曲譜「北西廂訂律」にもとづくメロディーの復元を中心とした。「北西廂訂律」はこれまで代表者が部分的に研究を進めて來たものである。音階は崑曲の均孔笛を機器吹奏し、CTスキャン撮影を行なふなど測定面から探究し、唐の音階を簡便化したものであることを明らかにした。また明朝の「中州全韻」を研究することにより、崑曲字音の體系を明らかにすることを目指した。
著者
石井 望
出版者
長崎総合科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1、崑山の笛の名手・高慰伯氏の演奏を録音し、指法の口述を録畫した。その成果等を参考にしつつ崑曲の音階について探究し、論文を發表した。楊蔭瀏以來ほとんどの研究者が從って來た雅樂俗樂二大音階説を否定し、笛の吹奏の便宜によるいい加減な音階が唐代から崑曲まで續いてゐることを明らかにした。2、前年度までの録音の成果を參考にしつつ、曲韻についての論文を發表した。「中州全韻」の七聲體系を明らかにすることを主眼とした。3、北曲傳承史研究の副産物として、曇陽子と牡丹亭についての論文を發表した。4、長老俳優の演劇歴と自分の研究過程の概略とを纏め、臺灣の雑誌に發表した。5、今後の研究のため、臺灣にて資料を蒐集した。
著者
宮川 道夫 小林 康之 鳥羽 啓 石井 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2810-2821, 2000-12-25
被引用文献数
10

注視位置情報を利用したヒトとコンピュータとの円滑な情報伝達を目的とし, 無拘束で自由な体の動きを許容した注視点検出手法を開発した.PSDカメラにより眼球回転中心を, またCCDカメラにより角膜の曲率中心をステレオ計測し, ビデオ信号処理と推定演算により注視点を求める.無拘束状態で注視点を検出するため, カメラと眼球間の距離に応じて眼球反射光が広がりをもち輝度値も低下する.検出精度が低下しないよう, AGC回路や輝点の中心座標を算出するパルス中心位置計測回路を備え, 精度の高い注視点検出を可能としている.また, コンピュータ使用時の頭部変動量をPSDカメラで測定・評価し, 頭部の最大移動量を算出した.その結果, コンピュータ使用時の頭部変動は本システムの計測範囲内に収まることを確認した.
著者
荒木 龍太郎 石井 望 岡村 真寿美
出版者
活水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

儒教偏重を脱却する新しい漢文教科書を作るため,多数の資料を蒐集した。広く世界の常識的事物を平易に叙述した漢文を教材として採用した。特に長崎は日本・アジア・西洋の交点として重要な場所であり,長崎関聯漢文には異文化接触的題材が多いので利用した。これらに注解を加えて今年度出版助成を申請する準備を整えた。
著者
吉川 茂 石井 望
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

正倉院尺八から現代尺八までの構造・設計上の変化を音響理論、音響実験、さらにはCT画像の解析を通して考察し、尺八変貌の過程を明確にした。特に、正倉院尺八における運指7(第3, 6孔を開けるクロス・フィンガリング)の問題点を指摘し、江戸・明治期の名管尺八では節の残し具合で調律していることが了解された。また、中国唐代の音楽に関する考察から、正倉院尺八の指孔は燕楽二十八調の音階を吹奏できるように配列されているとの知見を得た。