- 著者
-
村本 充
石井 望
伊藤 精彦
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:09151877)
- 巻号頁・発行日
- vol.J78-B2, no.6, pp.454-460, 1995-06-25
移動体通信端末のアンテナは形状と共に小さくなり,その電気的特性は著しく劣化している.小形かつ高性能な携帯機を実現するためには,アンテナを高効率化することが重要となる.その際,重要なパラメータとなるのが放射効率であり,Wheeler法を用いて簡易に放射効率の測定が可能である.この手法は,アンテナをラジアン球程度の大きさのキャップで覆うと入力電力が損失電力に等しくなるという仮定に基づいて実施される.しかし,この仮定が成立しなければ,計算されるWheeler効率は正確な放射効率とならない.実際にWheeler法を用いた放射効率の測定を行うと,測定値は理論的な値と異なる落込みを生じることがある.本論文では,キャップをワイヤグリッドで近似し計算機上でWheeler法のシミュレーションを実現している.そこで,問題の落込みが測定方法に起因するものではないことを明らかにし,その原因として,キャップをかぶせたとき内部のリアクティブな電磁界が変化しないというWheeler法適用の前提条件が成り立っていないことを示している.また,Wheeler法に使用するキャップの大きさがラジアン球より大きい場合でも十分適用可能であることを示し,その適用限界について検討している.