著者
長田 庸平 山中 浩 吉武 啓
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.11-15, 2021-04-04 (Released:2021-04-04)
参考文献数
10

第三著者の吉武が,西表島古見の海岸に打ち上げられたサキシマスオウノキ(アオイ科)の種子から多くの小蛾を羽化させた.これらの蛾は,斑紋や交尾器よりメイガ科マダラメイガ亜科のAssara seminivalisであると同定された.これまで日本からはAssara属が9種記録されていたが,本種は知られていなかったため,今回日本初記録種として報告した.
著者
吉武 啓 政岡 適 佐藤 信輔 中島 淳 紙谷 聡志 湯川 淳一 小島 弘昭
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.145-150, 2001-11-15 (Released:2009-05-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

福岡市能古島でヤシオオオサゾウムシの発生を確認した。調査の結果,本種は現地において数年前から継続的に発生してきたと考えられた。ヤシの幹内温度は安定していたが,常に外気温よりも高いわけではなかった。また,低温処理実験によって突発的な寒波による短期間の低温では死滅しないということが示唆されたことから,寄主であるヤシ類さえ存在すれば,本種は従来の分布域より北方まで侵入・定着できる可能性が高いと考えられた。日本国内において,本種はこれまでに年平均気温15.8℃以上の地域で発生しているので,同一の温度帯に含まれ,しかも本種にとって好適な寄主植物であるカナリーヤシが植栽されている地域へは,今後,十分に侵入可能であると推測された。
著者
綿引 大祐 吉松 慎一 吉武 啓 馬場 友希 上里 卓己 島谷 真幸 指宿 浩 湯田 達也
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.19-26, 2013-02-25 (Released:2013-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
2

The genus Spodoptera Guenée mainly distributed from tropical to subtropical regions throughout the world includes many pests of food crops, vegetables, forage crops and grasses. The African armyworm, Spodoptera exempta (Walker) has been known from Africa, South East Asia, parts of Australia to some Pacific islands as a pest of crops or pasture, however, no damage by this pest had been reported from Japan before 2010. From Japan, only five adult specimens had been collected before 2010. These specimens probably flew from the tropical region of Asia to Japan because S. exempta is a well known migratory pest in Africa. Severe damage of forage crops and grasses by this species was recognized for the first time from Japan at Nansei Islands in 2010. Therefore, survey using a synthetic sex pheromone for S. exempta was conducted by the Okinawa Prefectural Plant Protection Center and the Kagoshima Prefectural Institute for Agricultural Development. As a result, several species of Spodoptera were collected by the pheromone trap for S. exempta including S. exempta. We made a key to distinguish all eight Japanese species of Spodoptera mainly using male genitalia. Furthermore, we were able to distinguish six Japanese Spodoptera pest species using standard DNA barcoding.
著者
神保 宇嗣 吉武 啓 伊藤 元己
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.123-130, 2008

DNAバーコーディングによる同定法では、形態や生態のかわりに、同定したいサンプルのDNAバーコードと専門家が同定した証拠標本のそれとを比較し、最も類似するバーコードを持つ種を同定結果とする。この手法には、網羅的なバーコードデータベースとオンライン検索システムから構成される同定支援システムが必要であり、Barcode of LifeプロジェクトではこれらはBarcode of Life Data Systemsとしてオンライン公開されている。我が国ではこの手法に対する関心はまだ高くなく、研究基盤を確立するには研究者や利用者側からの活動の集約が不可欠である。そこで著者らはDNAバーコードに関する活動拠点として「日本バーコードオブライフ・イニシアティブ(JBOLI)」を昨年設立した。この組織は、本手法に関する啓蒙普及と活動支援を目的して、国内向けに情報発信・関連組織との調整・データベース整備・同定支援システム作成を行っている。DNAバーコーディングに基づく同定には明白な限界も存在するので、より正確な同定には各生物種の様々な情報も活用する必要がある。現在、世界的な種情報データベースプロジェクトが立ち上げられている。種情報の集積が進めば、DNAバーコードによる同定支援システムで候補種を絞り込み、その結果をもとに種情報データベースを検索することで、種情報への容易なアクセスと正確な同定が可能になる。